研究活動上の不正行為(盗用)について(2016-02)
【基本情報】
番号
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2016-02
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不正行為の種別
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盗用、自己盗用
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不正事案名
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研究活動上の不正行為(盗用)について
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不正事案の研究分野
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政治学
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調査委員会を設置した機関
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学校法人
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不正行為に関与した者等の所属機関、部局等、職名
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教授
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不正行為と認定された研究が行われた機関
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大学
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不正行為と認定された研究が行われた研究期間
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-
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告発受理日
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平成27年4月6日
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本調査の期間
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平成27年6月8日~8月7日
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不服申立てに対する再調査の期間
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-
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報告受理日
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平成28年7月6日
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不正行為が行われた経費名称
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該当なし
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【不正事案の概要等】
◆不正事案の概要
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- 告発内容及び調査結果の概要
本件発覚は、平成27年4月に、学外の研究者(以下「告発者」という。)から、教授(以下「被告発者」という。)の論文(以下「当該論文」という。)に、他大学の研究者(以下「研究者A」という。)の論文の内容と酷似する部分が、複数箇所にわたり含まれるとの告発を受けたことによる。この告発を受け、学校法人は、予備的な調査の結果を踏まえて、平成27年6月8日付で、危機管理対策本部を設置し、同本部のもと、同日付で調査委員会を設置の上、調査を行ったものである。
調査の結果、研究活動における不正行為である「盗用」が行われたものと認定した。
(注)告発を受けた時点では、研究活動における不正行為への対応に関する規程等が未整備であったことから危機管理規程を適用し、同本部を設置し調査を行ったものである。
【告発者から告発のあった不正の態様及び不正行為であるとする理由】
(1) 不正の態様
被告発者が他者の論文を適切な引用なく盗用した疑い。
(2) 研究活動における不正行為であるとする理由
被告発者が発表した論文1報の一部に、適切な引用なく、他者の論文と論旨の展開及び記述の順序が同一である箇所が存在すること。
- 本調査の体制、調査方法、調査結果等について
(1) 調査委員会における調査体制
4名(内部委員2名、外部委員2名)
(2) 調査の方法等
1) 調査対象
ア) 対象研究者: 教授
イ) 対象論文等: 告発者から不正行為の疑いがあると指摘があった論文1報(平成27年3月に学内の研究所が発行した学術誌に掲載された論文)
2) 調査方法
当該論文と盗用元とされた論文を比較検証するとともに、被告発者、及び当該論文掲載誌の編集責任者への聴き取り調査を実施した。なお、調査の過程で、被告発者の既発表論文からの引用が適切になされていない可能性があることが判明したため、当該の既発表論文を調査対象に加えた。
(3)本事案に対する調査委員会の調査結果を踏まえた結論
告発者から研究活動における不正行為の疑いがあると指摘があった、被告発者が発表した1論文に関し、調査委員会による調査結果を踏まえた大学の結論は以下のとおり。
(結論)
文献照合、対比表による精査及び被告発者の弁明を総合的に検証し、当該論文における告発者からの指摘箇所(計10箇所、合計29行)は、研究者Aの論文からの「盗用」(他の研究者のアイディア、分析・解析方法、データ、研究成果又は用語を当該研究者の了解若しくは適切な表示なく流用すること)に当たると認定した。
(注)告発者からの指摘箇所(計10箇所、合計29行)は、当該論文全体17ページ・合計449行に対し、6.4%に相当する。
(認定理由)
告発者からの指摘箇所(計10箇所、合計29行)は、研究者Aの論文と、用語の使い回しが異なるものの、論旨の展開、及び記述の順序が同一であり、具体的記述についても偶然の一致の可能性を排除しうる程度に似ていると認められたこと。
