我が国の科学技術政策の効果と課題に関する調査[第205号]

(委託先:株式会社三菱総合研究所)

‐第205号‐
平成12年7月27日

調査の概要

 本調査は、科学技術振興調整費により、平成11年度に実施されたものである。

目的

 科学技術基本計画に述べられている各施策の効果、問題点、研究開発の現状等に関する研究者の意識を把握し、科学技術基本計画のフォローアップを体系的に行うとともに、今後の科学技術政策を検討するための基礎資料とすることを目的とした。

調査結果

 1)研究者の研究環境等及び一般国民の科学技術への関心等に関する文献調査、2)研究マネージャー及び研究者に対するアンケート調査、3)若手研究者に対するヒアリング調査を実施し、その結果をもとに、科学技術政策の課題と今後の科学技術政策についてとりまとめた。調査結果のポイントを総括的にまとめると次の通りである。

  • 研究マネージャー、研究者とも流動化の必要性を認識。流動化に必要な施策は「公正な評価と評価に応じた処遇の実施」、「研究支援者の確保と研究環境の整備」、「任期終了後の身分・就職の保証」。
  • 研究者の流動化を進めるにも、適切な評価システムの確立が不可欠であるが、現状の評価システムに対する満足度は低く、改善が必要。評価システムの改善策は「研究の性格・難易度に応じた評価の確立」、「評価視点の明確化」、「評価を適切に反映した資源配分」、「評価結果に対する最終的責任者の明確化」。
  • 組織運営の柔軟化や資金の効率的使用の点から実施すべき対策は「予算の単年度主義の改善」、「研究所裁量予算の拡大・制度の創設」、「予算流用の自由度改善」。
  • 大学院生に対する研究者育成上必要な施策で多かったのは「大学院生への経済的支援の改善・拡充」、「実験・研究設備・施設の整備」、「研究スペースの確保」。
  • 研究者が研究に割り当てる時間は、国立大学で平均3.3時間(勤務時間の32%)、国研で平均4.4時間(勤務時間の47%)。魅力的な研究環境の実現のために早急に整備すべきものは「研究費の拡充」、「研究支援者の拡充」、「サバティカル・イヤー制度の導入」。
  • 研究スペースは狭く、施設の老朽化の指摘もあり、研究設備の整備状況も必ずしも十分ではない。必要なデータベースの整備状況は必ずしも十分ではなく、どのようなデータベースがあるかわからない研究者も少なからずいる。
  • 国際交流で重視すべき点は「若手研究者の海外派遣」、「諸外国からの若手研究者の招へい」、「先進国との研究協力」。
  • 独立行政法人化への不安をもっている研究者が多い。若手研究者へのヒアリング調査によると、予算の自由度の増大など、組織運営の柔軟性の向上を期待する声がある。

お問合せ先

科学技術庁科学技術政策局計画・評価課

松本 高敏
電話番号:03‐3581‐5271(内線317)

(科学技術庁科学技術政策局計画・評価課)

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