「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」に係る質問と回答(FAQ)

 このFAQは、「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン(平成26年8月26日文部科学大臣決定)」(以下「ガイドライン」という。)について、関係者の方々により良く理解していただくため、文部科学省がこれまで実施してきた説明会、ガイドラインの策定に向けた意見募集等を通じて寄せられた質問等に対する回答をQ&A形式でまとめて掲載したものです。
 関係者及び関係機関におきましては、実効性のある運用に向けた準備を進めていただくに当たり参考にしてください。
 また、今後、随時更新していきますので、ガイドラインに関して御不明な点がございましたら、下記問合せ先に御質問をお寄せいただきますようお願いします。

更新経歴
平成26年10月 Q&A公開
平成27年02月 Q&Aの追加(Q3-23~Q3-27)、Aの変更(A2-7、A2-8)
平成27年03月 Q&Aの追加 (Q7-1~Q7-6)、Q&Aの変更 (Q2-16)、Aの変更(A4、A1-3、A1-4、A2-14、A2-15、A2-22、A3-6、A3-7)、Qの変更(Q2-11)

質問事項

<はじめに(総論)>

(基本的考え方)

Q1
 新たなガイドラインの基本的な考え方を教えてください。
Q2
 本ガイドラインによって、研究者や研究機関の負担を過度に増やすことにより、結果として研究活動が停滞・衰退するようなことがあってはならないと考えますが、この点についてどのように考えますか。
Q3
 不正行為を防ぐためには、懲戒や減給なども含め、さらなる厳罰化が必要だと考えますが、この点についてどのように考えますか。

(適用)

Q4
 ガイドラインの運用開始に向けた今後のスケジュールを教えてください。
Q5
 「第3節及び第4節については、平成27年度当初予算以降(継続を含む。)における文部科学省の予算の配分又は措置により行われる全ての研究活動を対象とする」とありますが、平成26年度以前の予算による研究活動において不正行為が発生した場合は措置の対象とならないと考えてよいですか。
Q6
 平成26年度以前の予算による研究活動において不正行為が発生した場合、第3節の「調査を行うことの通知」及び「調査結果の報告」等の報告等は不要と考えてよいですか。
Q7
 他府省又は企業からの受託研究等による研究活動の不正行為は、適用対象外となりますが、どのように対応すればよいですか。
Q8
 他府省又は企業からの受託研究等において不正行為が発生した場合、第3節の「調査を行うことの通知」及び「調査結果の報告」等の報告等は不要と考えてよいですか。

<第1節>

(研究機関の管理責任)

Q1-1
 「研究機関において、共同研究における個々の研究者等がそれぞれの役割分担・責任を明確化すること」とは、具体的にどのようなことを想定していますか。
Q1-2
 「若手研究者等が自立した研究活動を遂行できるよう適切な支援・助言等がなされる環境整備(メンターの配置等)」とありますが、メンターは具体的にどのような役割を担うことを考えていますか。
Q1-3
 どのような行為が二重投稿や不適切なオーサーシップに該当するかの判断基準について、今後どのように示される予定でしょうか。(日本学術会議が2015年3月までにまとめる統一基準との整合性いかん)
Q1-4
 ねつ造、改ざん、盗用、二重投稿、不適切なオーサーシップ以外の不正行為としては、何が考えられるのか。可能な限り具体例を示していただきたいです。

<第2節>

(研究倫理教育)

