【基本情報】
番号 |
2021-10 |
不正行為の種別 |
二重投稿、自己盗用、不適切なオーサーシップ |
不正事案名 |
研究活動上の不正行為(二重投稿・自己盗用・不適切なオーサーシップ)の認定について |
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不正事案の研究分野 |
医学 |
調査委員会を設置した機関 |
大学 |
不正行為に関与した者等の所属機関、部局等、職名 |
教授、准教授、助教、教授 |
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不正行為と認定された研究が行われた機関 |
大学 |
不正行為と認定された研究が行われた研究期間 |
平成25年度~平成30年度 |
告発受理日 |
令和2年9月10日 |
本調査の期間 |
令和2年12月9日~令和3年10月19日 |
不服申立てに対する再調査の期間 |
- |
報告受理日 |
令和3年12月22日 |
不正行為が行われた経費名称 |
科学研究費助成事業 |
【不正事案の概要等】
◆不正事案の概要 |
1.告発内容及び調査結果の概要 大学の内部監査室に元准教授による研究費不正使用に関する通報があり、研究費不正に係る調査の過程で、実験データに疑義が生じたため最高管理責任者に報告(令和2年9月10日)したところ調査を行うこととし、調査委員会を設置した。本調査の結果、論文4編について二重投稿(1編)・自己盗用(1編)・不適切なオーサーシップ(2編)が行われたと認定した。 2.本調査の体制、調査方法、調査結果等について (1)調査委員会による調査体制 5名(内部委員2名、外部委員3名) (2)調査の方法等 1)調査対象 ア)調査対象者:元准教授 他責任著者・筆頭著者1名、共著者12名 イ)調査対象論文:4編(国内の学術誌:2015年、2018年、海外の学術誌:2015年、2020年) 2)調査方法 書面及び調査対象者へのヒアリングにより調査 (3)本事案に対する調査委員会の調査結果を踏まえた結論 提出された実験データの中には不適切な点がみとめられるものの論文に使用した実験データは別のデータが存在しており、不適切なデータの複製や流用の形跡は認められなかった。 (結論) 1)認定した不正行為の種別 二重投稿 2)「不正行為に関与した者」として認定した者 教授、元准教授、助教、教授 (認定理由) 先行論文とほぼ同じ図表が使用されるなど学術的成果が本質的に同じ論文となっていた。 1)認定した不正行為の種別 自己盗用 2)「不正行為に関与した者」として認定した者 教授、元准教授 (認定理由) 先行論文からの引用もなく同じ図表が使用されていた。 1)認定した不正行為の種別 不適切なオーサーシップ 2)「不正行為に関与した者」として認定した者 教授、元准教授 (認定理由) 自身が責任著者を務める元准教授及び教授が、本人の承諾もなく論文の著者に加えていた。 3.認定した不正行為に直接関連する経費の支出について 科学研究費助成事業による研究成果であるが、不正行為を認定した論文の作成過程において、直接関係する経費の支出は認められなかった。 |
◆研究機関が行った措置 |
1.論文のの訂正 二重投稿及び自己盗用が認められた論文については、編集局に対して正誤表を提出している。その結果二重投稿が認定された論文については、すでに正誤表が掲載されている。 また、不適切なオーサーシップが認定された論文(2編)については、責任著者に対して不適切な共著者を削除するよう勧告し、すでに2編とも正誤表が掲載されている。 2.被認定者に対する大学の対応(処分等) 大学の就業規則に等に基づき教授を戒告の懲戒処分、教授を訓告処分、助教を厳重注意処分とした。 元准教授はすでに退職していたことから、大学の規則上処分の対象とはならなかった。 |
◆発生要因及び再発防止策 |
1.発生要因 二重投稿・自己盗用においては、原著論文ではなく助成事業に対する報告書であるという思い込みが原因であるが、募集要項には「成果報告書の著作権は財団に帰属すること」、「他への発表は財団の承認を得た上で引用した旨を併記すること」と明記されており、研究者としての基本的な注意義務を怠っていたことが一番の発生要因である。また、すべての共著者は論文全体について一定の責任を負うという認識が不足し、論文投稿に当たっての確認がなされていなかったことも二重投稿・自己盗用を防止できなかった要因である。 2.再発防止策 〇研究不正防止意識の向上 日本学術振興会の研究倫理eラーニングコース「eL-CoRE」による研究活動コンプライアンスe-learning研修の毎年受講は継続する。さらに、科学研究費助成事業(科研費)応募申請等に係る学内説明会において、今回の不正事例の発生要因も含め、具体的に取り上げて注意喚起を行うとともに、本学における教職員向けのホームページへ掲載し、研究者の責任や不正行為に対する処分ルールの更なる周知を図る。 研究活動における不正行為が懲戒処分の対象となる可能性があることと、すべての共著者は当該研究に実質的に貢献し、論文投稿前に内容を熟読し、論文全体について一定の責任を負うことを教授会等を通じ所属する全教員に対し年2回の周知を行う。 研究活動における不正行為防止ポスターを作成し、学内への配布と掲示を行う。 〇研究活動の不正防止及び研究倫理リーフレットの見直し 今回の不正事例に関する事項を追加し、更なる不正防止意識の向上を図る。 すべての共著者は当該研究に実質的に貢献し、論文投稿前に内容を熟読し、論文全体について一定の責任を負う旨を明記する。 〇研究データ等の保管の徹底 全研究者に対して研究ノートの作成と保管及び生データを保管することの重要性を改めて周知徹底する。それに併せて、論文公表にあたって責任著者は共著者と協力して公表するデータの基となる生データ・研究ノートを再度確認し、公表しようとする内容の正確性を担保する。責任著者など指導的立場にある研究者は、研究の実施や論文等の執筆・投稿に当たり、直接的に必要な確認を行う、又は、他の研究者に必要な確認を行わせる等の適切な確認体制を構築する。 〇論文等に関するオーサーシップ・ポリシーの制定 オーサーシップ・ポリシーを制定し、論文等における著者の条件を明確に示す。 |
◆配分機関が行った措置 |
特定不正行為が認定されていないため、研究者に対する措置は講じない。 |
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