(事後評価)
(実施期間:平成17~19年度)
代表機関:東京大学(代表者:津本 浩平)
共同研究機関:味の素株式会社
蛋白質を操作(マニピュレート)する上で最も大きなハードルは"如何に溶かすか"である。本課題では、アミノ酸およびその関連化合物が持つ新規な作用機序に着目、分光学的、構造学的ならびに熱力学的にその作用機序を詳細に解析するとともに、可溶化・再生技術へ発展させ、蛋白質の種類によらないハイスループットな蛋白質調製の技術基盤の確立を目指した。温度、pH、塩濃度というファクターについて基礎的な知見を蓄積し、それら理解の下に不溶性分子の可溶化、分析・精製プロセス、膜蛋白質の抽出・可溶化のための新しい試薬の開発などを可能とする具体的な技術を追求した。
可溶化剤としてアルギニンを同定し、それを用いた難解析性蛋白質の可溶化メカニズムを解析、可溶化技術の汎用化検討を行った。目標達成度は良好であるとみなされる。また原著論文、特許等の内容は基礎的研究にとって大変興味あるものであり、量的にも適切に発表されている。しかしながら、実用面において有効性のある実証はこれからであり、また産学共同研究としての相乗効果が明確には認められない。今後の実用化に向けた適用事例の展開を期待したい。
以上のことから所期の計画と同等の取組が行われていると評価される。
<総合評価:B>
可溶化剤、添加剤の同定とその効果解析を行い、アミノ酸関連化合物の広域探索を実施した。また実施例は少ないものの可溶化技術の汎用化検討を行い、これらを用いた膜蛋白質の発現系構築を示し、再生された蛋白質の構造・機能物性の解析を行った。これらは、当初の目標に達していると判断できる。
蛋白質ハンドリング技術の追求として、可溶化剤の同定、それを用いた蛋白質の安定化、構造特性の解析など、一定の成果が得られおり、また原著論文・特許等も適切に発表されている。所期の計画と同等の成果が得られていると判断できる。ただし、現時点では実用面での有効性・波及効果は不明であり、今後の実用化に向けた適用事例の展開を期待したい。
産学ともに最も適切なグループで共同研究されており、計画も妥当なものであったと思われる。しかしながら、産学連携の相乗効果に係る明確な回答が見られず、今後の展開・実用化については不透明である。
総合評価 | 目標達成度 | 研究成果 | 研究計画・実施体制 |
B | b | b | c |
科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当)
-- 登録:平成21年以前 --