Q2-1
 研究倫理教育について、研究機関と配分機関に対して求められる事項にどのような違いがありますか。
Q2-2
 各研究機関の研究倫理教育の受講対象者は、広く研究活動に関わる者とありますが、どこまで広げる必要がありますか。
Q2-3
 各研究機関では、「諸外国や民間企業からの研究者や留学生などが研究機関において一時的に共同研究を行う場合であっても、当該研究機関において研究倫理教育を受講できるよう配慮する必要がある。」とありますが、所属機関において受講していることを確認できれば受講させる必要はないですか。
Q2-4
 「研究倫理教育責任者」は、研究費のガイドラインにおいて設置が求められている「コンプライアンス推進責任者」と別に設置する必要がありますか。
Q2-5
 「研究倫理教育責任者」は、部局単位で設置するとありますが、複数の高等専門学校を設置する独立行政法人国立高等専門学校機構の場合はどうすべきか。また、高等専門学校の学生への研究者倫理の醸成は、学部学生相当と捉えてよいですか。
Q2-6
 研究倫理教育については、「定期的」に履修させることが適切とされているが、具体的な目安はどの程度を想定されていますか。
Q2-7
 配分機関が「研究倫理教育責任者の知識・能力の向上のための支援その他の研究倫理教育の普及・定着や高度化に関する取組」を実施することとされていますが、具体的にどのような支援・取組を考えていますか。
Q2-8
 「研究倫理教育に関するプログラムの開発推進」について、文部科学省は、具体的にどのような取組を行っていますか。
Q2-9
 研究倫理教育に関する標準的なプログラムや教材は英語版も提供されますか。
Q2-10
 各研究機関は、教員・研究者、大学院生、学部学生等の各々の者に具体的にどのような研究倫理教育を行えば、最低限ガイドラインを踏まえた取組であると判断されるのか、その判断基準を示していただけませんか。
Q2-11
 競争的資金等の配分に際し、研究倫理教育の受講の義務化が示されていますが、応募者等が受講すべきプログラムはどのように示されるのでしょうか。例えば、ある競争的資金等においてはCITI Japanのプログラムの受講を義務付け、別の競争的資金等においてはJSPS作成プログラムの受講を義務付けるといったような状況は、研究者の負担等の観点から避けていただきたいです。
Q2-12
 学生に対する研究倫理教育について、単位を与える講座でないとならないのでしょうか。
Q2-13
 研究科や専攻を共同設置している場合、A大学院に所属している学生も、共同機関B大学院に配属されていることもありえますが、このような場合、学生に対する研究倫理教育の実施責任は、どの研究機関にあるのでしょうか。

(研究データの保存・開示)

Q2-14
 研究データの保存・開示について、各研究分野に応じて、保存対象や期間の具体的な例示を示していただきたいです。
Q2-15
 研究データの保存・開示等について、日本学術会議に対して、審議の依頼をされていると聞いておりますが、これらの検討結果はいつ頃、各研究機関に示していただけるのでしょうか。なお、各研究機関において新ガイドラインに対応した体制及び規程等の整備並びに実効的な取組の実施に関し、全学的な検討・決定、学内構成員に対する周知徹底を26年度中に行うためには、日本学術会議の検討結果を遅くとも本年中(12月末)までにはお示しいただく必要があると考えます。
Q2-16
 日本学術会議の審議結果を待って規程等を定めてもよろしいでしょうか。
Q2-17
 平成27年4月1日までに体制整備ができなくともよいのでしょうか。
Q2-18
 実験試料の保存に関して保存スペースやコストのためのやむ得ない廃棄を容認すべきではないですか。
Q2-19
 「研究機関において、研究者に対して一定期間研究データを保存し、必要な場合に開示することを義務付ける旨の規程を設け、」とありますが、「必要な場合に開示する」とはどのような場合を想定していますか。
Q2-20
 平成26年度以前に作成した研究データについて、平成27年4月時点で既に廃棄されていた場合は、やむを得ないということでよいでしょうか。また、今後平成26年度以前の研究データの義務づけはなされないということでよいでしょうか。
Q2-21
 研究データの保存等に関し、各研究機関は、研究者に対して「義務」を課するだけでよく、個々の研究者が具体的にどのような研究データを所持しているかについてまで研究機関が把握しておく必要はないということでよろしいでしょうか。
Q2-22
 研究者の異動(A大学→B大学)があった場合、当該研究者がA大学在籍時に取得した研究データの保存等に関しては、B大学の義務規程との関係はどのようになるのでしょうか(B大学の義務規定が適用されるとすれば、例えば、A大学の保存期間の方がB大学の保存期間より短い場合に、A大学の義務規程には反しないがB大学の義務規定に反するようなケースが生じる)。
Q2-23
 研究者が退職し、その後どの機関にも所属しない場合は、研究データの取扱いはどうなるのでしょうか。

<第3節>

(対象とする研究活動)

Q3-1
 ガイドラインの適用対象は、文部科学省に関連する研究活動に限定されるのですか。
Q3-2
 対象研究機関について、競争的資金を受けていない研究機関(私学助成等の基盤的経費のみを受けている研究機関など)にまで拡大するとされているが、その趣旨を教えてください。
Q3-3
 本ガイドラインの研究者に学生は含まれますか。
Q3-4
 学位論文における不正行為は本ガイドラインの対象ですか。

