研究開発関連政策が及ぼす経済効果の定量的評価手法に関する調査[第213号]

(委託先:科学技術政策研究所 株式会社三和総合研究所)

‐第213号‐
平成12年10月12日

調査の概要

 本調査は、科学技術振興調整費により、平成10年度から平成11年度にかけて実施しているものであり、今回は平成11年度の調査結果について報告するものである。

 目的:本年度は、昨年度データを延長・更新し精緻化を行ったマクロ経済モデルをさらに発展させ、予測シミュレーションを行った。

調査結果

 政府研究開発費が対GDP比率1%を達成し、以後もその比率を維持した場合に、どのような経済波及効果が見られるのか、以上の観点から、2000年~2025年の間でシミュレーションを行った。

実質GDPの基本ケースとの差額(累積)

グラフ1 グラフ2

  • 基本ケース:名目公的固定資本形成、名目政府最終消費、名目政府研究開発費が年率1%で増加すると仮定
  • 公共投資への追加投資:2005年で対GDP比1%を達成するような政府研究開発費から基本ケースにおける研究開発費を引いた差額分を公的固定資本形成に追加した場合
  • 累積差額:各年の追加投資をした場合の実質GDPと基本ケースにおける実質GDPとの差額を累計したもの

1)政府研究開発費を拡充しなかった場合と比べて142兆円(25年間累計)GDP押し上げ効果がある

 2005年で政府研究開発費の対GDP比1%を達成した場合、2000年から2025年までの25年間に実質GDPが、基本ケースに比べて累計で142兆円押し上げられる。

2)同じ額の投資を公共投資に対して行った場合と比べて政府研究開発投資は25年間の累計で約1.5倍のGDP押し上げ効果がある

 同額の追加的公共投資を行った場合に基本ケース対比、押し上げられる実質GDPは累計で94兆円である。当初は公共投資の方が若干押し上げ効果は大きいが、2016年以降政府研究開発投資による効果が上回り、差額が拡大していく。結果、政府研究開発投資の方が長期的には実質GDPの押し上げ効果があり、公共投資に比べ25年間の累計で約1.5倍のGDP押し上げ効果があることが分かった。

3)対GDP比率1%の達成時期は、より早い達成が望まれる

 名目公的研究開発費の対名目GDP比率が1%に達するのが2005年の場合と2010年の場合とを比較すると、前者の方が一貫して後者を上回っている。より早く対名目GDP比率1%を達成した方が、長期的に見てもより実質GDPを押し上げる効果が大きい。

お問合せ先

科学技術庁科学技術政策局計画・評価課

末廣 孝信
電話番号:03‐3581‐5271(内線351)

(科学技術庁科学技術政策局計画・評価課)

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