1.目的
ゲノム科学は、ゲノム構造解析の側面とゲノム機能解析の側面、更には、それらの解析情報からゲノムに存在する原理を発見し、演繹的に機能を予測するゲノム情報科学の側面を併せ持つ全く新しい多面的な科学であり、その成果は、少子高齢化社会を迎える我が国の医療問題への対応、地球的規模での対応が求められている食料問題や環境問題の解決、新産業の基盤形成等を通じて、人類の幸福の増進のために重大な意義を有するものです。
本制度は、ゲノム科学に関する研究開発のうち、基盤的な研究開発及び各種ゲノム関連技術の開発であって、産学官・関係省庁間の複数の機関が連携と協力とを図りつつ実施すべき研究開発の推進を目的とします。
2.募集対象とする研究
本制度では、科学技術会議ライフサイエンス部会ゲノム科学委員会(以下、「ゲノム科学委員会」という)が定めた「科学技術振興調整費 ゲノムフロンティア開拓研究推進制度の対象とすべき研究開発」(以下、「重要研究開発課題」という。(参考1))における以下の研究開発課題を募集します。
- (1)ゲノムの全塩基配列情報に基づく、全遺伝子ネットワ‐クの体系的解析とそれによるゲノムの情報構築原理の解明(関連した情報処理技術の研究開発を含む。)
- (2)遺伝子多型又は遺伝子発現プロフィ‐ルの体系的解析とそれによる遺伝子機能の解明(関連した遺伝子多型解析技術又は遺伝子発現解析技術の研究開発を含む。)
- (3)ゲノム研究を世界最先端のものとするための基盤となる独創的技術の研究開発
- 次世代大量塩基配列解析技術の開発
- タンパク質の分子機能解析技術及び相互作用解析技術の開発
3.参加可能な研究機関
国立試験研究機関及びこれに準ずる機関、大学、公設試験研究機関及び民間研究機関等。なお、6.(1)に記述している中核機関については、大学を除きます。
4.研究期間及び予算規模
研究期間は、原則として5年間とします。ただし、研究開始後3年目に、ゲノム科学委員会による中間評価を行い、評価の結果によっては、研究の打ち切りを含め、研究実施計画の見直しを行います。研究予算規模は、1課題当たり年間約2億円程度を予定しています。
5.「重要研究開発課題」との整合性
当該研究課題が、ゲノム科学委員会が設定した「重要研究開発課題」のいずれに対応するのかを明記してください。
6.研究実施体制
(1)中核機関の設置
1.研究進行管理
- (1)各研究課題ごとに中核機関(大学を除く。以下同じ。)を置き、中核機関は、当該研究課題の達成に係る責任を負うとともに、他の参加研究機関におけるものをも含め、当該研究課題全体の運営を管理します。
- (2)中核機関は、当該研究課題推進のための中核として、参加研究機関への助言、指導等を行うほか、研究実施計画及び経費の配分案の調整や研究推進委員会の開催等の諸事務を遂行していただきます。
2.研究の進行状況報告
各参加研究機関は、研究実施期間中の毎年度、研究の進行状況及び経費使用実績の報告を作成し、中核機関に提出します。
3.報告会の開催
研究の成果を社会に広く周知し、社会の意見が研究の実施に十分に反映されるよう、公開の報告会を開催していただきます。関係者は、これを外部の評価を得る機会とし、研究推進に活用して下さい。
4.研究終了時の成果報告
研究終了時には、中核機関において成果報告書を作成していただき、ゲノム科学委員会に報告するとともに科学技術庁に提出していただきます。
中核機関は単なる名目上のものではなく、上記役割を責任を持って果たす能力のある機関であることが必要です。
なお、(参考1)の中には、「中核的な拠点化が必要なほど・・・」という記述がありますが、この記述の中の「中核的な拠点」は、国が設ける大規模シーケンスセンター等を意味しており、本制度における中核機関とは異なるものです。
(2)研究推進委員会及び研究連絡会議
1.研究推進委員会
- (1)中核機関に当該研究課題に対する助言等を行う研究推進委員会を設置します。
