【基本情報】
番号 |
2021-08 |
不正行為の種別 |
捏造・盗用 |
不正事案名 |
研究活動上の不正行為(捏造・盗用)の認定について |
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不正事案の研究分野 |
細胞分子生物学 |
調査委員会を設置した機関 |
A大学 |
不正行為に関与した者等の所属機関、部局等、職名 |
A大学 元准教授、B大学 元准教授 |
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不正行為と認定された研究が行われた機関 |
A大学 |
不正行為と認定された研究が行われた研究期間 |
平成25年度~令和元年度 |
告発受理日 |
平成30年2月5日 |
本調査の期間 |
平成30年3月12日~令和3年2月2日 |
不服申立てに対する再調査の期間 |
— |
報告受理日 |
令和3年9月8日 |
不正行為が行われた経費名称 |
科学研究費助成事業 |
【不正事案の概要等】
◆不正事案の概要 |
1.告発内容及び調査結果の概要 A大学教員から学長に、元准教授が学会での口演資料に盗用及び捏造した旨の告発があった。予備調査を行った結果、本調査を行うこととし、調査委員会を設置した。本調査の結果、口演発表資料1編に捏造、盗用、論文1編に捏造が行われたと認定した。 2.本調査の体制、調査方法、調査結果等について (1)調査委員会による調査体制 4名(内部委員2名、外部委員2名) (2)調査の方法等 1)調査対象 ア)調査対象者:A大学 元准教授、B大学 元准教授(共同責任著者である元准教授) イ)調査対象論文:学会における口演資料、A大学の元准教授が在籍中に指導した学生の責任著者となっている論文1編 2)調査方法 口演資料の画像解析、告発者及びA大学元准教授等へのヒアリング、書面資料(実験計画書、研究データ等)の確認などによる調査 (3)本事案に対する不正行為調査委員会の調査結果を踏まえた結論 (結論) 1)認定した不正行為の種別: 口演資料:捏造、盗用をある 論文:捏造を認定 2)「不正行為に関与した者」として認定した者:A大学元准教授 3)「不正行為に関与していないものの、不正行為のあった研究に係る論文等の責任を負う者」:B大学元准教授 (認定理由) ・ 口演資料については、当該発表内容と関連のない論文のデータを盗用し、実験条件、使用試薬が全く異なる画像として掲載した。 ・ 論文については、実在しない実験データを実施した実験データのように扱い記載した。 3.認定した不正行為に直接関連する経費の支出について 科学研究費助成事業による研究成果であるが、不正行為を認定した論文等の作成過程において、直接関係する経費の支出は認められなかった。 |
◆研究機関が行った措置 |
1.論文の取下げ 特定不正行為が認定された論文の取下げをA大学元准教授に勧告した。 2.被認定者に対する大学の対応(処分等) すでに大学を離れているため懲戒処分を行うことができなかった。また、A大学に所属していない元准教授に対しては、調査結果を元所属機関に送付した。 |
◆発生要因及び再発防止策 |
1.発生要因 ア)平成27年9月から毎年実施している研究倫理教育講習会等において全研究者へ説明しているが、研究を実施するにあたり法令等遵守や公正な研究活動を遂行する自らの規律が欠落していた。また、研究データの保存を義務付けているものの保存状況のチェックができていなかった。 イ)学会発表の資料はA大学元准教授が一人で作成し、発表前の研究室内での予行演習は行われたものの生データの確認などが行われていなかった。 ウ)論文投稿にあたりすべての共著者に実験データの生データ実験ノート等のチェックを依頼すべきであったが、A大学元准教授は責任著者として自覚及びなすべきことの理解不足で怠った。論文不正に関しては、A大学元准教授から口演資料の告発者に対して、責任ある研究や業務を完了させたいので1年間の猶予を配慮してほしいとの要望があり、告発者がこれを承諾したことから告発が遅れたことも要因の一つである。 エ)研究倫理教育を実施していたが、被告発者に適切な理解させることができていなかった。 2.再発防止策 ア)令和2年度に研究室におけるデータ保存状況の監査を実施し、適切なオーサーシップに関する研究倫理FD講演会を実施した。 イ)研究データの保存状況について内部監査室と協力して各研究室における研究データの保存状況の監査を定期的に行うことを決定した。 ウ)イ)の対応と同時に研究室内での勉強会及び予演会等により、研究者の実験ノートのチェック、特に論文あるいは学会発表で使用するデータを生データと照合するなどのデータチェックの実施を所属長に徹底するとともに、実施方法等にかかるFDを実施する。 エ)研究者を対象として論文投稿にあたっての基本的なルール及び適切なオーサーシップにかかるFDを定期的に実施する。 オ)毎年度実施している「研究倫理教育講習会」において、今回の事例を基に教職員全員が研究者として遵守すべき法令や関係規則を理解できる内容として実施し、基本的な研究者倫理を理解させるとともに、関係規則等についても十分な説明を行い、不正行為を発見した場合の相談窓口等の周知及び手続方法等を周知し、研究者の倫理意識を高め、理解を得る。 |
◆配分機関が行った措置 |
科学研究費助成事業について、捏造・盗用と直接的に因果関係が認められる経費の支出はなかったため、返還を求めるものではないが、捏造・盗用が認定された論文等は科学研究費助成事業の成果として執筆された論文等である。このため、資金配分機関である日本学術振興会において、資格制限の措置(A大学元准教授:令和4年度~令和8年度(5年間)、B大学元准教授:令和4年度(1年間))を講じた。 |
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