被告発者は、授業負担や役職負担が過重であった中、当該論文の執筆に当たり、研究者Aの論文を含み、関係資料についてメモ書きのような形で整理していたものを、十分に精査することなく、自分自身の見解を織り交ぜて原稿にしてしまったとしており、故意に行ったものではないが、指摘を受けた箇所は、研究者Aの論文を基礎として執筆したことを認めており、被告発者の着想によるものではないにもかかわらず、引用の註記(ちゅうき)がなされていないこと。
(「盗用」以外に調査の過程で判明した事実)
調査の過程において以下(1)(2)の事実が判明し、これらの事実を総合すると、自己の既発表の論文からの流用が認められた。なお、掲載誌の投稿規程では、「原稿の種類」として、「学術論文を中心とし、研究ノート、書評などで国内外を問わず未発表のものに限ります。」としている。
(1) 当該論文の第3節及び第4節合計276行について、被告発者の既発表論文との比較検証を行った結果、9箇所、計202行及び図表一点について、既発表の論文とほぼ同一であり、これは論文全体の17ページ・合計449行に対し、44.9%に相当する。
(2) 当該論文においては、「本稿のⅢ及びⅣは、拙稿(論文名・掲載誌名・掲載誌発行日付を記載)を基礎として加筆したものを利用している」との註記(ちゅうき)がなされているものの、(1)の事実と考え合わせると、十分な註(ちゅう)とは言いにくい。
- 認定した不正行為に直接関連する経費の支出について
「盗用」を認定した論文の作成過程において、直接因果関係が認められる経費の支出はなかった。
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◆研究機関が行った措置
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- 競争的資金等の執行停止等の措置
競争的資金等因果関係が認められる経費の支出はなかったことから、執行停止等の措置は講じていない。
- 被告発者に対する大学の対応(処分等)
平成27年12月17日から平成29年3月31日まで、被告発者が所属する学内の研究所(以下「研究所」という。)の所員資格を停止した。また、学内規程に基づき、平成28年3月、被告発者に対し処分を行った。(学内規程に基づき、処分内容は非公表)
- 論文の取下げ
平成28年1月、研究所は、他大学の研究者の論文からの盗用と自己の既発表の論文からの流用が行われた当該論文について、学術論文としてのオリジナリティが認められないため、取下げとすることとした。掲載誌については、当該論文を削除の上、再発行し、配布先への差替措置を行った。この措置に要した費用は、研究所と被告発者が折半した。
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◆発生要因及び再発防止策
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大学では、平成22年1月に学術研究倫理に関するガイドライン」を制定・公表したが、被告発者においては、研究活動上の基本的なルールへの理解が十分ではなく、研究倫理に関する意識が低かったと言える。加えて、事案の発生当時、不正防止の体制は十分に整備されてはいなかった。
本件を受けた大学における再発防止策は、以下のとおり。
- 各研究組織における再発防止策
(1) 当該論文掲載誌の発行元である研究所においては、同誌の査読規程を文章化し、分野の専門家を含む2名以上にて査読を行うことや、必要に応じ当該分野に通じた学外専門家を加える等のルールを定め、査読体制を厳格化する旨を決定した。
(2) 各研究科・専攻及び研究所等においては、今後、学術論文を掲載する紀要等の投稿規程・査読規程等を精査し、研究不正の防止に向けた仕組みを適切に整えていく。
- 大学全体での再発防止策
(1) 文部科学省ガイドラインを踏まえ、平成27年9月16日付けで、研究活動における不正行為の防止に関して、管理責任体制を以下のとおり明確化すること、及び、教員を対象とした研究倫理教育を実施することを機関決定し、同年10月1日付けで、学内へ周知した。
最高責任者(研究倫理の向上及び不正行為の防止等に関し、大学全体を統括する最終的な権限と責任を持つ者):学長
統括管理責任者(最高管理責任者を補佐し、研究倫理の向上及び不正行為の防止等並びに研究倫理教育について日常的な責任を持つ者):学術交流担当副学長
研究倫理教育責任者(部局等における研究倫理の向上及び不正行為の防止等並びに研究倫理教育について実質的な責任と権限を持つ者):教育研究組織の長(研究科委員長、学部長、研究機構長、センター長)及び各事務組織の局長
研究倫理教育副責任者:(研究倫理教育責任者を補佐し、部局等における研究倫理の向上及び不正行為の防止等並びに研究倫理教育について日常的な責任と権限を持つ者)各研究組織の長の下位者(専攻主任、学科長)
(2) 平成27年10月、各個研究費(学内予算)の支給を受ける教員全員を対象に、e-learning教材の「CITI Japan」による研究倫理教育を実施した。さらに、平成28年1月7日には、職位を有する事務職員全員に同教材を受講させることを機関決定し、同年2月末までに完了した。なお、平成28年度には、全事務職員にこの対象を拡大する。
(3) 今後、受講済みの教職員についても定期的に研究倫理教育を反復実施する計画であり、さらには、平成28年度以降は、学生を対象とした研究倫理教育や啓発活動の実施を検討中である。
(4) これらにより、大学のすべての構成員が研究倫理にのっとった教育研究活動に取り組む姿勢を身につけることを目指す。
(5) 平成28年3月、大学における研究活動上の不正行為の防止等に関するガイドライン及び大学における研究活動上の不正行為に係る調査の手続に関する内規を制定・公表した。
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◆配分機関が行った措置
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本件は競争的資金による経費の支出がなく、かつ平成26年度に不正が行われた事案であることから、研究機関及び研究者に対する競争的資金の返還並びに研究者に対する競争的資金への申請及び参加資格の制限は行わない。
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科学技術・学術政策局研究環境課
研究公正推進室
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