【基本情報】
番号 |
2022-06 |
不正行為の種別 |
盗用 |
不正事案名 |
大阪経済大学元准教授による研究活動上の不正行為(盗用)の認定について |
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不正事案の研究分野 |
公法学 |
調査委員会を設置した機関 |
大阪経済大学 |
不正行為に関与した者等の所属機関、部局等、職名 |
大阪経済大学 経営学部 元准教授 |
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不正行為と認定された研究が行われた機関 |
大阪経済大学 |
不正行為と認定された研究が行われた研究期間 |
- |
告発受理日 |
令和3年12月1日 |
本調査の期間 |
令和4年2月2日~令和4年7月2日 |
不服申立てに対する再調査の期間 |
- |
報告受理日 |
令和4年8月26日 |
不正行為が行われた経費名称 |
基盤的経費(私学助成を含む) |
【不正事案の概要等】
◆不正事案の概要 |
1.告発内容及び調査結果の概要 令和3年11月30日に、経営学部元教授の単著論文について、盗用の疑いがある旨の告発があった。予備調査の結果を受けて本調査を行うこととし、調査委員会を設置した。本調査の結果、論文3編について、盗用が行われたと認定した。 2.本調査の体制、調査方法、調査結果等について (1)調査委員会による調査体制 3名(内部委員1名、外部委員2名) (2)調査の方法等 1)調査対象 ア)調査対象者:大阪経済大学 経営学部 元准教授(任期付) イ)調査対象論文:3編(学内の紀要論文:2020年(1編)、2021年(2編)) 2)調査方法 ・調査対象論文と盗用されたと考えられる先行研究論文・文献(以下、「元文献」という。)の比較・精査 ・調査対象者からの対面による聞き取り調査 ・元文献の著者および著作権所有者に当該文献の利用許諾について確認 (3)本事案に対する調査委員会の調査結果を踏まえた結論 (結論) 1)認定した不正行為の種別 盗用 2)「不正行為に関与した者」として認定した者 大阪経済大学 経営学部 元准教授(任期付) (認定理由) ・元文献との比較・精査を行った結果、調査対象論文の大部分が英語の元文献の日本語訳であった。 ・調査対象者は、当該研究者の了解を得ていることによる盗用の否定を主張したので、元文献の著者および著作権所有者に当該文献の利用許諾について確認を行ったところ、その事実は認められなかった。 ・調査対象論文の脚注に元文献の表示はあるものの当該脚注だけでは適切な表示とは言えない。 ・故意があったと断定するまでには至らなかったが、参照・引用元文献の表示の仕方は研究者であれば当然に習得すべき基本的事項であり、研究者としてわきまえるべき基本的な注意事項を著しく怠ったことにより発生した行為に該当する。 (不服申立て手続) 本調査結果を調査対象者に通知したところ不服申立てがなされたが、調査委員会での審議の結果、再調査は行わないと決定した。 3.認定した不正行為に直接関連する経費の支出について 基盤的経費(私学助成を含む)による研究成果であるが、不正行為を認定した論文の作成過程において、直接関係する経費の支出は認められなかった。 |
◆研究機関が行った措置 |
1.論文の取下げ 被認定者に対し、大学の規程に基づき、調査対象論文の取り下げを勧告した。 2.被認定者に対する大学の対応(処分等) 被認定者は任期満了に伴い、令和4年3月末日をもって退職のため、大学の就業規則に基づく処分は行わない。 |
◆発生要因及び再発防止策 |
1.発生要因 被認定者は大阪経済大学在職中に3度、大学が実施する研究倫理研修を受講しており、研究活動における不正行為(特定不正行為を含む)の基本的な知識は有していたが、「参照・引用元文献の表示の仕方」等の理解、認識に大きな誤りがあり、当該特定不正行為(盗用)を行うに至った。 また、今回不正の発生した刊行物では、掲載に当たって査読義務を付さないため、調査対象者の投稿原稿について「参照・引用元文献の表示の仕方」等が、適切か否かを確認することができなかった。 2.再発防止策 1)研究者における研究倫理の理解の定着に努めるべく、研究倫理研修の内容の見直しと併せて、研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務(「参照・引用元文献の表示の仕方」等を含む)について、教授会を通じて周知する等の啓発活動を行う。 2)大学の規程により、研究者には少なくとも 5 年ごとの研究倫理研修の受講を義務付けているが、当該研修は毎年実施している。今後は、研究者における研究倫理の理解の定着に配慮し毎年の受講を徹底する。 3)今回不正の発生した刊行物について、今後は、論文投稿時に、投稿申し込みがあった者に対し、チェックシート等により盗用等の不正行為がないことを確認するよう論文発行機関に依頼する。 |
◆配分機関が行った措置 |
資金配分機関である文部科学省において、不正行為が認定された研究者に対して、競争的研究費の資格制限の措置(令和5年度~令和10年度(6年間))を講じた。 |
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