研究計画の概要

研究課題  平成13年芸予地震による都市地震災害に関する総合的調査研究

研究代表者  中山 隆弘 広島工業大学教授

研究経費  480万円 〔科学研究費補助金(特別研究促進費)〕

研究目的  平成13年3月24日,安芸灘の深さ約50キロメートルのプレート内に発生した地震(マグニチュード6.9)は広島県と愛媛県にそれぞれ1名の死者をもたらすとともに,多数の家屋や島嶼部のライフラインなどが被害を被った。被害そのものは,阪神・淡路大震災に比べ小さいものの,軟弱地盤上に社会資産が蓄積された大都市の経済活動,高速交通体系の機能障害による影響があったため,今回の地震による被害や,その発生メカニズムを解明することは,今後の都市部の地震災害に対する防災を考える上で極めて重要である。このため,理学,工学,さらには防災学などの観点から総合的に調査研究することによって,今後の地震防災施策に資する。

調査内容
1. 広域にわたる地震動の特性調査
 主として広島県と愛媛県の各市町村に設置されている地震計や震度計で観測された地震動記録と常時微動測定記録を分析することにより,今回のやや深いプレート内地震による地震動の伝播およびその特性を明らかにする。
2. 地盤被害調査
 液状化地盤やがけ崩れの調査を行うと共に,強震動による被害発生予測およびそれによる震災の軽減策を検討する。
3. 建築物・ライフライン等の被害調査
 建築物,ライフライン,道路,鉄道等の被害調査を行うと共に,強震動による被害発生予測およびそれによる震災の軽減策を検討する。
4. 災害対応および社会的影響評価
 初動体制や災害ボランティア活動の調査を行い,各県,各市町村が発災後にとった対応の違いを明らかにし,その差異に対する系統的な検証を行う。また,主要な製造業の生産ラインの停止状況を調査し,それらが経済性に及ぼした影響を分析して,今後の被害の軽減策に資料を提供する。
5. 1905年芸予地震との比較調査
 広島や呉,松山などに大きな被害を及ぼした1905年芸予地震による各地の震度や被害状況と今回の地震によるそれらとを比較し,当地域における今後の地震防災対策に資するような資料を提供する。

研究組織

         
(研究代表者)          
中山 隆弘 広島工業大学工学部教授   (構造工学)   総括・1905年芸予地震との比較調査

(研究分担者)

         
○地震動の特性調査
Mori, James 京都大学防災研究所教授   (地震学)   震源と地震動との連関分析
橋本 学 京都大学防災研究所助教授   (地震学)   震源と地震動との連関分析
西村 敬一 岡山理科大学総合情報学部教授   (固体地球物理学)   地震動分析
西田 良平 鳥取大学工学部土木工学科教授   (地震学)   地震動分析
盛川 仁 東京工業大学工学部助教授   (地震工学)   地震動分析
○地盤被害調査
佐藤 正義 防災科学技術研究所総合   (防災学)   地盤被害と液状化調査
  防災研究部門総括主任研究員        
山本 春行 広島大学大学院国際協力研究科   (地盤基礎工学)   地盤被害調査
助教授        
森 伸一郎 愛媛大学工学部助教授   (地盤地震工学)   地盤の液状化とアンケート震度調査
○建築・ライフライン等の被害調査
浅野 照雄 広島工業大学工学部教授   (建築地震工学)   建築被害調査
岩井 哲 広島工業大学工学部助教授   (建築構造学   )建築被害調査
千葉 利晃 福山大学工学部教授   (地震防災工学)   ライフライン被害調査
能島 暢呂 岐阜大学工学部助教授   (地震防災工学)   ライフライン被害調査
高井 広行 近畿大学工学部教授   (交通計画)   道路被害調査
野田 茂 香川大学工学部教授   (都市防災システム工学)   鉄道被害調査
○災害対応および社会的影響評価
村上 ひとみ 山口大学大学院理工学研究科   (防災システム工学)   人的被害調査
助教授
林 春男 京都大学防災研究所教授   (都市防災)   危機管理体制・経済被害の分析
立木 茂雄 同志社大学文学部教授   (社会心理学)   被災者の心のケア・社会的弱者対策分析
牧 紀男 防災科学技術研究所   (防災学)   応急・復旧対策調査
地震防災フロンティア研究
センター副チームリーダー
小村 隆史 富士常葉大学環境防災学部講師   (防災学)   防災ボランティア対応調査



-- 登録:平成21年以前 --