(定義)

Q3-5
 不正行為の定義が、生命科学などの実験科学にのみに当てはまるものになっており不適切ではないでしょうか。
Q3-6
 各節で「研究活動における不正行為」の定義が異なっていますが、どのような違いがあるのですか。
Q3-7
 「研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務」の具体的な定義を示してください。
Q3-8
 注意義務を著しく怠った場合とは、いわゆる重過失の場合ということでしょうか。
Q3-9
 研究活動における不正行為は、「公表前」の研究成果に関する行為も含まれうるのでしょうか。
Q3-10
 投稿論文の場合、論文が掲載された時点で「発表」とみなすのか、それとも論文を投稿した時点で「発表」とみなすのか御教示ください。
Q3-11
 「投稿論文など」とあるが、この「など」にはディスカッションペーパーや口頭発表も含まれるのか、具体的に想定されるものを御教示ください。
Q3-12
 インターネットでのディスカッションは、研究成果の発表に当たるのでしょうか。

(告発)

Q3-13
 「書面による告発など、受付窓口が受け付けたか否かを告発者が知り得ない方法による告発が行われた場合は、研究・配分機関は告発者に告発を受け付けたことを通知する。」とは書かれているが、書面による告発などを受け付けない場合、告発として受け付けない旨を告発者に通知する必要がありますか。
Q3-14
 告発・相談窓口を外部に設けることも可能とされておりますが、例としてはどのような機関がありますか。
Q3-15
 匿名の告発を認めると、告発が続発し、不正の疑いのみで調査が行われることになり、研究活動が阻害されるのではないでしょうか。
Q3-16
 インターネットでの指摘に対しては必ず対応しなければならないのでしょうか。インターネットでの指摘の取扱いを研究機関の規定として整備していない場合に、文部科学省からは指導はなされないということでよいでしょうか。

(調査)

Q3-17
 特定不正行為の告発に係る事案の調査は、被告発者の所属する機関ではなく、国に直轄する独立した調査機関を新たに設置して実施すべきではないでしょうか。
Q3-18
 ある研究者が、雇用関係を結んでいるA研究機関とは異なるB研究機関において客員研究員として委嘱され、B研究機関の施設・設備を専ら使用して行った研究活動に係る告発があった場合、「所属する研究機関」とは、A研究機関かB研究機関のどちらになるでしょうか。
Q3-19
 名誉教授や客員教授のような雇用関係のない者について、特定不正行為の疑惑が告発された場合には、研究機関として対応をする必要があるのでしょうか。また、日本学術振興会特別研究員の場合はどうでしょうか。
Q3-20
 研究活動における不正行為に「時効」は存在するのでしょうか。
Q3-21
 外部有識者として許容される範囲について御教示ください。また、第3節3-1(1)に定める「受付窓口」を外部の機関に業務委託した場合、当該機関に所属する者を外部有識者に含めてもよろしいでしょうか。
Q3-22
 調査期間の目安について、例えば、他機関と合同の調査を行う場合を一機関で調査を行う場合に比べ長く期間を設定することは可能でしょうか。
Q3-23
 調査委員の利害関係者の範囲を教えてください。
Q3-24
 調査委員会の外部有識者半数という要件は厳しすぎると思いますが、文部科学省の支援はあるのでしょうか。
Q3-25
 調査委員の氏名は事前、事後ともに非公表でよいのではないでしょうか。
Q3-26
 調査委員会立ち上げ後に、同じ論文又は共通の著者に、新たに疑惑が生じた際、どのように調査を進めればよろしいでしょうか。
Q3-27
 調査に当たっての配分機関の役割を教えてください。

(認定)

Q3-28
 特定不正行為と認定された研究活動に係る論文等の各著者の当該論文等及び当該研究活動における役割や責任を認定する場合、調査機関に所属しない著者に対して、調査機関が認定することができますか。

(調査結果の公表)

Q3-29
 「管理・監査のガイドライン」のガイドラインでは原則氏名等について公表としているにも関わらず、本ガイドラインでは、「公表する調査結果の内容〈項目等〉は調査機関が定める」としている理由は何なのでしょうか。

