我が国における研究及び開発に関する評価は、「国の研究開発に関する大綱的指針」(内閣総理大臣決定)及び各府省で定めた具体的な評価の指針に沿って、研究開発の特性等に合わせた評価が実施されています。文部科学省においても、「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」に沿った評価が実施されているところですが、評価指針では、同時に、評価システムの改革と評価の質の向上についても求められています。
特に、近年は、研究開発分野の深化・融合化や大規模化が進み、また、研究開発のさまざまな場面でイノベーションを実現するための政策・方策が盛んに議論されてきており、評価に携わる者は、その期待される役割がますます大きく重要になってきているとともに、評価システムが適切なものとなるよう常に点検し改善していく努力が求められています。
そこで、文部科学省では、研究開発評価の推進に資するため、これまでも評価に関する研修会やシンポジウムを開催してきましたが、より実務的な視点からのアプローチとして、実際の評価現場で評価に携わっている人々の資質の向上とネットワークの構築を図ることを目的とした研究開発評価ワークショップを開催いたしました。
今年度においては、“評価を機関の戦略に活かす”という視点から、“評価指標”のあるべき姿について、ディスカッションを行いました。
平成21年2月5日(木曜日)13時30分~16時45分
コンファレンススクエアM+ グランド
(東京都千代田区丸の内2-5-2 三菱ビル10階)
テーマ【研究開発における機関の戦略とプログラムの評価指標】
研究開発プログラム(施策)の評価は、その重要性が指摘されていながら国内では未だあまり展開されているとはいえず、主要諸外国における取り組みとも隔たりがあります。研究開発機関において実施されている研究開発プログラムが、機関の戦略や目標の中で、どのような位置づけ・目的を持って企画・立案・設計されるのか、また、機関においてプログラムを推進する上で進捗状況を適宜モニタリングし必要に応じて改善や軌道修正を図っていくか、そして、一定期間を経過して当初目標としたアウトカムを実現し,またアウトプットを算出しているか、といったことを把握できるようにすることが重要です。このためには、プログラムの内容や性質にも応じて、機関の戦略や目標からブレイクダウンされる計測可能な評価指標の事前の設定と、それに対応した実際の測定に基づく意思決定が有効であるようであり、また,それらの評価指標は、機関マネジメントにおいて取り得る施策に対応することが望まれます。
そこで、実際に行われた研究プロジェクトをプログラムの仮想モデルとし、機関の戦略・目標をベースとした研究開発プログラムの評価指標の立て方について参加者相互で議論しました。
「NIMSの研究プロジェクト評価 -研究開発プログラムの評価指標の立て方-」
黒澤
景 (独立行政法人 物質・材料研究機構企画部 評価室長)
テーマ「研究開発における機関の戦略とプログラムの評価指標」
司会・ファシリテーター:
伊地知 寛博(成城大学社会イノベーション学部 教授)
ファシリテーター:
内田 理之(理化学研究所 筑波研究所 研究推進部
企画課長)
奥居 正樹(広島大学大学院 社会科学研究科 准教授)
小林
信一(筑波大学大学院 ビジネス科学研究科 教授)
桜井 誠人(宇宙航空研究開発機構
研究開発本部 踏技術研究センター 主任研究員)
嶌田 敏行(茨城大学 評価室
助教)
永田 潤子(大阪市立大学大学院創造都市研究科 准教授)
林 隆之(大学評価・学位授与機構
評価研究部 准教授)
林部 尚(科学技術振興機構 経営企画部 調査役)
科学技術・学術政策局 評価推進室
-- 登録:平成22年06月 --