(別添1)科学技術振興調整費の活用に関する基本方針

平成13年3月22日
 総合科学技術会議

 科学技術は、「知の世紀」といわれる21世紀において、新たな知を生み出し、国民の生活や経済活動を持続的に発展させ、また、国際的な貢献を果たすべきものである。我が国は、科学技術創造立国の実現を基本とし、総合科学技術会議が作成する科学技術に関する総合戦略及びそれを踏まえた科学技術基本計画に基づく具体的な施策を積極的に展開することにより、科学技術を振興し、国際競争力の強化、少子高齢化社会や情報通信革命への対応、地球規模での環境問題等数多くの課題を克服していく必要がある。
 総合科学技術会議は、このために、我が国全体の総合的な科学技術政策の推進の司令塔として、科学技術に関する予算、人材その他の科学技術の振興に必要な資源の配分の方針(以下「資源配分の方針」という。)を示す責務を有する。特に、科学技術振興調整費(以下「調整費」という。)は、総合科学技術会議が、我が国全体の科学技術に関する施策を俯瞰したうえで、資源配分の方針に沿って、機動的かつ戦略的に活用する資金であると考える。

 このような視点を踏まえ、調整費は、以下の諸点を基本として、適切かつ有効に活用されるべきである。

1 調整費の活用の考え方

 調整費は、以下の施策であって、各府省の施策の先鞭となるもの、各府省毎の施策では対応できていない境界的・融合的なもの、複数機関の協力により相乗効果が期待されるもの、機動的に取り組むべきもの等で、その成果が、さらに新たな施策や他の研究のシーズとなって発展する等政策誘導効果の高いものに活用する。特に、質の高い研究開発を確保する観点から、科学技術システムの改革に資する施策を重視する。

(1)優れた成果の創出・活用のための科学技術システム改革

 我が国の科学技術活動を高度化し、その成果の社会への還元を一層促進するために必要な、科学技術システムの改革に資する施策に活用する。

(2)将来性の見込まれる分野・領域への戦略的対応等

 将来的に新たな分野・領域を開拓する又は既存の分野・領域を超えて展開する可能性がある萌芽的な研究、自然災害・社会問題等の突発事態、科学技術を巡る状況の変化等に対応するための機動的な研究等に活用する。

(3)科学技術活動の国際化の推進

 我が国に世界一流の人材や最新の情報を結集することを通じて、世界水準の優れた成果の創出を可能にするため、科学技術に関する情報の国際的な発信力を強化する施策等に活用する。

2 調整費の配分方針等の作成

 (1)総合科学技術会議は、次年度の資源配分の方針を示す際に、当該方針に沿って、次年度の調整費を活用して実施することが適当なプログラムの概要及びプログラム設定の考え方を盛り込んだ概算要求の基本方針を作成する。

 (2)総合科学技術会議は、政府予算案決定後、関係府省の科学技術に関する予算案の概要を把握したうえで、調整費の有効活用を図るために、プログラムの内容、プログラム別の概算等を示した次年度の調整費の配分の基本的考え方を作成する。プログラムについては、終期を設定する。

 (3)総合科学技術会議は、さらに、科学技術に関する政府予算案を精査したうえで、科学技術基本計画の実施状況及びプログラムの政策誘導効果を踏まえ、プログラム内で重視すべき分野、領域等を考慮した概算等を示した次年度の調整費の配分方針を作成する。

3 配分事務の実施

 文部科学省は、総合科学技術会議が作成する調整費の概算要求の基本方針、調整費の配分の基本的考え方及び調整費の配分方針(以下総称して「調整費の配分方針等」という。)に沿って、調整費の概算要求、調整費に係る実施要綱の作成、プログラムにおける実施課題及び実施者(以下「実施課題等」という。)の公募要領の作成、実施課題等の公募、実施課題等の審査及び調整費の交付に係る事務を行う。実施要綱及び公募要領の作成並びに実施課題等の審査に係る事務については、総合科学技術会議に報告し、確認を得る。

4 実施課題等の選定における総合科学技術会議と文部科学省の役割

 (1)「総合科学技術会議は、科学技術の基本的方向、重点分野の選定等の科学技術振興調整費の配分の基本方針を審議する。具体的な、調整費の配分事務は、文部科学省に行わせる。」旨の中央省庁等改革推進本部決定(平成11年4月27日付け)については、以下のとおりとする。

  • ア 総合科学技術会議は、上記2のとおり、調整費の配分方針等の作成を行う。
      実施課題の選定に当たっては、公募により実施課題の候補を募集したうえで、審査を行う。実施要綱及び公募要領の作成並びに公募及び実施課題等の審査に係る事務は、調整費の配分方針等に沿って文部科学省に行わせることとするが、総合科学技術会議自らも、政策誘導効果の高い資源配分を実現する観点から、文部科学省に対して、これらの事務に関して適時的確に意見を述べる。総合科学技術会議が、文部科学省による審査の結果が当該意見を反映したものであることを確認したうえで、実施課題等が選定される。ただし、必要に応じて、総合科学技術会議が自ら実施課題等を指定することができるものとする。
  • イ 文部科学省は、調整費の配分の方針等及び総合科学技術会議の意見に沿って、調整費の概算要求、調整費に係る実施要綱の作成、プログラムにおける実施課題等の公募、実施課題等の審査に係る事務及び調整費の交付に係る事務を行い、その結果が当該意見に沿ったものであることについて総合科学技術会議による確認を得る。

 (2)以上のような調整費の運用が円滑になされるよう、内閣府と文部科学省は連携して事務処理を行う。

5 評価の徹底

(1)プログラムの評価

 プログラムの中間及び事後評価は、適切かつ厳正に行う。当該評価の結果は、調整費の配分方針等に反映させる。

(2)実施課題等の評価

  • ア 実施課題等の事前評価は、当該課題を審査するに当たって、適切かつ厳正に行う。
  • イ 実施課題等の中間及び事後評価は、適切かつ厳正に行う。当該評価結果は、実施課題等の改廃、プログラムの評価、調整費の配分方針等に反映させる。

(3)評価の実施者

 プログラムの評価は、総合科学技術会議が実施する。実施課題等の評価は、総合科学技術会議の定める評価の基本的な方針に沿って、文部科学省が行い、その結果を総合科学技術会議に報告し、確認を得る。

6 調整費の成果の活用

 調整費は、その成果が新たな施策や他の研究のシーズとなって発展する等政策誘導効果の高い施策に活用されるものであることを踏まえ、各府省は、調整費により得られた成果の普及、定着又は発展に努める。

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科学技術・学術政策局調査調整課

(科学技術・学術政策局調査調整課)

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