(中間評価)
(実施期間:平成18~22年度)
実施機関:山形大学(代表者:大場 好弘)
連携自治体:山形県
「『食農の匠』育成プログラム」では、新たな「食農産業」の担い手となる「生産技術からマーケティング・経営」までを総合的にマネジメントでき得る人材=『食農の匠』の育成を目指し、「食品MOT」教育プログラムを実施する。具体的には、理工学研究科ものづくり技術経営学専攻に食品MOTコースを設置し、人文系、農学系等の協力のもと、座学や実習プラントによる一貫した演習等を中心にしたカリキュラムを編成し、3年目で6人、5年目で累計18人の人材輩出を目指す。本プログラムは、県等が行う地域再生計画実現のため、新たな企業活動・生産活動を現場で実行していく人材を供給していく役割を担う。
地域のニーズに対応したプログラムとなっており、育成プログラムは計画通り進捗している。養成人数も目標を達成している。ただし、「モノをつくる」視点が優位のプロジェクトであり、「モノを売る」視点が弱いと考えられるので、マーケティングに関するカリキュラムの強化が望まれる。養成された人材が最上地域の再生、活性化にどの程度寄与したのか検証する仕組みの構築が今後の課題である。
<総合評価:B>
最上地域の再生を強調した計画であるが、実際の取組では山形県全域が念頭に置かれており、計画と実施との間に若干のずれが見受けられる。今後、最上地域の再生を目指した取組の強化が望まれる。また、養成される人材は、最終商品について安全性や薬事法上の問題がないよう、責任ある管理もできる人材と想定され、「食農の匠」の要件を評価するシステムが必要である。
<今後の進め方:B>
食品MOTファンクラブを立ち上げ、養成後のビジネス展開を実施している点は評価できる。所期の計画通りに進捗しているが、個別の取組が全体計画においてどのような位置づけになっているかがやや不明確である。個々の取組を体系的に位置づけた上で、進捗状況を判断できるような工夫が望まれる。
食と農にMOT的視点を付加する試みは重要であるが、その有用性を確認する手法を検討する必要がある。最上地域の課題と「食農の匠」による人材養成の方策との関連性を明確にし、専任教員の役割を更に高めたプログラムの実施、地元自治体との連携の推進、ガバナンスの強化などにより地域再生に向けた成果を大きくするための努力が必要である。
受講生は地域の地元企業から集まっており、修了後の人的ネットワークづくりによる拠点形成が期待される。また、実践的なカリキュラムが実施され、企業からの招聘講師による講義が行われている点が評価できる。
山形大学教員、自治体職員、県立農業大学校教員による実施体制が組まれている点は評価できる。ただし、ブランド、流通、マーケティングなどに関する講義に食品関連企業の人材を積極的に活用するなどの改善が必要である。また、プロジェクト実施に関わる組織が地理的に離れていることによる受講生の不便を減らすための工夫が必要である。
最上地域の再生に貢献する人材養成というプログラムのキーコンセプトを再度確認し、地域に供給された人材の質を高め、地域再生に寄与する一連のプロセスの実現可能性をさらに高める必要がある。また、「食農の匠」の要件を評価するシステムを確立する必要がある。食品MOTファンクラブの設立は継続性を獲得するための手法として評価できるが、どのように機能させていくかは今後の課題である。
総合評価 | 今後の進め方 | 進捗状況 | 拠点形成手法の 妥当性 | 拠点形成の 有効性 | 実施体制の 妥当性 | 継続性・ 発展性の見通し |
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科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当)
-- 登録:平成21年以前 --