(委託先:財団法人政策科学研究所)
‐第195号‐
平成11年9月9日
本調査は、科学技術振興調整費により、平成10年度から平成11年度にかけて実施しているものであり、今回は平成10年度の調査結果について報告するものである。
社会との関係がかつてなく広く深くなってきた科学技術の今後の振興においては、科学技術と社会・国民とのあるべき関係を形成・確保しつつ進められる必要があるが、その検討上の基礎資料を得ようとするものである。今年度は全体像の俯瞰を試みる。
本調査では、科学技術と社会の関係の今後の展開を大局的に発見的に捉えるために、「科学技術の動向」「社会の動向」をふまえ、「科学技術と社会の関係の動向」を、有識者ヒアリング・検討委員会での検討により、重要問題事例110の分析と連動・フィードバックさせながら整理した。こうした試みは初めてであり、さらに精査すべき点があるが、幾つかの重要な知見を得た。
合意を形成すべき社会の側の構造変化と、科学技術の性格や機能、活動形態の変化により、「科学技術と社会の間の問題」は複合化・複雑化・国際化・深刻化・長期化しつつ、下図のような新しい質が生まれ、今後の社会と科学技術のそれぞれの在り方が試されている。
科学技術政策も、科学技術と社会の関係を全体として扱うためには変化が要請される。行政も一主体である複合社会を対象とする「公共政策」性や総合的戦略的に洞察する「俯瞰型政策」性の強化、社会への普及も対象に含む「イノベーション」政策や「需要/ニーズ指向」政策への拡張などが必要である。これに伴い、政策の「社会的形成」的アプローチ、すなわち、透明性・アカウンタビリティ(説明責任)、社会各層のコミュニケーションと合理的な知見の反映、ユーザー・最終受益者である社会・国民の参画などが要請されてくる。
我が国に適する政策過程や合意形成機構とその社会基盤を探るため、重要事例に即して、「専門家‐非専門家間」や「社会主体間」のコミュニケーションの在り方などをヒアリング、海外調査等を踏まえて、検討委員会で具体的に検討する。
角田 隆則
電話番号:03‐3581‐5271(内線316)
-- 登録:平成21年以前 --