(委託先:株式会社社会工学研究所)
‐第208号‐
平成12年8月10日
本調査は、科学技術振興調整費により、平成11年度から12年度にかけて実施しているものであり、今回は平成11年度の調査結果について報告する。
国立研究機関の独立行政法人化を視野に入れ、研究者の人材マネージメントにおいて研究成果を左右する諸要因を把握し、創造的な研究成果を促す研究者の人材マネージメントのあり方を検討するための基礎資料を得ることを目的とした。
今年度は国内および欧州(英仏)における民間及び国立研究機関等の研究者、研究マネージャーに対してアンケート、ヒアリングによる調査を行い、研究業績として主に英文論文と海外出願特許を対象として分析した。
その結果、英文論文数向上に資することが認められたのは、職務へのコミットメントを高めること、研究テーマの設定等における自由度、外部研究者との情報交流の活性化、学会発表等の外部研究交流の活性化などであった。
また、海外特許出願数向上にプラスと認められたのは、組織へのコミットメントを高めること、組織内部の情報交流の活性化、活発な組織内移動などであった。
評価・報酬については、国研の研究者は民間よりも不満が大きい。主な内容は、「長期的観点に基づいた評価を行うべき」、「評価結果を本人に知らせるべき」といったもの。また、業績の高い研究者ほど、処遇・評価に不満を持ち、業績による報酬の差をより大きくすべきと思っている。
今後、各研究機関において創造的研究成果をあげるためには、それぞれの研究機関がどのような研究成果を目指すのかを明らかにし、それに対応した人材マネージメントを採用する必要がある。特に、研究者のモチベーションを高めるためにも、評価の透明性の確保が望まれる。そのためには、目標管理(MBO)、外部評価、多面評価の導入、強化等も考えられる。
宮崎 隆好
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