2.公募要領 (1)科学技術振興に関する基盤的調査の公募要領

科学技術・学術政策局

1.目的

 科学技術の振興を図る上で、我が国の科学技術の現状を的確に捉え、今後の科学技術施策を強化し新たに展開していくため、効果的な研究開発の総合的管理、現行科学技術基本計画後の新たな科学技術政策の方向性の検討等に資する科学技術振興に必要な基盤的調査研究を実施する。

2.対象となる課題

 本プログラムは、あらかじめ定められた調査研究課題について実施機関を選定して実施するものであり、以下の調査研究課題を対象とする。なお、公募に当たっては、以下の調査研究課題のうち、(1)科学技術の現状に関する調査及び(2)社会・経済ニーズを踏まえた今後の技術発展予測については、それぞれ(1)、(2)全体を単位として公募を行い、(3)科学技術マネジメントの在り方に関する調査研究については、1~4の課題それぞれを単位として公募を行う。

(1)科学技術の現状に関する調査

 第1期及び第2期科学技術基本計画のレビューのための調査として、以下の課題について調査を行うものとする。

1.科学技術研究の達成効果(アウトカム)の評価・分析

  • ア 第1期及び第2期科学技術基本計画期間中の政府研究開発投資(費目別・施策領域別・分野別)の内容分析
  • イ 第1期及び第2期科学技術基本計画において定量目標の明示された施策の達成状況評価
  • ウ 科学技術研究のアウトプットの定量的及び定性的評価(論文掲載数、論文被引用度、特許数、サイエンス・リンケージ等の国際比較等)
  • エ 科学技術振興による経済・社会・国民生活への寄与(健康、安全、食料、エネルギー、環境等)の定性的評価・分析
  • オ 以下の主要施策領域に係る達成効果の評価・分析
    • 主要な科学技術関係人材育成関連プログラムの達成効果及び問題点
    • 主要な産学官連携・地域イノベーション振興の達成効果及び問題点

2.第1期及び第2期科学技術基本計画期間中の主要国における施策動向調査及び達成効果に係る国際比較分析

  • ア 主要国の関連政府施策の動向・達成効果の調査及び国際比較分析
  • イ 海外科学技術政策研究関連機関の専門家から見た上記1の評価・分析結果に係る見解

(2)社会・経済ニーズを踏まえた今後の技術発展予測

 社会・経済ニーズを踏まえ、分野別技術課題を設定するなどにより、今後30年間の技術発展予測を行うものとする。

  1. 社会・経済ニーズ(分野横断的なニーズ、急速に発展しつつある科学技術領域の動向等を含む)の抽出
  2. 1を踏まえた分野別技術課題の設定
  3. 当該技術課題に係る予測調査の実施(相当数の専門家へのデルファイ法アンケート、その他効果的な調査方法)及び調査結果の取りまとめ
    注 :デルファイ法とは、多数の人に同一のアンケート調査を繰り返し、回答者の意見を収れんさせる方法である。2回目以降のアンケートでは、前回の調査結果を回答者にフィードバックした上で各人に質問課題の再評価を求めるため、意見が収れんされる。

(3)科学技術マネジメントの在り方に関する調査研究

  1. 競争的資金の配分機関の在り方(政府の行政機関と配分機関の関係の国内外の比較分析を含む)
  2. 大規模な研究開発プロジェクトのマネジメントの在り方(複数の府省にまたがるプロジェクトを効果的に実施するための方策検討)
  3. 地域科学技術振興方策(成功要因の分析等を踏まえたもの。地方公共団体のマネジメントを中心に)
  4. 合理的な研究開発評価手法の開発(大学・研究所等の研究開発の費用対効果分析を含む)

3.対象機関

 産学官の研究機関、調査機関等のうち、各課題に応じて以下の要件を満たす機関を対象とする。
 (1)2で示した対象となる課題のうち(1)科学技術の現状に関する調査については、対象とする調査が広範囲に及ぶため、本課題全体を取りまとめる機関(以下「中核機関」という。)が全体を統括し、その下に複数の機関がコンソーシアムを結成し、効果的・効率的な調査分析を行うこととする。中核機関を含むコンソーシアムは、国内外の調査を実行できる能力を有し、本調査の遂行に十分な執行管理体制が整備されているとともに、以下を満たすものとする。