- (2)研究推進委員会は、参加研究機関(中核機関を含む。以下同じ。)の研究代表者(参加研究機関ごとに参加研究者の中から選ばれる)、及び当該研究課題に直接参加していない有識者によって構成されるものとします。
- (3)中核機関は、研究推進委員会を適宜開催していただきます。
2.研究連絡会議
中核機関は、当該研究に係る各参加研究機関間の連絡、意見交換及びその調整を行うため、各参加研究機関の研究代表者からなる研究連絡会議を適宜開催していただきます。
(3)各年度における研究実施計画の作成、経費の配分及び運用
- 各参加研究機関は、研究実施期間中毎年度、当該年度の各機関における研究実施計画及び経費案を作成し、中核機関に提出するものとします。
- 中核機関は、各参加研究機関から提出された当該年度の研究実施計画及び経費案を取りまとめ、調整の上、科学技術庁に提出していただきます。
- 科学技術庁は、経費の配分に当たり、中核機関から提出された経費の配分案等について所要の調整を行い、大蔵省と協議を行った後、国の機関(国立大学を除く。以下同じ。)に対しては移替え、その他の参加機関に対しては委託契約の締結を行います。
ただし、中核機関以外の参加研究機関に対しては、原則として、中核機関が委託契約の締結を行います。
- 中核機関は、研究推進委員会の助言等を、研究実施計画、経費の配分案等の調整、見直し(参加研究機関、参加研究者の選定等)に反映させるよう努力していただきます。
(4)経費の積算
本制度で使用できる経費の費目は、原則として以下のものとします。
1.非常勤職員手当
民間研究機関、公設試験研究機関、大学等の研究者等の参加する国の機関への任用に係る経費。
2.諸謝金
研究実施に必要な講師、委員、被験者等への謝金。なお、研究参加者については謝金の対象とはなりません。
3.職員旅費
国の機関の職員の、調査連絡に係る旅費、研究推進上必要とする調査等に係る旅費及び他の参加機関への派遣に係る旅費。
4.外国旅費
国の機関の職員の、研究推進上必要とする調査等に係る旅費。
5.委員等旅費
参加研究者等の研究推進委員会、研究連絡会議等への出席に係る旅費。
6.外国技術者等招へい旅費及び招へい外国人滞在費
外国人研究者の、国の機関への招へいに係る旅費及び滞在費並びに国内における旅費。
7.外来研究員等旅費
外国人研究者以外の非常勤職員の、国の機関への招へいに係る旅費、調査連絡に係る旅費、研究推進上必要とする研究集会への出席に係る旅費。
8.庁費
研究推進委員会、研究連絡会議、報告会等の開催に係る経費及び参加研究者の参加研究機関間の連絡調整等に係る経費。国内での特許出願に係る経費。
9.国有特許外国出願費
研究成果として得られた国有特許の外国出願に係る経費。
10.試験研究費
国の機関における試験研究の実施に係る経費。
11.科学技術総合研究委託費
参加研究機関(国の機関を除く)における試験研究等に係る経費(研究推進委員会、研究連絡会議、報告会等開催に係る経費、参加研究者の参加研究機関間の連絡調整等に係る経費を含む)。
7.研究評価
研究期間は原則として5年間とします。ただし、研究開始後3年目に中間評価を行い、評価の結果によっては研究を打ち切る場合があります。ゲノム科学委員会は、評価ワーキンググループを設置して、研究課題ごとに、研究開始後3年目に中間評価を行うとともに、研究終了後に事後評価を行い、それぞれ政策委員会に報告を行います。
また、ゲノム科学委員会は、中間評価の結果によっては、研究の打ち切りを含め、研究実施計画の見直しを行います。
8.課題の選定
当該研究課題の研究代表者・研究担当予定者との間に利害関係が認められない選考委員による書類審査(一次審査)及びヒアリング審査(二次審査)を行った上で課題を選定します(平成11年3月に実施予定)。
なお、課題の採択に当たり、上記代表者及び中核研究機関の関係者等との調整の上で、他の提案課題との統合、研究内容の変更等を行うことがあります。
