(中間評価)
(実施期間:平成18~22年度)
代表機関:豊橋技術科学大学(代表者:青木 伸一)
参画機関:浜松ホトニクス株式会社、本多電子株式会社、東京大学、財団法人土木研究センター
わが国の砂浜は近年著しく侵食が進み、沿岸防災上緊急の課題となっている。反面、防護構造物による海岸の人工化は貴重な海浜環境の喪失を招いている。本研究は、先端技術を用いて土砂資源や沿岸の土砂動態の詳細を解明し、海岸の土砂を動的に安定させることによって、海浜環境の保全と沿岸防災を共存させるための広域土砂管理技術を開発することを目的とする。
具体的には、天竜川・遠州灘海岸を対象に以下の研究を実施する。(1)沿岸域での土砂輸送と地形変化をダイナミックにとらえる新しい観測技術の開発、(2)流域・沿岸域の土砂資源の量と質の分布および広域土砂動態の把握、(3)組織的な現地観測による土砂輸送機構の解明と高精度地形変化予測モデルの開発、(4)具体的な土砂管理手法の提示と津波等の沿岸災害に対する海浜の防災力の評価、(5)沿岸防災と海浜環境の保全を両立する施策の総合的検討。
先端技術を用いた計測技術開発に関しては、砂粒子分析技術、三次元地形計測技術、海底地形モニタリング技術、浮遊砂計測技術の4項目について予定通りの成果が得られており、概ね当初の中間目標は達成したと判断できる。動的土砂管理技術に関しては、課題解決のための技術的な提案がなされていないため、今後はサンドレイズ工法等の対策工法の評価、他地域での有効性(汎用性)を含め、適切な評価が為されることが望まれる。
<総合評価:B>
計測技術はほぼ確立されたと思われる。今後は、行政機関との連携による他の地域への広範な展開も視野に入れ、開発技術を用いた既存の数値予測法の精度向上と検証を重ね、開発技術に基づく土砂管理技術を確立することが重要であり、本計画の発展的推進を期待する。
<今後の進め方:A>
計測技術に関しては、目標とした新しいモニタリング技術が完成し、種々の観測データ等の基礎的な情報が相当量得られており、土砂管理の定量的評価の可能性が期待される。一方、土砂管理技術に関しては、数値予測と計測技術との具体的関連が必ずしも明確になっておらず、詳細な検討が望まれる。
当初計画していた光技術を用いた砂粒子分析技術、超音波技術を用いた三次元地形計測技術・海底地形モニタリング技術・浮遊砂計測技術の開発において、所期の成果が得られている。また、海岸土砂の起源を解明するために河川上流部の岩石分類が為されるなど、新しい研究成果も得られている。しかしながら、土砂管理手法の提示に関しては具体性が乏しく、全国展開のシナリオも描かれておらず、今後、これらを明確にすることが求められる。
先端技術を提供する企業と、それを具体的に活用して技術の有効性を検証する海岸工学の研究者による適切な連携がなされている。一方、地元漁業関係者などからの協力は得られているが、市・県レベルでの自治体の役割に、やや物足りなさを感じる。また、他の海域を担当する県・国レベルの防災対策への働きかけに関する言及も無く、取り組みの強化が求められる。
総合評価 | 今後の進め方 | 進捗状況 (目標達成度) | 研究成果 | 研究計画・ 実施体制 |
B | A | b | b | b |
科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当)
-- 登録:平成21年以前 --