(中間評価)
(実施期間:平成18~22年度)
実施機関:独立行政法人 日本学術振興会(代表者:小野 元之)
本会が長年にわたり培ったアジア諸国とのネットワークを活用して、アジア科学技術コミュニティを形成し、その中で我が国が主導的立場を占めることを目指す。そのため、アジア諸国の主要ファンディング機関やアカデミーの長が結集する『学術振興機関長会議』を創設する。同会議では、アジアの共通課題やグローバルな課題について討議し、アジアの学術・科学技術活動を世界に発信するとともに、アジアの科学技術コミュニティ形成の象徴的行事とすることを目指す。各界トップレベルの有識者からなる運営委員会と、少数の実務レベル専門家からなるコーディネータ会議を設置し、同会議での議論を始めとする様々な情報や、政策的要請を含めた広範なニーズを分析し、アジアのコミュニティ形成戦略を立案する。その上で、我が国やアジア諸国のニーズを機動的に反映した各種の国際交流、アジアで来日経験のある研究者のデータベースの整備・公開、各セクターで行われているアジアとの交流の連携強化等を行う。
アジア科学技術コミュニティの戦略的な形成を目指し、アジア学術振興機関長会議(ASIAHORCs)やHOPEミーティングをはじめとする有意義な各種国際交流事業が実施されている。また、機動的国際交流事業においても年平均10件ほどの研究交流事業が実施されるなど、事業は当初計画通り、順調に進捗している。防災やナノテク分野等で、アジア地域間や二国間における共通課題の抽出や研究課題設定がなされる等、成果も着実に上がっている。今後は、アジア科学技術コミュニティの形成に向けて、本事業ならではの具体的な戦略的成果に繋げられることを期待したい。
<総合評価:B>
アジア学術振興機関長会議、HOPEミーティングや各種機動的国際交流事業による多層的ネットワーク構築を軸にした事業を計画通り、順調に進めていくことが期待される。なおその際には、運営委員会及びコーディネータ会議が中心となり、本国際交流推進事業の成果をアジア科学技術コミュニティの形成に繋げていく戦略的な道筋(ロードマップ)をより明確にして、プロジェクトを推進されたい。そのためには本課題終了時におけるアジア科学技術コミュニティ形成上の達成目標と、その達成基準をより明確にすることが望まれる。
<今後の進め方:B>
アジア学術振興機関長会議及びHOPEミーティングの開催や機動的国際交流事業の実施、また、アジア科学技術コミュニティ形成に資する戦略立案機能を担う運営委員会やコーディネータ会議が設置される等、ほぼ当初の計画通りに進捗している。今後は、本国際交流事業による成果を、アジア科学技術コミュニティ形成に結びつけていくための具体的な戦略・仕掛けを明確にし、この観点での課題終了時の達成目標をより明確にして、事業を推進されたい。
運営委員会やコーディネータ会議の設置により、アジア科学技術コミュニティ形成に向けた戦略立案及び機動的国際交流事業の実施を組織的に行う仕組みが作られた点は評価できる。しかし、その仕組みの下に行われた各種国際交流事業については、将来的な展望・展開や具体的な発展性等に関する実施後の検討状況が見えにくく、アジア科学技術コミュニティ形成に向けた戦略上の意義の検討やフィードバックが、必ずしも十分に行われているとは言えない。今後は、運営委員会またはコーディネータ会議の運営に例えば外国人、外務省等の関係メンバーを加えるなどにより運営体制を強化し、より国際的な視野に立って、各国の政策ニーズの把握・分析に努め、戦略性を意識した事業推進を行う必要がある。
アジア学術振興機関長会議やHOPEミーティングをはじめとする各種国際交流事業は、当初の計画通りに順調に進捗している。特に、HOPEミーティングに関しては興味深い取組であり、アジア科学技術コミュニティの形成を目指す上でも、有意義なものになるものと思われる。
国際交流事業によって構築されたネットワークについては、日本のイニシアチブを保ちつつ、他国を巻き込んで長期的に維持・発展していくことが必要である。そのため、実施期間終了後においても継続的な運営が重要であり、そのための、より具体的な仕組み・方策を示すことが望まれる。
総合評価 | 今後の進め方 | 進捗状況 | 運営体制の妥当性 | 国際交流の成果 | 実施期間終了時における 取組の継続性・発展性の見通し |
B | B | b | c | b | b |
科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当)
-- 登録:平成21年以前 --