(事後評価)
(実施期間:平成17~19年度)
代表機関:独立行政法人産業技術総合研究所(代表者:工藤 知宏)
共同研究機関:日本電信電話株式会社
光パス提供型商用ネットワーク上で、ユーザが超高精細映像コンテンツ配信など、ネットワークの用途を大きく広げるために、必要なときに必要な帯域(1Gbps~10Gbps超クラスの帯域)の通信パスを確保できるようにすることを目的とした。具体的には、プロバイダが提供する機能と、グリッドサービスが提供する機能間の資源管理インタフェースを定め、これに対応してネットワーク上の計算機などの資源と同時に通信パスをスケジューリングし、ユーザに提供するグローバル資源管理機能を開発し、実ネットワーク上での機能間の連携動作を、実アプリケーションを用いて実現することを目指した。
経済モデルなどの幾つかのユーザに提供するビジネスサービスの目標設定に対して、実現に至らなかった部分もあるが、光パスとコンピュータとの同時の資源管理を実現するとの目標を達成しており、概ね計画に従って研究を実施したといえる。光パス資源を管理する構成のネットワークを対象とした研究を実施し、資源管理インタフェースとグローバル管理により、実ネットワークで動作検証も行っており、その成果は評価できる。しかしながら、産学連携の目標の中で重要な部分を占める標準化の道筋が明快ではない。今後、標準化・商用化に向けた取り組みに期待する。
<総合評価:B>
資源管理インタフェース、グローバル管理機能、実ネットワークの動作検証のテーマに基づいて技術的には目標を達成しているが、共同研究の具体的なアウトカムとして採択時に期待された「需要と供給のバランスにより価格が変動する経済モデルの導入による利用形態」が達成できておらず、標準化・商用化の道筋などの本方式の普及戦略が明確にされていない。
類似の海外プロジェクトに先行して実証実験を行なっており、世界をリードした研究が一部実施されたことは評価できる。しかし、光パスの自動予約が実際にどのようにグリッドサービスの向上に役立つのかについて、本研究で具体的に示されたとは言えない。また、特許出願が少なく、海外論文発表も限られている。実証実験も複数のユーザが予約を行なって競り合う状況での実験が行なわれておらず、またそれを解決するために当初予定していた経済モデルの確立なども未達成な部分がある。ビジネス部分が弱く、社会的・経済的波及効果に関してやや不十分な面も見られるため、今後は具体的効果のイメージを持たせて発展させてほしい。
研究とビジネスへの展開を実施するための共同研究の連携も取られており、妥当な実施体制であった。ビジネス面からの協力があるとさらに良かったと思われる。また、商用化を実現するには海外ベンダとの連携も積極的に検討すべきである。普及・標準化の観点ではネットワークユーザの意見を研究計画・内容に積極的に取り入れるなどの工夫をし、実証試験の問題点を明確にして研究開発を推進されたい。
総合評価 | 目標達成度 | 研究成果 | 研究計画・実施体制 |
B | c | b | b |
科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当)
-- 登録:平成21年以前 --