広島修道大学教授及び大学院生による不正行為(盗用)の認定について

【基本情報】

番号

2024-03

不正行為の種別

盗用

不正事案名

広島修道大学教授及び大学院生による不正行為(盗用)の認定について

不正事案の研究分野

心理学

調査委員会を設置した機関

広島修道大学

不正行為に関与した者等の所属機関、部局等、職名

広島修道大学 教授
広島修道大学 大学院生(2名)

不正行為と認定された研究が行われた機関

広島修道大学

不正行為と認定された研究が行われた研究期間

令和5年度

告発受理日

令和6年1月22日

本調査の期間

令和6年2月28日~令和6年7月5日

不服申立てに対する再調査の期間

報告受理日

令和6年10月16日

不正行為が行われた経費名称

基盤的経費(基盤的経費への補助として大学に配分されている私学助成の一部を含む)

 

【不正事案の概要等】

◆不正事案の概要

1.告発内容及び調査結果の概要
  令和6年1月に面談及び書面により情報提供があり、事案の内容が明示され、不正が疑われる科学的な合理性のある書類等が示されていたため、情報提供を受理し予備調査を経て調査委員会を設置した。
  本調査の結果、学会発表2件において盗用(特定不正行為)が行われたと認定した。
 
2.本調査の体制、調査方法、調査結果等について
(1)調査委員会による調査体制
  4名(内部委員1名、外部委員3名)
 
(2)調査の方法等
 1)調査対象
  ア)調査対象者:広島修道大学 教授、広島修道大学 大学院生(2名)
  イ)調査対象論文:学会発表2件(国内の学会:令和5年)
 2)調査方法
  学会プログラムに掲載された抄録と先行研究である学位論文本文・抄録等を比較分析し、発表に用いたポスターを確認するとともに、研究計画を確認した。また、調査対象者及び情報提供者等の関係者からのヒアリングを実施し、研究不正の有無について調査を行った。
 
(3)本事案に対する調査委員会の調査結果を踏まえた結論
 (結論)
  1)認定した不正行為の種別
   盗用

  2)「不正行為に関与した者」として認定した者
   広島修道大学 教授
   広島修道大学 大学院生(2名)
 

 (認定理由)
  調査対象となった学会発表2件は、令和5年4月に大学院に進学した大学院生2名が、指導教員である教授に学会での発表を希望したところ、教授からの指示を受けて、先行研究である他人の学位論文そのものを著者でない当該大学院生2名及び教授の名前で学会発表したものである。調査の結果、当該学会発表において、発表者である当該大学院生及び教授が著者となるべき根拠と言えるものはなく、著者ではない調査対象者が先行研究である別人の学位論文を全面的に流用し学会発表を行っていたため、盗用を認定した。
 
3.認定した不正行為に直接関連する経費の支出について
 基盤的経費(基盤的経費への補助として大学に配分されている私学助成の一部を含む)による研究活動であるが、特定不正行為(盗用)を認定した学会発表に直接関係する経費の支出は認められなかった。

◆研究機関が行った措置

1.論文の取下げ
 不正を指摘された3人全員に対して、不正行為が認定された発表の取り下げを行うよう勧告した。
 
2.被認定者に対する大学の対応(処分等)
 教授に対しては、「研究倫理研修」を再受講することを義務づけ、再受講が完了するまでは学内研究費及び競争的資金等すべての研究費への申請及び使用を認めないこととした。加えて、2024年度個人研究費増額分を返還させる予定である。また、「学校法人修道学園就業規則[本則](大学部編)」に基づき懲戒処分を行った。
 大学院生2名に対しては、「研究倫理研修」を再受講することを義務づけた。「広島修道大学大学院学則」に基づき懲戒処分を行った。
 

◆発生要因及び再発防止策

1.発生要因
 指導教授が、研究公正・研究倫理に対する認識・知識・理解を欠いたまま、大学院生に対して、学会発表に関する不適切な指導を行ったことが最大の発生要因である。また、大学院生も、研究公正・研究倫理に対する認識・知識・理解が不十分なまま、他人の論文内容の学会発表を安易に受け入れたことも発生要因である。
 博士前期課程1年の大学院生が複数の学会発表を行うという指導のあり方について、大学院担当の教員間で情報が共有され、相互チェック機能が働く環境がなかった。
 
2.再発防止策
 現在実施している研究倫理教育に加えて、教授会・研究科委員会において研究倫理順守の徹底を義務付ける。また、「研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務」を怠ったことによるものも研究不正行為であることを周知徹底する。
 学部学生に対しては、1年時に履修する全学共通科目の中で研究倫理について指導しているところ、卒業論文作成時期にも再度研究倫理に関する教育を行うことを検討する。
大学院生に対しては、博士前期課程・修士課程1年前期に実施する、e-learningによる研究倫理教育の実施時期を見直し、より早期に実施するとともに、e-learningの効果を定着させるための具体的な対策を各研究科委員会で早急に検討する。
 指導教員の指導に研究倫理に関する疑義が生じた場合の相談窓口を周知する。

 

◆配分機関が行った措置

 資金配分機関である文部科学省において、不正行為が認定された研究者に対して、競争的研究費の資格制限の措置(教授5年間(令和7年度~11年度)、学生3年間(令和7年度~9年度)を講じた。

お問合せ先

科学技術・学術政策局研究環境課

研究公正推進室
電話番号:03-6734-3874
メールアドレス:jinken@mext.go.jp

(科学技術・学術政策局研究環境課研究公正推進室)