<第4節>

(特定不正行為に対する研究者への措置)

Q4-1
 特定不正行為と認定された者に対する配分機関等の措置の決定は、どのように行われますか。
Q4-2
 基盤的経費の措置による研究活動における特定不正行為に関し、研究費の返還に関する取扱いは各機関の判断とされておりますが、どのような趣旨でしょうか。

(管理条件の付与)

Q4-3
 「管理条件」として、どのような条件が考えられますか。
Q4-4
 「管理条件」の履行期限については、改善事項と研究機関の事情等を勘案すべきではないですか。

(間接経費の削減)

Q4-5
 「間接経費の削減」と「配分の停止」措置について、不正行為に無関係な部局や研究者も影響を受けることになり、適切な措置でないと考えます。この措置を定めたのはどうしてですか。
Q4-6
 間接経費の削減や配分の停止は、競争的資金に限られますか。管理条件を付しても、競争的資金を受けていない機関にはそれ以上の措置は講じないのですか。
Q4-7
 管理条件の履行が認められない場合、当該研究機関全体に対する競争的資金の間接経費措置額を削減するのか。例えば、当該機関の一定の部局で管理条件が履行されていない場合、当該条件が履行されている他の部局も当該競争的資金の間接経費措置額の削減の対象になるのか。

<第5節>

(履行状況調査)

Q5-1
 履行状況調査の予定時期及び予定機関数を教えてください。
Q5-2
 履行状況調査では何を確認するのか教えてください。
Q5-3
 研究倫理教育に係る体制や実施状況について、履行状況調査では具体的に何を確認するのか教えてください。
Q5-4
 研究倫理教育は、履行状況調査の時点で実施をしていなければならないのでしょうか。
Q5-5
 「管理条件の付与」等の措置を講じるに当たっては、その妥当性等について慎重な検討が必要であると考えますが、この点についてどのように考えていますか。

<その他>

Q6-1
 新たなガイドラインの内容について外国人研究者や留学生に説明するためには、ガイドラインの英訳版が必要だと考えますが、文部科学省として英訳版を作成する予定はありますか。
Q6-2
 不正行為の事前防止のために研究機関において論文類似度検索ツールなどを導入する取組について、今後、文部科学省として支援する考えはありますか。

<日本学術会議の回答「科学研究における健全性の向上について」>

Q7-1
 回答はどのような取扱いになりますか。回答を踏まえ、ガイドラインを改定する予定はありますか。
Q7-2
 研究機関において定めた研究データの保存・開示等に関する規程等が、日本学術会議の示す回答の内容と異なっている場合、研究機関の規程を再度改正する必要があるのでしょうか。
Q7-3
 日本学術会議が示す回答では、試料(実験試料、標本)や装置など「もの」については、保存期間を原則5年としていますが、試料と装置は、ガイドラインで保存が義務付けている研究データに含まれますか。また、含まれる場合、保存の対象は、それぞれが研究成果となっているもののみと理解してよいでしょうか。
Q7-4
 研究機関において定めた規程の内容が、日本学術会議の示すモデル規程の内容と異なっている場合、研究機関の規程を再度改正する必要があるのでしょうか。
Q7-5
 日本学術会議の示すモデル規程では、ガイドラインで定めていない研究倫理委員会の設置が記載されているが、必ず設置する必要がありますか。
Q7-6
 回答の内容についても、履行状況調査や管理条件の対象となりますか。

質問と回答

<はじめに(総論)>

(基本的考え方)

Q1
 新たなガイドラインの基本的な考え方を教えてください。

A1
 今回の新たな「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」(平成26年8月26日、文部科学大臣決定)の策定に当たっては、「研究における不正行為・研究費の不正使用に関するタスクフォース」のとりまとめ及び「「研究活動の不正行為への対応のガイドライン」の見直し・運用改善等に関する協力者会議」の審議のまとめ等を踏まえ、平成18年に策定したガイドラインの見直しを行いました。
 見直しに当たっては、従来、研究活動における不正行為への対応が研究者個人の責任に委ねられている側面が強かったことを踏まえ、今後は、研究者自身や科学コミュニティの自律を基本としながらも、研究機関が組織を挙げて不正行為の防止に関わることにより、不正行為が起こりにくい環境がつくられるよう対応の強化を図ることを基本的な方針としています。

