我が国における技術発展の方向性に関する調査(第7回技術予測調査)[第219号]

(委託先:財団法人未来工学研究所)

‐第219号‐
平成13年7月17日

調査の概要

 本調査は、科学技術振興調整費により、平成11年度から12年度にかけて実施されたものである。

 目的:国内の技術専門家を対象とするデルファイ調査(同一内容のアンケートを繰り返し、回答者間の合意を得る手法)により将来の技術課題の重要度や実現時期等を予測し、今後30年間の技術発展の方向性を把握することを目的とする。

  • 調査分野:16分野(情報・通信、エレクトロニクス、ライフサイエンス、保健・医療、農林水産・食品、海洋・地球、宇宙、資源・エネルギー、環境、材料・プロセス、製造、流通、経営・管理、都市・建築・土木、交通、サービス)
  • 調査対象課題:全分野計1065課題
  • 課題に対する設問:重要度、期待される効果、実現予測時期、第一線にある国、政府がとるべき手段、懸念される問題点
  • アンケート回収状況:
     回収数3106(第1回の回収率86%、第2回の回収率82%)
     回答者属性(所属):会社員31%、大学関係42%、
     公務員(大学を除く)及び団体職員等27%

調査結果

  • 分野毎の特徴を把握する意味で、重要度と実現予測時期の関係を見ると、重要度は高いが実現に時間を要する分野として、ライフサイエンス、エレクトロニクス、環境、材料・プロセス、資源・エネルギーがあげられる。これら分野の研究開発推進に当たり政府がとるべき有効な手段としては、いずれも「研究開発資金の拡充」の回答割合が最も高いが、ライフサイエンスでは「人材の育成と確保」、エレクトロニクス、環境、材料・プロセスでは「研究開発基盤の整備」の割合も高い。一方、重要度は相対的に低いが比較的短期間で実現する分野としては、流通、経営・管理、サービスがあげられる。
  • 第一線にある国等について見ると、日本が優位とされた課題が多い分野は、資源・エネルギー及び交通の2分野、海外が優位とされた課題が多い分野は、保健・医療、宇宙、流通、ライフサイエンス、経営・管理、サービス等の分野となっている。
  • 科学技術を6分野(情報系、生命系、環境系、材料系、製造系、社会基盤系)に大別し、今後10年および2010年以降に重点をおくべき分野(3分野まで選択可)を全回答者に尋ねたところ、今後10年については情報系、生命系、環境系を重視する専門家が多く、2010年以降については生命系、環境系を重視する専門家が多かった。2010年以降について情報系を重視する専門家は減少している。多くの専門家は、情報系技術は基盤技術的な性格が強まり、同時に他分野との融合等による新領域の発展が見られると想定している。しかし、こうした新技術領域を情報系技術として捉えるべきか否かで意見が分かれており、新領域は別分野と考えた専門家が情報系以外を選んだことが、情報系技術の重要度の相対的低下をもたらしたと思われる。

お問合せ先

文部科学省科学技術政策研究所科学技術動向研究センター

横尾、小笠原
電話番号:03‐3581‐0605(直通)

(科学技術・学術政策局計画官付)

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