大阪歯科大学元准教授、元助教及び大学院生による不正行為(捏造・改ざん)の認定について


【基本情報】

番号

2024-04

不正行為の種別

捏造・改ざん

不正事案名

大阪歯科大学元准教授、元助教及び大学院生による不正行為(捏造・改ざん)の認定について

不正事案の研究分野

歯学

調査委員会を設置した機関

大阪歯科大学

不正行為に関与した者等の所属機関、部局等、職名

大阪歯科大学 元准教授
大阪歯科大学 元助教
大阪歯科大学 元大学院生

不正行為と認定された研究が行われた機関

大阪歯科大学

不正行為と認定された研究が行われた研究期間

平成24年度~平成27年度

告発受理日

令和3年8月11日

本調査の期間

令和4年3月4日~令和6年2月8日

不服申立てに対する再調査の期間

報告受理日

令和6年6月11日

不正行為が行われた経費名称

科学研究費助成事業

 

【不正事案の概要等】

◆不正事案の概要

1.告発内容及び調査結果の概要
  令和3年8月及び11月にインターネット上の記事及びメールにより情報提供があり、事案の内容が明示され、不正とする科学的な合理性のある理由が示されているため、告発を受理し、予備調査を経て調査委員会を設置した。
  本調査の結果、論文2編において捏造、改ざん(特定不正行為)が行われたと認定した。

2.本調査の体制、調査方法、調査結果等について
(1)調査委員会による調査体制
  6名(内部委員2名、外部委員4名)
 
(2)調査の方法等
 1)調査対象
  ア)調査対象者:大阪歯科大学 元准教授、元助教、元大学院生
          その他共著者5名

  イ)調査対象論文:3編(海外の学術誌:平成26年、平成27年、平成29年)
 2)調査方法
  告発内容の確認、予備調査結果の確認を経て、本調査の方針を決定し、調査対象者及び関係者からの聞き取り(ヒアリング)調査、先行研究(論文)と調査対象論文との比較分析、調査対象論文、研究ノート及び研究データ等の比較分析を行った。
 
(3)本事案に対する調査委員会の調査結果を踏まえた結論
 (結論)
  1)認定した不正行為の種別
   捏造・改ざん

  2)「不正行為に関与した者」として認定した者
   大阪歯科大学 元准教授
   大阪歯科大学 元助教
   大阪歯科大学 元大学院生

    3)「不正行為に関与していないものの、不正行為のあった研究に係る論文等の責任を負う著者」として認定した者
         大阪歯科大学 元准教授

 (認定理由)

  論文2編について、試料の形状を解析するために撮影された画像が、著者が共通する他の論文に掲載されていた画像と同一であることが判明した。異なる研究においては新たに対照群のデータを収集する必要があり、本研究における新たな計測は実施されていない可能性が高く、捏造と認定した。
論文1編について、遺伝子発現の測定において、提出された生データは4検体あるうち最大か最小の値をもつものが除かれた上で平均値が求められていたことから、改ざんと認定した。

3.認定した不正行為に直接関連する経費の支出について
 科学研究費助成事業による研究成果であるが、特定不正行為(捏造、改ざん)を認定した論文の作成過程において、直接関係する経費の支出は認められなかった。

◆研究機関が行った措置

1.論文の取下げ
 不正行為が認定された上記2編の論文について、責任著者に対し取下げ勧告を実施。うち1編は取り下げ済。
 
2.被認定者に対する大学の対応(処分等)
 元大学院生は、現在大学の所属ではないため、処分の対象外。
   元准教授、元助教についても、すでに依願退職しており、懲戒委員会等での審議対象外。
 

◆発生要因及び再発防止策

1.発生要因
 捏造を認定した論文2編はいずれも、別の実験で得られた画像データを使いまわしたことによるものであった。仮に実験的には同じ操作を経て得られる試料だったとしても、そのことを明記せず、新たに実施した研究の結果得られた画像データとして提示する行為が問題であることは明白であるが、不正行為に関与した研究者にはそのことについて、十分な認識がなく、研究倫理についての認識が欠如していた。
   改ざんを認定した論文1編については、実験データの扱いについて、平均から大きく離れていることだけを理由に恣意的にデータを削除する行為が日常的に行われていた中で発生した。研究グループを実質的に統括していた研究者は、基本的な統計学的知識や再現性を確認するといった姿勢が不足し、研究指導者としての資質が欠けており、改ざんに該当する行為を指示するなど不適切な研究指導が行われていた。
   また、実験当時、研究データの保管期間等を定める規程は存在せず、当該研究グループにおいてデータ管理体制が整備されておらず、データの管理が杜撰であった。

 
2.再発防止策
 研究倫理教育をe-ラーニングにより実施し、令和4年度より研究不正防止計画推進委員会が年4回、メール配信等により実施し、不正行為の防止啓発活動を強化しているが、研究倫理教育を徹底する。また、研究指導者が適切な研究指導を行う資質があるか、採用時等にこれまで以上に重視する。
研究データ等の保管等に関する学内の申し合わせを踏まえ、研究データ等の保管・管理体制について実態調査(アンケート)を実施し、各部署において所属長による研究データ等の保管状況の確認を行い、今後も規定の周知・徹底を図っていく。さらに、今後適切なデータ解析について教育・研修を実施する。

 

◆配分機関が行った措置

 科学研究費助成事業について、捏造・改ざんと直接的に因果関係が認められる経費の支出はなかったため、返還を求めるものではないが、捏造・改ざんが認定された論文は科学研究費助成事業の成果として執筆された論文である。このため、資金配分機関である日本学術振興会において、資格制限の措置(元准教授、元助教、元大学院生いずれも3年間(令和7年度~9年度)を講じた。

お問合せ先

科学技術・学術政策局研究環境課

研究公正推進室
電話番号:03-6734-3874
メールアドレス:jinken@mext.go.jp

(科学技術・学術政策局研究環境課研究公正推進室)