9.提出書類
- 平成11年度科学研究振興調整費によるゲノムフロンティア開拓研究推進制度新規課題提案書(別紙1)
- 研究年次計画(別紙2)
- 研究担当予定者の研究実績等(別紙3)
- 研究の概要を示す資料(図表、ポンチ絵等;A4で1枚程度)
10.提出期限
郵送あるいは宅配便にて平成11年2月26日(金曜日)17時までに必着のこと。
11.提出先
〒100‐8966 東京都千代田区霞が関2‐2‐1
科学技術庁 研究開発局 ライフサイエンス課
12.応募に当たっての注意
- 課題提案書は中核機関が取りまとめた上で提出してください。
- 研究計画は、当該研究を推進する上で最適な規模としてください。
- 課題選定に当たっては、科学技術振興調整費の他制度あるいは他予算により実施することが適当と判断される提案課題は採択しません。
- 民間の研究機関及び公立私立大学等での研究実施に伴い発生した特許権等の知的所有権の扱いについては(参考2)を参照してください。
13.その他
提出書類は返却しません。その他、不明な点はお問い合わせ下さい。
問い合わせ先
- 科学技術庁 研究開発局 ライフサイエンス課
- 担当:森下、祖川、椎葉、山内
- 電話.03‐3581‐5250 Fax.03‐3506‐1960
- e-mail:raifu@sta.go.jp
(別紙1)平成11年度 科学技術振興調整費によるゲノムフロンティア開拓研究推進制度 新規課題提案書(様式)
1.研究内容に関する事項
1.重要研究開発課題
(当該研究課題が、ゲノム科学委員会が定めた「重要研究開発課題」(参考資料1)に示された研究課題のいずれに対応するのかを明記してください。)
2.研究課題名
・・・・
3.本提案課題の概要等
(課題の概要、必要性、緊急性、ゲノム科学委員会が定めた「重要研究開発課題」との整合性等を記載してください)
(1)概要
・・・を達成するため、・・・・を開発し・・・を確立することを目指し、・・・に関する研究を行う。(簡潔に要領よく、専門外の方でも分かるように数行で記入してください)
(2)必要性
・・・は、・・・として重要であるが、・・・がまだ確立されておらず、新しい・・・が期待されている。このため、・・・のために、・・・が必要となっている。
(3)緊急性
・・・は、・・・を進めていく上で早急に解決すべき問題であるが、・・・に関する開発はまだ、緒についたばかりであり、進展を待たれている状況にある。このため、・・・に関する研究開発を早急に開始することが急務である。
(4)ゲノム科学委員会が定めた「重要研究開発課題」との整合性、産官学連携の必要性等
・・・に関する目標を達成するには、・・・の解明のための・・・に関する研究開発が不可欠である。
本研究開発を進めるためには、・・・のため、○○株式会社○○研究所の・・・の研究、○○大学○○の・・・の研究、及び○○省○○研究所の・・・の研究を、連携して進める必要がある。
4.予定される研究参加機関及び研究担当者
(◎:中核機関、○:当該研究課題全体の代表者(中核機関の者である必要はありません))
産(民間研究機関等)(研究担当者名)
(◎)株式会社△△研究所 △△研究室 △上 △子
財団法人・・研究所 △△研究室 △畑 △子
学(国公立・私立大学等)
(○)▽▽大学▽▽学部 ▽▽研究室 ▽下 ▽彦
官(国立試験研究機関等)
××庁:・・研究所 ・・研究室 ・田 ・夫
△△省:・・研究所 ・・研究室 ・川 ・雄
・・省:・・研究所 ・・研究室 ・山 ・男
5.内容(研究計画、方法、研究担当予定機関及び予定者等)
(以下、各研究担当予定者毎に記載してください。また、それぞれ研究内容、達成目標等を、可能な限り具体的に箇条書きしてください。なお、達成目標については、3年後の中間達成目標も記載してください。ここで、研究担当予定者とは、当該研究課題の参加研究者の中で、各サブテーマごとの代表となる方を言い、当該研究課題への参加が、本人の承諾のみならず、機関としても承認されていることが必要です。)
