【基本情報】
番号 |
2021-07 |
不正行為の種別 |
自己盗用 |
不正事案名 |
研究活動上の不正行為(自己盗用)の認定について |
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不正事案の研究分野 |
コンピュータ理工学 |
調査委員会を設置した機関 |
大学 |
不正行為に関与した者等の所属機関、部局等、職名 |
教授 |
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不正行為と認定された研究が行われた機関 |
大学 |
不正行為と認定された研究が行われた研究期間 |
平成23年度~平成25年度 |
告発受理日 |
令和2年9月23日 |
本調査の期間 |
令和3年2月4日~令和3年12月7日 |
不服申立てに対する再調査の期間 |
— |
報告受理日 |
令和4年2月28日 |
不正行為が行われた経費名称 |
科学研究費助成事業 |
【不正事案の概要等】
◆不正事案の概要 |
1.告発内容及び調査結果の概要 教授Aの4編の論文について、自己盗用及び二重投稿、指導学生論文の盗用の疑いがある旨の告発があった。また、教授Bの論文1編について二重投稿の疑いがある旨の告発があった。予備調査を行った結果、本調査を行うこととし、調査委員会を設置した。本調査の結果、論文4編について自己盗用が行われたと認定した。 2.本調査の体制、調査方法、調査結果等について (1)調査委員会による調査体制 7名(内部委員3名、外部委員4名) (2)調査の方法等 1)調査対象 ア)調査対象者:教授A、教授B イ)調査対象論文:4編(プロシーディングス)、1編(プロシーディングス) 2)調査方法 調査対象論文の学術的成果の検証、投稿規程の確認、被告発者からのヒアリングにより調査 (3)本事案に対する不正行為調査委員会の調査結果を踏まえた結論 (結論) 1)認定した不正行為の種別:自己盗用 2)「不正行為に関与した者」として認定した者:教授A (認定理由) ・ 教授Aの調査対象論文(4編)は、システム開発の進捗状況を報告するものや同じシステムの構築であるが課題設定が異なるもので、先行論文に比べ明確な新規性が認められるプロシーディングスであった。 ・ しかしながら、いずれの論文においても、システムのコンセプトや背景など開発過程のシステムに共通する部分を説明する記述や図表を調査対象論文以前に投稿したプロシーディングスから、論文投稿規程等に定められている適切な引用等を行わないまま利用していたため、自己盗用と認定した。 ・ 教授Bの調査対象論文(1編)については、先行論文とは別の手法により発展させたものであり、先行論文の内容にあたる部分は、適切な引用がなされており、不正行為は確認されなかった。 3.認定した不正行為に直接関連する経費の支出について 科学研究費助成事業による研究成果であるが、不正行為を認定した論文の作成過程において、直接関係する経費の支出は認められなかった。 |
◆研究機関が行った措置 |
4編の論文の出版元に自己盗用の認定について通知 |
◆発生要因及び再発防止策 |
1.発生要因 本事案の分野においては、論文の発展的プロセス(いくつかのプロシーディングスを経て、完成形として学術論文雑誌、ジャーナルに投稿)においては、適切な引用による自己論文の一部再利用が肯定されている。 調査対象論文は完成形のジャーナル論文ではなく発展過程のプロシーディングス論文であったことやシステム開発の進捗状況を報告する際には、ベースとなるシステムのコンセプトや構成は必然的に同じ記述となるため、その部分について適切な引用がなくとも自己盗用を疑われることがないとの認識が発生要因となっている。また、平成27年3月末に初めて大学の不正防止規定が制定されそれ以前は大学として統一的な研究不正防止の取り組みがほとんどなされておらず、規程制定後も研究倫理研究の実施には取り組んでいたものの積極的な情報発信が不足していたため、プロシーディングス執筆スタイルを改める機会がなかったことも一因である。 2.再発防止策 〇不正防止規程の見直し 捏造・改ざん・盗用以外の自己盗用や二重投稿などを具体的に類型化して規定することや研究倫理教育の実効性を担保するための規程を追加するなどの改正を実施する。 〇研究倫理教育の充実 不正行為の具体的な内容について、研究者(学生も含む)が十分に理解できるような研究倫理教育を行う。また、論文投稿時の剽窃チェックツールの導入など、共著者間でより丁寧なチェックを行えるような仕組みを構築する。 〇最新の研究倫理に係る情報の学内共有 各出版社等の投稿規程等の動向、投稿時におけるトラブル事例、研究不正事例など、最新の研究倫理に係る情報を学内で共有できるような仕組みを構築する。 |
◆配分機関が行った措置 |
特定不正行為が認定されていないため、研究者に対する措置は講じない。 |
研究公正推進室
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