地震調査研究推進(重点的調査観測と活断層の追加・補完調査)とは

 地震調査研究推進本部では、地震に関する総合的な調査観測計画として、平成17年8月「今後の重点的調査観測計画について―活断層で発生する地震及び海溝型地震を対象とした重点的調査観測、活断層の今後の基盤的調査観測の進め方―」を取りまとめました。本計画では、重点的調査観測の目標、具体的な調査観測の手法、重点的調査観測の候補となる地震、及び基盤的調査観測としての活断層の追加調査・補完調査の候補と優先順位について記述しています。文部科学省では、本計画に基づき、糸魚川-静岡構造線断層帯、宮城県沖地震についての重点的調査観測、及び活断層の追加調査・補完調査を行っています。

○糸魚川-静岡構造線断層帯における重点的な調査観測(委託先:国立大学法人 東京大学地震研究所)
 北部から南部に至る当該断層帯の深部形状の全体像を明らかにするとともに、諏訪湖付近に存在すると考えられる断層境界の詳細構造の解明を目指します。また、電磁気探査及び自然地震観測から、断層帯周辺の物性の不均質構造を明らかにするとともに、国土地理院が実施する機動的なGPS観測と合わせて地殻活動の実態を把握します。さらに、活断層履歴の調査から過去の地震活動の特徴を明らかにするとともに、変動地形調査から地震時の変位量やアスペリティー(震源断層の中で特に強い地震波を生成する領域(すべり量や応力降下量が大きい領域))の分布予測精度を高めます。これらの調査観測から得られる成果を総合的に解析することで、地震時の断層運動の特性を明らかにし、加えて、人口の密集した盆地部の地下構造を求めることにより、この断層帯についてのより高精度な強震動予測モデルの構築を図ります。

○宮城県沖地震における重点的調査観測(委託先:国立大学法人 東北大学)
 宮城県沖地震の想定震源域周辺において、海底地震計を用いた長期間にわたる繰り返し観測を行います。この観測により得られたデータとともに陸域の地震観測点のデータ及びGPS等測地観測網のデータを用いて、プレート間固着・すべり状況を解析します。また、東北地方太平洋側において、津波堆積物及び古海岸線の分布範囲の調査を広域的に実施し、過去の津波・地殻変動の際のデータを得ることで、連動型といわれる巨大地震の発生間隔等の解明を目指します。

○活断層の追加・補完調査(委託先:独立行政法人 産業技術総合研究所)
 基盤的調査観測の対象に追加された断層帯を対象とする調査(追加調査)及び既に評価を一通り終えたものの中で評価の信頼性を高めるために実施する調査(補完調査)を進めています。平成17年度は、以下の10断層帯の調査を行っています。

【追加調査】
サロベツ断層帯 (北海道)
高田平野断層帯 (新潟県)
六日町断層帯 (新潟県)
曽根丘陵断層帯 (山梨県)
魚津断層帯 (富山県)
人吉盆地断層帯 (熊本県)
【補完調査】
山形盆地断層帯 (山形県)
櫛形山脈断層帯 (新潟県)
伊那谷断層帯 (長野県)
境峠・神谷断層帯 (長野県)

(研究開発局地震・防災研究課)

 

-- 登録:平成21年以前 --