リサーチ・アドミニストレーター(URA)を育成・確保するシステムの整備

事業進捗状況評価結果等について(平成23年度開始機関)

 標記の件について、このたび、「リサーチ・アドミニストレーターを育成・確保するシステムの整備」推進委員会において、進捗評価を実施し、その結果についてとりまとめました。
 平成23年度開始の5機関について、すべての機関においては、事業全体としておおむね順調に進展しており、標準的な進捗状況を満たしていると判断されました。また、他機関の参考となる先進的取組が順調に進展しているとして優れた進捗状況であると判断された機関もあり、各機関においてはURAを育成・確保するシステムの整備は着実に進んでいるものと考えられます。

平成23年度事業開始機関における事業進捗状況評価結果等

(評価結果)

評定の目安

機関名

 事業全体として順調に進展しており、他機関の参考となる先進的取組が進展しているなど優れた進捗状況と判断する

国立大学法人東京農工大学

国立大学法人京都大学

 事業全体として順調に進展しており、全体として良好な進捗状況と判断する

国立大学法人金沢大学

 事業全体としておおむね順調に進展しており、標準的な進捗状況と判断する

国立大学法人東京大学

国立大学法人名古屋大学

 事業全体としての進捗状況が不十分であり、改善が必要な状態と判断する

該当機関無し

※評定の目安については、「リサーチ・アドミニストレーターを育成・確保するシステムの整備」(リサーチ・アドミニストレーションシステムの整備)事業に係る進捗状況評価実施要領3-4のとおり

東京大学における評価コメント及び事業進捗状況

(評価コメント)

URA組織を研究拠点毎に配置することによって、実際の研究現場に近いところでURAが研究を支援できる環境を整備したことをはじめ、URAの定着にむけた取組を進めている点については、評価できる。一方で、本部組織に設置されるURA組織と各研究拠点におかれるURA組織の連携については、役割分担や円滑な連携という点で課題が残る。
また、URAシステムの定着に向けての将来ビジョン・方針等が明確には示されておらず、同大学としての長期的な最終像と短期的な施策像との両面から、URA制度の定着・安定化に向けての検討を、学長等のリーダーシップの下で進めていく必要がある。引き続き、日本のURAシステムの先導的モデルとしての本制度の普及・発展に向けた取組が進められることを期待する。

東京農工大学の評価コメント及び事業進捗状況

(評価コメント)

学長のリーダーシップ発揮を支援するため、従来の組織体制を見直し、大学戦略本部に直結したURA組織として「先端産学連携研究推進センター」を設置することで、URAが研究支援から産学連携コーディネート業務まで一元的に対応できる環境を整えたこと、また、URA組織の外部評価を導入するべくアドバイザリーボードを設置し、その意見を取り入れて運営の改善を図っていること、さらに事務職員を専任URAとして配置することで、事務組織全体の強化を図ろうとしているなど、学長のリーダーシップのもとに、URA制度の定着に向けた取組を着実に進めている。
また、URAのキャリアパスの形成に向けて、早い段階で「職階別任期制」を導入するなど、長期雇用を可能とする人事制度や学内規則の整備を進めている点は、先駆的なモデルとして、他機関の参考となる取組であり、評価できる。
他方、URAの活動成果を高めるためには、URAの業務達成目標や評価方法に関する具体的検討を早急に進めるとともに、独自の能力開発プログラムの策定・実施についても検討を急ぐ必要があり、今後の取組に期待する。
引き続き、日本のURAシステムの先導的モデルとしての本制度の普及・発展に向けた取組が進められることを期待する。

金沢大学の評価コメント及び事業進捗状況

(評価コメント)

本事業により、URA組織体制の見直しを図り、研究戦略・推進支援と産学官連携支援を融合した「先端科学・イノベーション推進機構」を設置するとともに、併せて組織した「国際機構」、「グローバル人材育成推進機構」を連携させることで、研究戦略立案の支援から、研究、産学連携、国際連携及び大学院教育を一体的に支援する体制を整え、研究支援の強化を着実に進めていることは評価できる。
また、海外機関も含め、他機関の能力開発法や研修の取組を調査し、独自の教育プログラムに取り入れるなど幅広い視野をもって、URAの能力開発を積極的に進めている点は、先駆的なモデルとして、他機関の参考となる取組であり、評価できる。
他方、URAの持続的確保やキャリアパスの明確化に向けて、総務・人事担当理事、研究・国際担当理事が参画して多様な人事制度等の検討を進めているが、今後検討を急ぐ必要がある。
引き続き、日本のURAシステムの先導的モデルとしての本制度の普及・発展に向けた取組が進められることを期待する。

名古屋大学の評価コメント及び事業進捗状況

(評価コメント)

大型研究プロジェクト等の戦略的な提案・実施のための研究支援の一貫体制の整備を目指してURA体制の整備に着手し、拠点形成型プロジェクトの申請支援で、プロジェクト代表者から高い評価を得るなど、URAとしての活動の効果が出始めている。
一方で、大学を取り巻く状況変化を踏まえ、産学官連携組織及びURA組織を含む研究支援体制の抜本的な見直しを検討しているが、構想中の新研究支援組織は、十分に機能するか不鮮明であり、より実効的なものとするためには、具体的な仕組みやシステムについて今後検討を進めていく必要がある。
URAの担当業務内容に応じた評価指標を定めるとともに、独自の研究プログラムによる研修を実施するなど、独自システムの導入と定着化に向けた取組は他の大学の参考になる。
他方、URAの持続的確保やキャリアパスの明確化の課題の検討に関しては、取組の進捗が遅れている。今後、URAシステムの定着化に向けた人事制度、URAに対する適正な評価及び明確なキャリアパスの設計の検討を急ぐ必要がある。
引き続き、日本のURAシステムの先導的モデルとしての本制度の普及・発展に向けた取組が進められることを期待する。

京都大学の評価コメント及び事業進捗状況

(評価コメント)

本事業により設置された本部URA組織の「学術研究支援室」と、自主経費雇用の部局URA組織とが連携して「京都大学URAネットワーク」を構築し、全学を挙げた研究推進体制の充実・強化を図る取組が進められていることは、一つの先駆的なモデルとして、参考となる取組であり、今後の実績に期待したい。
また、全国の大学に先駆けて中間職として「専門業務職制度」が創設され、キャリアパスが明確化されていること、本部・部局間の交流も視野に入れた形で人事考課も一本化されているなど、URAの職務環境の整備が順調に進捗していることは評価される。
他方、URAの持続的確保に向けた事業終了後の継続雇用や10年単位での長期的雇用及び任期の定めがない雇用についての人事制度の構築の検討を急ぐ必要があり、今後の取組に期待する。
引き続き、日本のURAシステムの先導的モデルとしての本制度の普及・発展に向けた取組が進められることを期待する。

お問合せ先

文部科学省科学技術・学術政策局産業連携・地域支援課大学技術移転推進室

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(文部科学省科学技術・学術政策局産業連携・地域支援課大学技術移転推進室)

-- 登録:平成25年08月 --