(中間評価)
(実施期間:平成18~22年度)
実施機関:東京医科歯科大学(代表者:野田 政樹)
既に自主的に取り組んでいる独立教員制・6施設からなる高度研究支援コアを拡充し、既存の外部諮問委員会を基盤として、その上に「メデイカル・トップトラック(MTT)制度」を確立する。
メディカル・トップトラック(MTT)難治疾患研究テニュアシステムでは、医科学研究領域の若手を育成するため外部・内部審査委員からなる評価委員会を設立し、書類審査とプレゼンテーション(英語)による厳正な2段階審査により多様かつ優秀な若手研究者を採用ならびに継続的に独立を支援する。業績評価とテニュア審査に加え、「国際アドバイザリーパネル」を設立して一流海外研究者による直接的な指導により独立研究支援を行う。この評価もふまえて、"MTT推進委員会"で統合的育成を行う。
様々な斬新な企画と運営を目指し、多様な活動を展開していることや海外から優秀な若手研究者を採用した点は評価できる。しかしながら、世界トップレベルの研究者の育成を謳い、きわめて高いレベルの応募者があった一方で、採用者が日本人のみとなっている点については、公募方法とその採用審査基準などに更なる検討が望まれる。採用人数については採択時の計画から変更が見られるがその理由と効果を明確にすること、プログラムの将来展開への影響などについて十分なPDCAサイクルの活用が望まれる。2段階育成システムを提案しているが、この制度の意義が曖昧でその進捗が明確でなく、改革しようとする制度の明確化とその学内などへの更なる周知が必要と思われる。また、将来の完全なテニュア・トラック制度定着を目指しながら、予定しているテニュア枠がかなり少なく、競争的環境を重視している事で今後のプログラム展開への影響が懸念されるとともに、一部局での取組であり、全学展開への道筋が不明確であり、継続性への不安も残る。
一方、高い業績のある優秀な若手研究者の採用に成功しており、自立的研究環境の整備と明確なマネージメントのもとで、目的とする世界トップレベルの研究者の育成へ本システムが大きく寄与できる可能性はあり、今後の適切なPDCAサイクルのもと、更なる発展を期待する。
<総合評価:C>
計画の目標に沿って着実に進めることが期待される。特に、若手研究者の育成方法、支援内容、テニュア審査基準、テニュア・トラック制度の具体的展開などについて、ミッションステートメントに則った展開を着実に進めていただきたい。また、テニュア枠の拡大と不任用人材のキャリアパスなどに対しても十分な配慮がなされることが望まれる。
<今後の進め方:B>
業績が高く優秀な若手研究者の採用に成功し、多面的な支援システムを創設などは評価できるが、全体として体制作りが具体性に欠け、育成プログラムの進捗が懸念される。特に、提案時の計画から採用人数が変更されているが、そのことによるプログラムの将来展開への影響などが十分に説明される必要がある。また、テニュア枠や中間評価基準、テニュア審査基準にもやや具体性がなく、採用された若手研究者に不安を与える可能性がある。一部局に限られた人事改革システムではあるが、所期の目標であった全学への波及に対しても具体化が望まれる。
学外・海外審査委員を加えた評価委員会で厳正な審査が行われたことは評価できる。また、海外在住の日本人が多く採用された点も評価できるが、公募に対して応募者数が多くないこと、また外国人の採用がゼロであることや女性の採用が少ないなど人材の多様性に対する状況は、国際公募の方法、テニュア枠及び審査基準に改善の余地があると思われ、更なる検討が望まれる。
採用した若手研究者をジュニアMTTフェローとシニアMTTフェローの2段階に分けて育成する独自の工夫を取り入れた点、また各種環境整備や施設支援、講習会の実施、国際シンポジウムの自主開催などの実施内容については評価ができる。しかしながら、提案の2段階で育成する意義や有効性は未だ明確でなく、メンターやアドバイザリー委員会の役割も明確にされることが望まれる。また、外部資金獲得の指導が強調されているが、一方で若手研究者育成の視点への配慮も望まれる。
テニュア・トラック制度を大学に根付かせるために、MTT推進委員会を開催するとともに、大学事務部とのミーティングを複数もつなど、制度定着へ向けた意欲は高いと判断されるが、制度の内容、使われている説明用語などが不統一で、システムとして定着化するかどうかが懸念される。改革構想の明快な記述によるシステムの構築を図り、若手研究者及び学内に周知すべきであると考えられる。また、PDCAサイクルによるマネジメント進化の道筋も見えない。
難治疾患研究所では、本プログラム開始に先駆けて、採用を完全公募制とし、教授や新任教員に再任可能な任期制を導入するなど流動性の高い人事システムを構築しており、本プログラム実施により、これを更に維持・発展させて、研究所全体へ定着させようとする試みは評価できる。しかしながら、独自財源による取組も行われておらず、実施期間終了後の改革の形とその継続イメージが不明確であり、定着への道筋や既存のシステムとどのように整合を取り、融合させるのか具体性に欠ける。また、財源の確保にも十分な配慮が求められる。
総合評価 | 今後の進め方 | 進捗状況 | 国際公募・ 審査・ 業績評価 | 人材養成 システム改革 (実施内容・実績) |
人材養成システム 改革 (マネジメント) | 実施期間終了後の 継続性 |
C | B | c | c | c | c | c |
科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(推進調整担当)
-- 登録:平成21年以前 --