Q2
 本ガイドラインによって、研究者や研究機関の負担を過度に増やすことにより、結果として研究活動が停滞・衰退するようなことがあってはならないと考えますが、この点についてどのように考えますか。

A2
 御指摘のとおり、研究者や研究機関の負担を過度に増やすことにより、結果として研究活動が停滞・衰退するようなことがあってはなりません。従前のガイドラインと同様に、今回のガイドラインにおいても、不正行為への対応は、自由な研究活動をより活性化させるためのものである旨を基本姿勢として明記しています。
 他方、社会的に大きな影響を及ぼすような不正行為の事案が続いている昨今の状況に鑑みれば、ひとたび事案が発生すると、研究者や研究機関の人的・時間的負担が大きいことも十分認識する必要があります。本ガイドラインにおいては、このような事後の負担を重く受け止め、研究機関を挙げて不正行為を事前に防止することを徹底させることにしており、これらの取組は結果的に研究者や研究機関の負担軽減になるものと考えております。

Q3
 不正行為を防ぐためには、懲戒や減給なども含め、さらなる厳罰化が必要だと考えますが、この点についてどのように考えますか。

A3
 現在でも、研究活動における不正行為を行った研究者については、最長10年間の競争的資金への応募資格の停止措置という研究を継続して行う上で相当の影響が出る形での措置が取られており、新ガイドラインでも踏襲しています。なお、懲戒や減給などの措置については、研究機関と研究者との雇用契約関係に基づいたものであるため、本ガイドラインで方針を示すことは適切ではなく、各研究機関において、事案ごとに判断されるべきものと考えております。

(適用)

Q4
 ガイドラインの運用開始に向けた今後のスケジュールを教えてください。

A4
 新たなガイドラインは平成27年4月1日から運用を開始します。関係機関においてガイドラインが求める事項に対応するためには一定の期間を要すると考えられることから、平成27年3月31日までを「集中改革期間」と位置づけ、規程や体制の整備など、実効性のある運用に向けた準備を集中的に進めていただくこととしています。
 なお、文部科学省では、日本学術会議に対して、以下の事項について審議を依頼しました。回答「科学研究における健全性の向上について」については、ホームページで公表していますので、御参照ください。
(1)実験データ等の保存の期間及び方法(研究分野の特性に応じた検討)
(2)研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務
(3)特定不正行為(ねつ造、改ざん、盗用)以外の不正行為の範囲(二重投稿・オーサーシップの在り方等)
(4)研究倫理教育に関する参照基準
(5)各大学の研究不正対応に関する規程のモデル
(6)その他研究健全化に関する事項

Q5
 「第3節及び第4節については、平成27年度当初予算以降(継続を含む。)における文部科学省の予算の配分又は措置により行われる全ての研究活動を対象とする」とありますが、平成26年度以前の予算による研究活動において不正行為が発生した場合は措置の対象とならないと考えてよいですか。

A5
 平成26年度以前の予算における研究活動(その研究成果を平成27年度以降に発表した場合も含む。)による不正行為は、新たなガイドラインの措置の対象とはなりません。ただし、配分機関等がそれぞれのルール等に基づき措置を講じることを妨げるものではありません。
 なお、平成26年度以前の予算における競争的資金において不正行為が発生した場合、旧ガイドライン等に基づき、競争的資金の返還、競争的資金への申請及び参加資格の制限の措置が講じられることになります。

Q6
 平成26年度以前の予算による研究活動において不正行為が発生した場合、第3節の「調査を行うことの通知」及び「調査結果の報告」等の報告等は不要と考えてよいですか。

A6
 報告等は不要です。なお、平成26年度以前の予算における競争的資金において不正行為が発生した場合、旧ガイドラインに基づき、「本調査を行うことの通知」及び「調査結果の報告」等の報告を行うことになります。なお、配分機関において別ルールが定められている場合は、それに従っていただくこととなります。

