(中間評価)
(実施期間:平成18~22年度)
実施機関:鹿児島大学(代表者:吉田 浩己)
連携自治体:鹿児島県
焼酎や黒酢などを生産する醸造業は鹿児島県の産業の中心的位置を占めており、本課題では、伝統と地域の特性を生かした醸造業を支える技能に科学的、文化的な側面の裏付けを与え、世界へ向けての鹿児島ブランドを確立できる人材、さらにブランド力を高めるための経営センスを有する人材を育成することを目指す。このため、本ユニットでは以下の3コースを設定する。1.安全と品質管理等に関する高度技術を持つ人材を養成する食の安全管理コース、2.技術マネージメント力を持つ人材を養成する経営管理コース、3.歴史・文化・環境をはじめ健康・長寿の基礎知識など、食を中心とした鹿児島の魅力を情報発信できる人材の養成を目指す健康・環境・文化コース。本課題では、3年目に計150名、5年目に計250名の修了者を目指している。
醸造産業クラスターの構築は地域活性化の面で重要であり、鹿児島県独自の産業にフォーカスしている点は評価できるが、大学と鹿児島県との連携を可能にする仕組み、体制が不十分である。また、原料の安全性に関するカリキュラムを強化する必要があり、県との連携を強化し、養成された人材が地域で活躍する仕組みを作ることが望まれる。
<総合評価:B>
健康・環境・文化コースについては、カルチャーセンター的な色彩から脱し、人材養成の実効性を高めるための見直しが必要である。産学連携を踏まえた人材育成手法と地域への経済効果が期待できるプログラム、カリキュラムへの再編成が望まれる。修了生の地域再生への貢献については、継続的な追跡調査を実施し、当初の計画通りの貢献が達成できているかについて明確にすることが必要である。
<今後の進め方:B>
「食の安全管理コース」の第1期修了生が大学院に進学し、焼酎新商品を開発し、県の観光PRに貢献するなどの成果が出ていることは高く評価できる。一方、「健康・環境・文化コース」については、人材養成の具体的な成果が不明確な状況である。
地域再生を支えるための多様な人材を育成する観点から3つのコースが設けられ、着実に進められている点は評価できる。当該事業のステイク・ホルダーを再度検証し、目標達成のためのガバナンスを構築することが望まれる。また、世界に向けての新製品開発能力、ブランド力を高めるための経営センスを養成するためには、拠点形成事業、カリキュラムの見直しが必要と考えられる。
養成された多様な人材のコラボレーションの推進により地域振興への貢献が期待できる。このためのコラボレーションの具体的体制の構築が必要と考えられる。
鹿児島大学以外の本事業へのコミットメントが不十分であり、鹿児島県や地元産業が組織として本プロジェクトに関わる体制の強化が必要である。また、外部評価体制の確立が望まれる。
既存の「焼酎学講座」、稲盛アカデミー及び生涯学習教育研究センターをベースとして、鹿児島県及び産業界と連携しながら、本事業を継続・発展させる具体的な検討が早期に進展することが望まれる。
総合評価 | 今後の進め方 | 進捗状況 | 拠点形成手法の 妥当性 | 拠点形成の 有効性 | 実施体制の 妥当性 | 継続性・ 発展性の見通し |
B | B | b | c | c | c | b |
科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当)
-- 登録:平成21年以前 --