- (1)・・・・・に関する研究
- ・・・・を目指して、・・・・に関する研究を行う。
- 1・・・・・に関する研究
- ・・・の達成を目標として、・・・により、・・・に関する研究を行う。
- (研究担当予定機関及び予定者)
- ▽▽大学▽▽学部▽▽研究室 ▽下 ▽彦
- 2・・・・・に関する研究
- ・・・の達成を目標として、・・・により、・・・に関する研究を行う。
- (研究担当予定機関及び予定者)
- ○○省○○研究所○○研究室 ○田 ○夫
- (2)・・・・・に関する研究
- ・・・・を目指して、・・・・に関する研究を行う。
- 1・・・・・に関する研究
- ・・・の達成を目標として、・・・により、・・・に関する研究を行う。
- (研究担当予定機関及び予定者)
- 株式会社△△研究所 △△研究室 △上 △子
- 2・・・・・に関する研究
- ・・・の達成を目標として、・・・により、・・・に関する研究を行う。
- (研究担当予定機関及び予定者)
- ▽▽大学▽▽学部▽▽研究室 ▽下 ▽彦
6.本研究課題に係る国内外の研究状況
7.研究計画及び所要経費
- (1)研究計画 別紙2
- (2)所要経費(単位:百万円)
8.期待される成果及び波及効果
(幅広い研究分野でどのように利用されるか具体的に記入してください)
2.中核機関に関する事項
- 名称:○○○○○
- 所在地:○○県 ○○市 ・・・・
- 連絡窓口:○○研究所 所長○○○○
(電話.:○○○○‐○○○○‐○○○○)
(Fax.:○○○○‐○○○○‐○○○○)
(E‐mail.: )
- 中核機関のこれまでの実績
- (1)研究マネージメントに関するこれまでの実績
- (2)研究課題に関連するこれまでの研究実績
(別紙3)研究担当予定者の研究実績等
- 氏 名(フリガナ)・年齢 ○○ ○○ (○○○○ ○○○○)○○才
- 所属研究機関名・職名 ○○省○○研究所○○室 主任研究官
- 連絡先
- 最終学歴 ○○大学○○研究科○○課程修了 ○○博士
- 研究活動の経歴
- 受賞歴、表彰歴
- 研究成果等
- 研究論文数 編(和文[国内]誌 編、欧文[国際]誌 編)
- 著書(レビュー)数 編
- 過去5年間の主な研究論文及び著書(レビュー)
←タイトル、著者、ジャーナル名、号、発行年等を記載
- 本制度以外に受け入れている研究費等
(本人が、本制度以外の制度等に基づいて受け入れている研究費について、それぞれの制度名、研究費、研究テーマ、及びそれぞれの研究における本人の役割を記載してください。その際、制度名、本人の役割等の区別については(参考4)を参照してください(以下の例で、A,B,Cの記述は本人の役割の区別です)。
さらに、本制度に応募した研究内容と他の制度等により実施する研究内容との相違点について、具体的に記載してください。)
[平成11年度確定分]
(制度名)
(研究テーマ、研究費、本人の役割)
- 「・・・・に関する研究(全体プロジェクト名)」
- 「・・・に関する研究(本人が担当するサブテーマ名)」 総額○○千円 (B)
- △△△省 △△△補助金 △△△研究
- 「・・・・に関する研究」 総額△△千円 (A)
[申請中及び申請予定分]
- ×××省 ×××研究費補助金 ×××事業
- 「・・・・に関する研究」
- □□□省 □□□研究開発制度
- 「・・・・に関する研究」 総額□□千円 (B)
[本制度による研究内容との区別の考え方]
- (各研究費間の相違点について具体的に記載してください)
(参考1)ゲノムフロンティア開拓研究推進制度の対象とすべき研究開発
平成10年12月9日
ライフサイエンス部会
ゲノム科学委員会
