11.組織医工学における材料・組織評価法の確立

(事後評価)

(実施期間:平成17~19年度)

代表機関:東京大学(代表者:牛田 多加志)
参画機関:
東京女子医科大学、大阪工業大学、独立行政法人 産業技術総合研究所、独立行政法人 物質・材料研究機構、オリンパス株式会社

課題の概要

 再生医療の普及、実用化を図るため、再生医療材料と再生組織について、その諸特性に関する計測及び試験手法そして表現方法を、医学・工学の両面から評価マップとして体系化すると共に、in-vivo 実証試験を踏まえ、再生組織の生体移植の可能性を判定する評価アルゴリズムを構築して、ISOへ提言するための標準案を作成することを目的とした。具体的には、軟骨、血管、骨、弁という4種類の人体各部位に関わる主要な再生医療材料と組織の評価方法を、超音波、MRI、光学等の主要な計測方法を用いて体系化すると共に、その評価体系を生体内、生体外評価を通じて検証し、欧米の研究者等との調整も行って国際標準案の作成を目指した。

(1)総合評価(所期の計画と同等の取組が行われている)

 オールジャパン体制で評価アルゴリズム作成を行い標準化提案を行うことにより、ISOにとって初めての再生医療材料及び再生組織の評価を対象とするサブコミティ設立を実現させた成果は評価できる。一方で、弁、血管に関するテーマに関しては、提案に比べて研究期間が5年間から3年間に短縮されたこと、そしてアプローチが難しいテーマであることの2つの点を考慮しても、得られた成果はもの足りない。研究計画・実施体制の見直しなどを行って改善する余地があったものと考えられる。これらの点を総合して、所期の計画と同等の取組が行われたと判断された。

<総合評価:B>

(2)個別評価

1.目標達成度

 再生医療材料及び再生組織の評価に関する標準化法についてISO提案を行いISOにおいて当該のサブコミティ設立を実現させたこと、また軟骨や骨に関する研究成果、材料評価法に関する成果、それらの活発な論文発表と特許出願状況などが評価され、所期の目標に達したものと判断された。
 なお、臨床的検証、特に弁特性の評価法検討については、そのアプローチの困難さを考慮しても、改善の余地があったものと考えられる。

2.情報発信

 工夫を凝らした活発な市民公開シンポジウムや公開ラボ等での積極的なアウトリーチ活動、そして研究成果について多くの発表が行われたことより、情報発信は適切に行われたものと判断された。しかし一方において、一部分のテーマに偏った活動であった点は否めない。

3.研究計画・実施体制

 ISO提案を実現させたオールジャパンの体制は評価される。しかし一方で、提案時より早期の成果獲得が求められ、適した研究計画・実施体制が求められた。実施期間も短縮されたが、その点を考慮しても、血管、弁に関する研究成果はもの足りないと判断された。計画・体制のより十分な検討が必要であった。

4.実施期間終了後における取り組みの継続性・発展性

 国際競争が激しい分野であるが、その社会的ニーズおよび本研究に対する期待度は大きく、計画された軟骨、骨に関する研究継続に期待が持たれる。他方、血管、弁についても社会ニーズに応えるべく、研究体制について見直しを図り、具体的に研究を継続することが望まれる。

(3)評価結果

総合評価目標達成度情報発信研究計画・
実施体制
実施期間終了時に
おける取り組みの
継続性・発展性
Bbbcb

お問合せ先

科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当)

(科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当))

-- 登録:平成21年以前 --