  1. 中核機関は、科学技術政策研究全般に係る専門的な知見及び基礎的諸データを有するとともに、本調査の実施に当たってコンソーシアムを構成する複数の機関間の調整等を組織的かつ効果的に行う体制が整備されていること。
  2. 中核機関の下にコンソーシアムを構成する機関は、担当する調査課題について十分な知見・経験及び関連する調査実績を有するとともに、当該調査に必要な人員を確保することができること。

 (2)2で示した対象となる課題のうち(2)社会・経済ニーズを踏まえた今後の技術発展予測については、以下の要件を満たすものとする。

  1. 技術発展予測について十分な知見及び調査実績を有する機関であること。
  2. 中核機関の下、各機関が連携して、効果的・効率的な調査分析を行い得る体制が整備されていること。

(3)2で示した対象となる課題のうち(3)科学技術マネジメントの在り方に関する調査研究については、以下の要件を満たすものとする。

  1. 担当する調査研究課題について十分な知見・経験及び関連する調査研究実績を有するとともに、国内外の調査を実行できる能力を有する機関であること。
  2. 中核機関(提案者が単独の機関となる場合、提案者と中核機関は同一とする。)が、国立試験研究機関、大学及び大学共同利用機関、又は法人格を有する機関であること。
  3. 調査研究全体に係る責任を有する者(以下「代表者」という。)が研究者であること。

4.実施期間

 対象となる課題のうち、(1)科学技術の現状に関する調査及び(2)社会・経済ニーズを踏まえた今後の技術発展予測については、2年間とする。(3)科学技術マネジメントの在り方に関する調査研究については、1年間ないし2年間とする。

5.費用

 (1)調査の実施に当たり必要となる経費については、原則として文部科学省から中核機関に(他府省の組織が中核機関となる場合は所管府省を経由して)支給する。ただし、文部科学省から中核機関以外の機関への直接委託を排除しない。
 なお、本調査の実施に当たり使用できる費目の種類は、原則として別表1に示すものとする。

 (2)1課題当たりに支給する経費の目安は、2で示した対象となる課題のうち、(1)科学技術の現状に関する調査については年間2億円程度、(2)社会・経済ニーズを踏まえた今後の技術発展予測については年間5千万円程度、(3)科学技術マネジメントの在り方に関する調査研究については年間1千万円程度とする。

6.提案書類

 提案書類は、様式1‐1から1‐12によるものとする。本プログラムによる調査研究の実施を希望する研究機関等は、代表者を決めた上、上記の様式に必要事項を記入し、中核機関が国立試験研究機関(文部科学省の組織を除く。)の場合は所管府省を通じて、その他の場合は直接文部科学省に提出する。

7.実施者の選定

 (1)選定に係る審査は、提出された提案書類による書類審査及び代表者からのヒアリングの二段階審査により行う。審査は、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会科学技術振興調整費審査部会(以下「審査部会」という。)にて行う。なお、選定に当たり実施計画の一部について変更を求めることがある。

 (2)選定に係る評価項目及び審査基準は、以下のとおりとする。

  • 科学技術の現状に関する調査
    1. 実施体制
      • ア 中核機関の妥当性
        • 科学技術政策に関する調査分析について十分な知見及び実績を有しており、コンソーシアムを構成する機関を統括・先導していく指導力を有する等、能力・必要性からみて、適切な機関が中核機関となっているか
      • イ コンソーシアムを構成する機関の妥当性
        • 機関毎に、それぞれ担当する課題に関連する調査実績及び所要の調査を実行できる能力を有しており、当該調査に必要な人員が確保される等の適切な実施体制が構築される見込みであるか
      • ウ コンソーシアムの連携体制
        • 中核機関の下、各機関が連携して、効果的・効率的な調査分析を行い得る体制となっているか
    2. 実施計画等
      • ア 実施計画が、第1期及び第2期科学技術基本計画のレビュー並びに新たな科学技術政策の検討に活用できる内容となっているか
      • イ 調査目標の設定は適切か
      • ウ 実施計画等から見て、目標達成の可能性は高いか
  • 社会・経済ニーズを踏まえた今後の技術発展予測
    1. 実施体制
      • ア 技術発展予測について十分な知見及び実績を有する機関であるか
      • イ 中核機関の下、各機関が連携して、効果的・効率的な調査を行い得る体制となっているか
    2. 実施計画等
      • ア 実施計画が、過去の技術発展予測への取り組みを踏まえつつ、より的確かつ高精度な予測を行うため、自然科学分野以外を含む関係する多数の専門家の意見を効果的に集約する等の工夫がなされているものであるか
      • イ 調査目標の設定は適切か
      • ウ 実施計画等から見て、目標達成の可能性は高いか
  • 科学技術マネジメントの在り方に関する調査研究
    1. 実施体制
      • ア 担当する調査研究課題について十分な知見・経験及び関連する調査研究実績を有するとともに、国内外の調査を実行できる能力を有する機関であるか
    2. 実施計画等
      • ア 実施計画が個別施策にとどまらず施策共通的なものであるか
      • イ 成果が戦略的重点化と科学技術システム改革に係る新たな施策となって発展するものであるか
      • ウ 調査研究目標の設定は適切か
      • エ 計画等から見て、目標達成の可能性は高いか