ゲノム科学は、「ゲノム科学に関する研究開発についての長期的考え方」に示されているように、ゲノム構造解析の側面とゲノム機能解析の側面、更には、それらの解析情報からゲノムに存在する原理を発見し、演繹的に機能を予測するゲノム情報科学の側面を併せ持つ全く新しい多面的な科学であり、その成果は、少子高齢化社会を迎える我が国の医療問題への対応、地球的規模での対応が求められている食料問題や環境問題の解決、新産業の基盤形成等を通じて、人類の幸福の増進のために重大な意義を有するものである。
上記長期的考え方においては、ゲノムに関する研究開発として、大規模塩基配列解析、cDNA の体系的解析等の体系的・組織的な対応が必要な基盤的な研究開発、研究者の優れた個性的な発想を支援育成することが必要な特定の遺伝子やタンパク質の機能等に関する個別的な研究開発、の他、各種ゲノム関連技術の開発が挙げられているが、今後、それらの研究開発を、それぞれの特色を踏まえて、的確な方法により推進していく必要がある。
科学技術振興調整費ゲノムフロンティア開拓研究推進制度では、上記長期的考え方に示された戦略的に取り組むべき重要研究開発課題のうち、基盤的な研究開発(中核的な拠点化が必要なほど大規模な取り組みを必要とせず、課題ごとに、産学官及び関係省庁間の連携と協力とを図りつつ実施すべきものに限る。)、及び、産学官及び関係省庁間の連携と協力による対応が適切な各種ゲノム関連技術の開発を対象とすることを基本方針とし、具体的には、以下を対象とする。
- ゲノムの全塩基配列情報に基づく、全遺伝子ネットワ‐クの体系的解析とそれによるゲノムの情報構築原理の解明(関連した情報処理技術の研究開発を含む。)
- 遺伝子多型又は遺伝子発現プロフィ‐ルの体系的解析とそれによる遺伝子機能 の解明(関連した遺伝子多型解析技術又は遺伝子発現解析技術の研究開発を含 む。)
- ゲノム研究を世界最先端のものとするための基盤となる独創的技術の研究開発
- 次世代大量塩基配列解析技術の開発
- タンパク質の分子機能解析技術及び相互作用解析技術の開発
(参考2)知的所有権の取り扱いについて
以下に示す資料は科学技術振興調整費に関する委託契約書から知的所有権に関する記述を抜粋したものである。なお、甲とは科学技術庁研究開発局であり、乙とは委託先の研究実施機関である。
(知的所有権)
- 第17条乙は、委託調査研究によって得た調査研究上の成果につき、次の(1)から(3)に掲げる知的所有権(以下、単に「知的所有権」という。)を甲に無償で譲渡するものとする。
- (1)特許権、実用新案権及び意匠権(以下「工業所有権」という。)並びに工業所有権を受ける権利
- (2)プログラムの著作物及びデータベースの著作物に係る著作権
- (3)(1)及び(2)に掲げる権利の対象とならない生物材料及び技術情報であって、甲及び乙が協議して特に指定するもの(以下「ノウハウ等」という。)を使用する権利
- 2 乙は、委託調査研究の報告書に関する著作権については、この委託調査研究の完了又は廃止の承認の日をもって、甲に無償で譲渡するものとする。
- 3 乙は、委託調査研究を実施するにあたり、既に乙において保有する工業所有権を受ける権利等がある場合で、委託調査研究の結果生ずる工業所有権を受ける権利等と複合する場合については、甲と同権利等を共有することができる。この場合、同事項の保全措置として本契約締結後60日以内に乙は甲に資料の提出を行い、文書により封印事項を記録化し甲の指定する者及び乙両者により封印を行うものとする。
- 4 乙は、委託調査研究によって得た調査研究上の成果が工業所有権を受ける権利又は著作権の対象となるときは、遅滞なくその旨を甲に通知するものとする。
- 5 第1項又は第2項の規定により著作権を乙から甲に譲渡する場合において、当該著作物を乙が自ら創作したときは、乙は、著作者人格権を行使しないものとし、当該著作物を乙以外の第三者が創作したときは、乙は、当該第三者が著作者人格権を行使しないように必要な措置をとるものとする。ただし、乙が、国立大学に再委託する場合において、当該第三者が国立大学であるときにはこの限りではない。
