(事後評価)
(実施期間:平成15~19年度)
実施機関:京都大学(代表者:塩田 浩平)
先端医学領域でのベンチャー創業に必要な知的財産の発掘・管理・活用を担える人材(知的財産ディレクター)の育成を目的とした。3年間は、医学研究科、附属病院、探索医療センター等から生まれる知的財産の発掘、展開・移転、利用等を通してライフサイエンスの成果を効果的に知的財産に集約していく教育を行い、大学発ベンチャー創出に必要な知的財産ディレクターの養成、5年後にはベンチャーでの実務経験者からの知的財産戦略及び経営に関する実務教育を実施し、ベンチャーの知的財産マネジメントの役割を担える人材COO(chief operating officer)を養成することを目指した。
日本の医学分野における知的財産に関する人材養成は遅れており、この分野へのチャレンジは評価でき、有益なプロジェクトであると言える。但し、養成人数が目標に対して未達成であること、またベンチャー創業や知的財産ディレクターの養成に関する尺度が不明確であり、今後、改善の余地があると思われる。
<総合評価:B>
目指す目標設定は高いが、目標としていた養成人数に対して、達成率は60%(平成19年度入学生修了時点の平成20年度末では80%)であり、目標値を下回っている。
知的財産ディレクターの育成には技術、知的財産戦略、経営など、広範囲な教育が必要であり、本プログラムは有益と思われる。また、座学(基礎と実例)とインターンがバランスよく配置されており、特許出願・契約実務なども実施している。
しかし、養成対象である社会人に対して学びにくいカリキュラム構成であることや、海外との競争が激しい分野であるにもかかわらず、海外を意識したカリキュラムが少ないなど、物足りなさを感じる。今後、他大学などとの連携も視野にいれ、より広範囲な分野でのベンチャー創業や知的財産ディレクターの養成、社会人が学びやすく、海外の動向も意識したカリキュラム構成にするなど、改善の余地があると思われる。
先端医学領域でのベンチャー創業には知的財産戦略的要素が不可欠であり、知的財産ディレクターの養成は有益である。しかし、COOの認定・評価基準が不明確であり、他機関での利用、波及効果が不明瞭である。
既存の大学院医学研究科社会健康医学系専攻の中に知的財産経営学分野を設置することで継続性は確保されており、継続発展に向けた自助努力は評価できる。今後は経営管理大学院との連携を密にし、継続強化が望まれる。
COOの養成や社会人への対応など計画の見直しを行い、改善の努力がなされているが、具体的な効果は上がらなかったようである。今後、この点をどのように発展させていくかに期待がかかる。
総合評価 | 目標達成度 | 人材養成手法の 妥当性 | 人材養成の 有効性 | 実施計画・ 実施体制及び継続性・ 発展性の見通し | 中間評価の反映 |
B | c | b | b | b | b |
科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当)
-- 登録:平成21年以前 --