【基本情報】
番号 |
2022-05 |
不正行為の種別 |
盗用 |
不正事案名 |
同志社大学教授による研究活動上の不正行為(盗用)の認定について |
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不正事案の研究分野 |
法学 |
調査委員会を設置した機関 |
同志社大学 |
不正行為に関与した者等の所属機関、部局等、職名 |
同志社大学 大学院司法研究科 教授 |
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不正行為と認定された研究が行われた機関 |
同志社大学 |
不正行為と認定された研究が行われた研究期間 |
- |
告発受理日 |
令和3年7月26日 |
本調査の期間 |
令和3年10月8日~令和4年2月25日 |
不服申立てに対する再調査の期間 |
- |
報告受理日 |
令和4年9月2日 |
不正行為が行われた経費名称 |
基盤的経費(私学助成を含む) |
【不正事案の概要等】
◆不正事案の概要 |
1.告発内容及び調査結果の概要 令和3年7月21日に、大学院司法研究科教授が作成した論文について、盗用及び極めて不適切な引用の疑いがある旨、告発があった。予備調査の結果を受けて本調査を行うこととし、研究倫理委員会の下に専門調査委員会を設置した。本調査の結果、論文3編について、盗用(特定不正行為)が行われたと認定した。 2.本調査の体制、調査方法、調査結果等について (1)調査委員会による調査体制(専門調査委員会) 3名(内部委員1名、外部委員2名) (2)調査の方法等 1)調査対象 ア)調査対象者:大学院司法研究科 教授 イ)調査対象論文:3編(学外の専門雑誌掲載論文:2008年(後に、加筆されて、2018年に調査対象者の著書に収録)、学内の紀要論文:2017年、2016年) 2)調査方法 まず告発内容及び予備調査結果を確認し、その後先行論文との比較分析、調査対象者への事情聴取、不正行為の悪質性の程度についての検討等を行った。 (3)本事案に対する調査委員会の調査結果を踏まえた結論 (結論) 1)認定した不正行為の種別 盗用 2)「不正行為に関与した者」として認定した者 大学院司法研究科 教授 (認定理由) 調査対象論文3編全てにおいて、先行研究のほぼ貼り付けであると認められるが出典表記や適切な引用がなされていない部分があり、研究者として基本的な注意義務を著しく怠って、他人の研究成果を適切な引用なしで使用する行為に該当する。 (不服申立て手続) 本調査の結果を調査対象者に通知したところ異議申立てがなされたため、異議申立審査委員会を設置し異議申立ての妥当性を審議した。その結果、不正行為があるとする結論そのものに対する異議申立てではないと認められたことから、再調査の必要はないと判断した。 3.認定した不正行為に直接関連する経費の支出について 基盤的経費(私学助成を含む)による研究活動であるが、盗用(特定不正行為)と認定された論文の作成過程において、直接的に関係する支出は認められなかった。 |
◆研究機関が行った措置 |
1.論文の取下げ 学長が、調査対象者に対して、不正行為が認定された論文の訂正措置を勧告した。 2.被認定者に対する大学の対応(処分等) 学校法人が、調査対象者に対し、懲戒規程に基づき、懲戒委員会の決定により、出勤停止1か月の処分を行った。 3.競争的資金等の執行停止等の措置 学長が、調査対象者に対して、不正行為認定後の学内研究費の使用中止措置を実施した。 |
◆発生要因及び再発防止策 |
1.発生要因 ・調査対象者は被告発論文を著書にまとめて公刊した2018 年当時、複数の論文執筆にあたるとともに、学外の業務を多く担当するなど大変多忙ななか、急いで論文の校正を行う状況にあり、自己の処理能力を超えて業務を引き受けたこと。 ・被告発論文の初出論文が出された2008 年は、まだ大学において特に研究倫理教育がなされていなかった時期ではあったものの、他人の文章を利用する場合は適切な引用をすべきことは、研究者としての基本的作法とみなされていたが、調査対象者はこれを身につけていなかったと考えられること。 ・調査対象者は、著作権侵害に当たらなければ研究不正にも当たらず、事実の記載であれば、他人の文章であっても公共財としてそのまま出典表示なく利用できると誤解していたこと。さらには、著作権についても誤解があり、インターネットに載っている学生執筆の文章などには、著作権は存在しないから自由に利用してよいと誤解していたこと。 2.再発防止策 ・本学に所属する研究者に対して、研究倫理教育の受講を義務づけているが、特に2022 年度には、過年度に受講済みの場合も含め、改めて全員が受講するよう見直すものとし、これを徹底する。 ・研究倫理教育責任者である学部・大学院研究科等の長が、各学問分野の特性も考慮しつつ学生を含む所属の研究者に対する研究倫理教育の取組を通して、より一層の研究倫理意識の向上に努める。特に2023 年1 月に、全学体制で実施しているSD研修会で、研究不正の防止をテーマとする研修を行い、研究倫理に関する啓発活動を強化する。 ・研究倫理教育やFD等を通じて、さらに全教員に対して注意喚起する。特に2022 年度中に、本学研究者全員に対して研究不正防止・研究倫理啓発のための講演会(特別研修会)も別途実施する。 ・本学研究紀要への掲載の際に、研究不正を防止する観点から、論文チェックがより徹底して実施されるよう、査読体制等を強化することを求める。 |
◆配分機関が行った措置 |
資金配分機関である文部科学省において、不正行為が認定された研究者に対して、競争的研究費の資格制限の措置(令和5年度~令和8年度(4年間))を講じた。 |
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