(出願等)
- 第18条甲は、前条第1項の規定により乙から工業所有権又は工業所有権を受ける権利を譲り受けたときは、乙に対し、乙がそのときまでに負担した当該工業所有権の出願から発生に係る登録までに必要な手続に要した全ての費用を支払うものとする。
- 2 乙は、前条第1項第1号の工業所有権を受ける権利を甲に譲渡していないときは、出願から工業所有権の発生に係る登録までに必要となる手続を、甲の承諾を得て甲の名義により行うことができる。この場合において、当該手続に係る工業所有権の登録が行われなかったときは、当該手続に要した全ての費用は、乙の負担とする。
(実施又は利用の許諾)
- 第19条甲は、第17条第1項第1号の工業所有権又は同項第2号若しくは同条第2項の著作権については、支障がない限り乙に対し、期間を定めてその実施又は利用を許諾するものとする。
(優先的実施)
- 第20条甲は、委託調査研究の成果に係る知的所有権を乙又は乙の指定する者(以下「優先実施権者」という。)に限り、甲と実施契約を締結した日を起算日として7年を超えない範囲内において、優先的に実施させることができるものとする。ただし、優先実施権者が、特段の理由により7年を超える期間が必要である旨申し出、それを適当と認める場合には、当該委託調査研究の終了の日から7年を超えて優先的に実施させることができるものとする。
- 2 前項の期間内にあっては、甲は、優先実施権者以外の者に対して当該知的所有権の実施の許諾を行わないものとする。
- 3 第1項の場合において、優先実施権者が当該工業所有権を優先的実施の期間の第2年以降において正当な理由なく実施しないとき、又は、当該工業所有権を優先的に実施させることが公共の利益を著しく損なうと認められるときは、甲は、優先実施権者以外の者に対し、当該工業所有権の実施を許諾することができるものとする。ただし、共有に係る工業所有権の実施を許諾しようとするときは、当該工業所有権の共有者の同意を得るものとする。
(参考3)経費の費目について
本制度で使用できる経費の費目は、原則として、以下のものとします。
(1)研究費の費目
1.非常勤職員手当
民間研究機関、公設試験研究機関、大学等の研究者等の参加する国の機関への任用に係る経費。
2.諸謝金
研究実施に必要な講師、委員、被験者等への謝金。なお、研究参加者については謝金の対象とはなりません。
3.職員旅費
国の機関の職員の、調査連絡に係る旅費、研究推進上必要とする調査等に係る旅費及び他の参加機関への派遣に係る旅費。
4.外国旅費
国の機関の職員の、研究推進上必要とする調査等に係る旅費。
5.委員等旅費
参加研究者等の研究推進委員会、研究連絡会議等への出席に係る旅費。
6.外国技術者等招へい旅費及び招へい外国人滞在費
外国人研究者の、国の機関への招へいに係る旅費及び滞在費並びに国内における旅費。
7.外来研究員等旅費
外国人研究者以外の非常勤職員の、国の機関への招へいに係る旅費、調査連絡に係る旅費、研究推進上必要とする研究集会への出席に係る旅費。
8.庁費
研究推進委員会、研究連絡会議、報告会等の開催に係る経費及び参加研究者の参加研究機関間の連絡調整等に係る経費。国内での特許出願に係る経費。
9.国有特許外国出願費
研究成果として得られた国有特許の外国出願に係る経費。
10.試験研究費
国の機関における試験研究の実施に係る経費。
11.科学技術総合研究委託費
参加研究機関(国の機関を除く)における試験研究等に係る経費(研究推進委員会、研究連絡会議、報告会等開催に係る経費、参加研究者の参加研究機関間の連絡調整等に係る経費を含む)。
(2)計上可能な費目の種類
参加研究機関は以下に示すように、その種類によって計上できる費目が異なります。