 (3)審査結果は、審査終了後、提案書類に記された事務連絡先に通知する。
 なお、ヒアリングを実施する提案者に対しては、ヒアリングの日時、場所等を通知する。

 (4)審査部会委員であって、提案機関及び本調査に関係する機関との間に利害関係が認められる委員については、当該提案機関からの提案書の審査に加わることができない。

8.調査の実施

 (1)選定された実施者の中核機関は、提案書類の実施計画に基づき経費の積算等(以下「計画書等」という。)を作成し、文部科学省に提出する。なお、これらについては、省内で調整の結果、修正を求めることがある。

 (2)文部科学省は、提出された計画書等について所要の調整を行い、財務省の承認を得た後、中核機関が国の機関の場合は移替え(文部科学省の組織については示達)、その他の場合は委託により調査研究の実施に必要となる経費を配分する。
 なお、調査研究に参画する機関への経費の配分は、原則として中核機関を通じて行うものとする。ただし、文部科学省から中核機関以外の機関への直接委託を排除しない。

 (3)中核機関は、調査研究に参画する機関の意見集約を図り、調査研究の方針や内容等を検討するための推進委員会を設置することとする。

 (4)調査研究実施者は、計画書等に基づき調査研究を実施し、成果報告書を作成する。成果報告書のとりまとめは代表者が行う。また、調査研究終了後、中核機関は速やかに経費使用実績の報告書を作成し、成果報告書とあわせて文部科学省へ提出する。
 また、初年度が終了した時点で調査研究計画の進捗状況及び経費使用実績の報告書を作成し、文部科学省に提出することとする。
 なお、総合科学技術会議及び文部科学省は、調査研究期間中に、必要に応じて随時調査研究計画の進捗状況の報告を求めるものとする。

 (5)提出された成果報告書は、文部科学省から科学技術・学術審議会及び総合科学技術会議へ報告した後、公表する。

 (6)調査研究実施者は、推進委員会を開催する際には、文部科学省及び関係府省等の担当者が出席することを可能とするため、開催日時等を事前に文部科学省及び関係府省に連絡することとする。

別表1

費目費 内容
(国の機関の場合)
1.非常勤職員手当
  • 非常勤として採用する者(教授・助教授等の教員、主任研究員、研究員、研究補助者等)に対する手当
2.諸謝金
  • 会議への出席謝金
  • 講演、原稿の執筆等に対する謝金
3.試験研究旅費
  • 非常勤職員以外の国の職員の調査に係る旅費
4.外国旅費
  • 非常勤職員以外の国の職員の外国出張(調査、研究集会への出席、監督等の業務)に係る旅費
5.委員等旅費
  • 会議出席に係る旅費
  • 外部の有識者等に依頼する調査、講演等に係る旅費
6.外国研究者等招へい旅費
  • 外国人研究者の招へいに係る旅費
7.招へい外国人滞在費
  • 招へい外国人研究者の滞在費及び国内における交通費に係る経費
8.外来研究員等旅費
  • 非常勤職員の招へい並びに国内及び外国出張に係る旅費
9.試験研究費
  • 調査研究の実施に係る経費
10.科学技術総合研究委託費
  • 中核機関が他の研究機関等に委託する調査の実施に係る経費
(国の機関以外の場合)
11.科学技術総合研究委託費 人件費(教授・助教授等の教員、主任研究員、研究員、研究補助者等)、賃金、備品費、消耗品費、通信運搬費、借損料、旅費、会議開催費(会場借料、会議費、通信費、資料印刷費)、諸謝金、雑役務費、電子計算機借料等、印刷製本費、消費税、技術料、一般管理費(直接経費の10%を上限とする)

お問合せ先

科学技術・学術政策局調査調整課

(科学技術・学術政策局調査調整課)

-- 登録:平成21年以前 --