林文部科学大臣とモエダス研究・科学・イノベーション担当欧州委員との会談

 林大臣とモエダス委員が日本及び欧州連合(EU)の科学技術協力に係る会談を行ったところ,概要は以下のとおりです。

1.冒頭

 林大臣及びモエダス委員は,日EU経済連携協定(EPA)交渉が妥結したことや,有意義な議論を実施した第4回日EU科学技術協力合同委員会(2017年11月24日,東京)の開催といった,最近の日EU関係の進展を歓迎しました。

 両者は,社会的な課題やグローバルな課題(例えば持続可能な開発)の解決に向け,科学技術イノベーションが一層重要な役割を担うとともに米国を始めとするパートナーとの国際協力が必要不可欠な時代において,日本及び欧州が,科学技術を推進する世界の主要な者のうちの2者として,科学技術協力の結束を一層強化する必要があるとの認識で一致しました。

2.若手研究者間の交流拡大

 両者は,日欧の研究者,特に若手研究者の交流及び協力の拡大に向けた方策を議論し,欧州研究会議(ERC)と科学技術振興機構(JST)の間で新たな協力枠組みが構築できる可能性を指摘しました。

 これに関し,両者は,2015年来のERCと日本学術振興会(JSPS)の間の協力枠組み成功を歓迎した上で,新たな協力枠組みとして,ERCとJST間で実施取極を結び,これが研究者交流の機会を更に広げる加速効果を持ち得ることを議論しました。JSPSとJSTは共に日本の主要なファンディング機関です。

 また,新たな協力枠組みは,戦略的創造研究推進事業(例えばCREST,さきがけ)を始めとしたJSTの多くのファンディングプログラムを通じ,日本の研究コミュニティへの交流機会の提供を拡大し得ることに留意しました。

 ERCは,JSTによる提案が双方全ての要件を満たすならば,検討を進めることで合意しました。林大臣及びモエダス委員は,双方の関連部局が議論を加速させることで一致し,2018年秋の公募(*)の前に実施取極への署名が公表できるよう,可能な限り早期に成果が得られることを期待しました。

 ※ERCのプログラムの公募は,通常秋頃に実施される。

3.量子技術分野における今後の協力

 両者は,量子技術分野における互いの最近の政策の進展について共有し,今後の研究協力の可能性について議論するとともに,第2次量子革命に向け,日本と欧州が,協力を拡大することが重要であることで一致しました。  これに関し,両者は,例えば研究機関間の交流拡大や共同研究支援といった協力で,実務レベルでの議論や機会の模索を継続すること,このため2018年に双方の関連部局に窓口を設け,可能な協力について意見交換することや,量子技術分野におけるワークショップ開催を模索することで合意しました。

4.北極科学分野における今後の協力

 両者は,北極科学分野における各々の近年の取組や北極評議会への貢献について共有するとともに,日本と欧州が,北極科学研究や,国際的な議論において重要な役割を担っているとの認識で一致しました。

 両者は,第2回北極科学技術大臣会合(2018年10月,ベルリン)が欧州委員会共催(*)で行われることや,日本の参加や科学的貢献を伴う形での当該会合の成功に留意しました。

 ※ドイツ教育研究省及びフィンランド教育文化省との共催。第1回北極科学技術大臣会合は2016年に米国で開催。

5.科学技術イノベーション政策の世界トレンドに関する意見交換

 両者は,科学技術を推進する世界の主要な2者として,不確実性を有する現代における,科学技術イノベーション政策の世界的なトレンドについて意見交換しました。
 意見交換には,日本の第5期科学技術基本計画やその実施状況,EUの研究計画Horizon 2020やその実施状況,そして,両者ともに2021年に開始を迎える次期計画に向けた議論が含まれました。

(参考)

JST-ERC協力枠組み(提案中のもの)

協力概要

 JST・ERCは双方の支援するプロジェクトから研究交流(派遣,受入れ)に関心のある研究者の情報を集約し,研究者のマッチングを実施する。
 これにより日欧州間の研究交流の更なる促進が期待される。

枠組みイメージ

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(科学技術・学術政策局参事官(国際戦略担当)付)