- 国研(費目1から10を計上可能):各省庁国立研究機関。
- 国立大学(費目11のみを計上可能):国立大学に属する研究機関。
- 民間(費目11のみを計上可能):民間企業、公益法人、私立大学、公立大学、任意団体等の研究機関。
(これは書類上の形式的な違いであって、実行上はどの参加研究機関も、同様の内容の経費を使用することが可能です。)
(参考4)別紙3の「8.本制度以外に受け入れている研究費」についての補足説明
1.記載事項
限られた研究資源を有効に活用することを目的として課題提案書に以下の項目の記載をお願いいたします。
(1)本人が関係する研究課題の列挙
本項目は、各研究担当予定者が本制度以外の他の研究を行っている(行う予定も含む)場合、本制度提案課題と他の研究課題との研究費及び研究内容の重複の有無を判断するために記載をお願いするものです。
(2)各研究課題における本人の役割
本項目は、本制度提案課題において本人が担当する研究の遂行に対する他の研究課題の影響を検討するために記載をお願いするものです。
2.記載すべき研究予算の範囲
本制度において研究者及び研究内容の重複を避けるべき研究予算の範囲を以下のとおりとしますので、該当する研究予算がある場合には記載してください。
科学技術庁関係
- 科学技術振興調整費:ゲノムフロンティア開拓研究推進制度(本制度で複数の研究課題に関わっている場合記述してください)
- ゲノム科学総合研究[理化学研究所]
- 高機能基盤生体データベースの開発[科学技術振興事業団]
- 放射線の生物影響に関するゲノム研究[放射線医学総合研究所]
- 遺伝子発現プロフィール研究[放射線医学総合研究所]
- 戦略的基礎研究推進事業(さきがけ研究21を含む)[科学技術振興事業団]
- 創造科学技術推進事業[科学技術振興事業団]
文部省関係
- 科学研究費補助金:特定領域研究(旧称、重点領域研究)
- 未来開拓学術研究推進事業[日本学術振興会]
厚生省関係
- 厚生科学研究費補助金:ヒトゲノム・遺伝子治療研究費
- 保健医療分野における基礎研究推進事業[医薬品副作用被害救済・研究振興調査機 構]
農林水産省関係
- 21世紀グリーンフロンティア研究
- イネ・ゲノムの効率的塩基配列解析技術の開発と全塩基配列の解明
- イネ・ゲノムの有用遺伝子の単離及び機能解明と利用技術の開発
- DNAマーカーを用いた効率的選抜育種技術の開発
- 動物ゲノムの効率的解析手法及び有用遺伝子の利用技術の開発
- 形態・生理機能の改変による新農林水産生物の創出に関する総合研究
- 病原微生物の遺伝子解析と利用技術の開発
- 新分野創出のための基礎研究推進制度[生物系特定産業技術研究推進機構]
通商産業省関係
- 産業有用微生物(超好熱菌等)のゲノム解析
- 国立研究所の特別研究のうちゲノム関連研究
- ゲノムインフォマティクスに係る技術開発
- DNA解析技術・情報処理技術
- 知的基盤創成・利用促進研究開発のうちゲノム関連研究
- 新規産業創造型提案公募制度[新エネルギー・産業技術総合開発機構]
3.研究者の役割の区別
研究者の役割を下記の3種類に分類して記載してください。
- A:研究課題全体の責任者
- B:研究課題の中のサブテーマの責任者
- C:研究課題の中の一担当者
4.記載内容の取り扱い
(1)同一研究者が本制度提案課題と他の研究制度での研究課題との両方に参加しており、「担当する研究項目の内容が著しく重複している」とゲノム科学委員会で判断された場合には、対応する研究項目の削除あるいは変更等の調整を課題採択の条件とすることがあります。
(2)本制度提案課題と他の研究制度での研究課題との両方で同一人が全体の責任者あるいはサブテーマの責任者を任されている場合、ゲノム科学委員会で当該提案課題の業務遂行に支障をきたす可能性があると判断された場合には、研究項目担当者の変更を課題採択の条件とすることがあります。