Q7
 他府省又は企業からの受託研究等による研究活動の不正行為は、適用対象外となりますが、どのように対応すればよいですか。

A7
 他府省等が配分する競争的資金等による研究活動の不正行為への対応については、別途他府省から示されるガイドライン等に基づき対応していただくことになります。
 なお、研究活動における不正行為の問題は、文部科学省の所掌の範囲に閉じるものではなく、政府を挙げて取り組むべき課題であることから、各府省とも連携・協調を図っていくことが不可欠であり、今後、文部科学省のガイドラインが示す対応策について、関係府省においても可能な限り統一的な運用がなされるよう、関係府省に働きかけを行う予定です。
 また、企業からの受託研究等については、企業における自己資金を原資とした研究ではありますが、公正な研究活動を推進するためにも、不正行為が発生した場合は、研究機関において適切に対応していただくことになります。

Q8
 他府省又は企業からの受託研究等において不正行為が発生した場合、第3節の「調査を行うことの通知」及び「調査結果の報告」等の報告等は不要と考えてよいですか。

A8
 文部科学省への報告等は不要です。他府省等が配分する競争的資金等による研究活動の不正行為への対応については、別途他府省から示されるガイドライン等に基づき対応していただくことになります。なお、配分機関において別ルールが定められている場合は、それに従っていただくこととなります。

<第1節>

(研究機関の管理責任)

Q1-1
 「研究機関において、共同研究における個々の研究者等がそれぞれの役割分担・責任を明確化すること」とは、具体的にどのようなことを想定していますか。

A1-1
 研究機関において、共同研究が適切に行われるよう、例えば、代表研究者に、共同研究者間において、研究目的や内容、業務、役割分担、責任等を明確にし、相互に理解することを求めるなど、責任ある研究体制を確保するための方針若しくは規程等を整備していただくことを想定していますが、共同研究の実情を踏まえ、不正行為を防止するための実効的な取組を検討し、推進していただきたいと考えております。また、国際共同研究を進めるに当たっては、不正行為の範囲や研究遂行上のルール・慣習に国ごとの差違があることを認識し、研究機関間の覚書等に不正行為が起こった際の対応や研究の公正性確保の観点をあらかじめ規定しておくことが望ましいと考えます。

Q1-2
 「若手研究者等が自立した研究活動を遂行できるよう適切な支援・助言等がなされる環境整備(メンターの配置等)」とありますが、メンターは具体的にどのような役割を担うことを考えていますか。

A1-2
 メンターの役割は、若手研究者等が自立して研究することができるよう、研究室運営のノウハウを修得させ、また自ら筆頭研究者として外部資金を獲得できるようにするために広範な支援・助言等を行うことを想定しています。

Q1-3
 どのような行為が二重投稿や不適切なオーサーシップに該当するかの判断基準について、今後どのように示される予定でしょうか。(日本学術会議が2015年3月までにまとめる統一基準との整合性いかん)

A1-3
 二重投稿や不適切なオーサーシップなどの特定不正行為以外の不正行為については、分野に応じた具体的な検討が必要であるため、文部科学省では、日本学術会議に対して、特定不正行為(ねつ造、改ざん、盗用)以外の不正行為の範囲(二重投稿・オーサーシップの在り方等)について、審議を依頼しました。回答についてはホームページで公表していますので、御参照ください。

Q1-4
 ねつ造、改ざん、盗用、二重投稿、不適切なオーサーシップ以外の不正行為としては、何が考えられるのか。可能な限り具体例を示していただきたいです。

A1-4
 ねつ造、改ざん、盗用以外については、分野に応じた具体的な検討が必要であるため、日本学術会議に対して、審議の依頼をしました。回答については、ホームページで公表していますので、御参照ください。なお、例えば、CSTI会議 「研究不正行為への実効性ある対応に向けて」においては、研究活動を弱体化させる不適切・無責任な行為として、研究データの管理不足による逸失などがあげられております。

<第2節>

(研究倫理教育)

Q2-1
 研究倫理教育について、研究機関と配分機関に対して求められる事項にどのような違いがありますか。

A2-1
 研究倫理教育は、一義的には、各研究機関において実施されるべき事項であると考えております。配分機関においては、研究者に研究倫理教育プログラムを履修させるか、あるいは、研究者が所属する研究機関において研究倫理教育を受講していることを確認することで、競争的資金等の適切な配分を担保する責任があります。

Q2-2
 各研究機関の研究倫理教育の受講対象者は、広く研究活動に関わる者とありますが、どこまで広げる必要がありますか。

A2-2
 研究倫理教育の受講対象者は、基本的には研究者を想定しておりますが、加えて、将来研究者を目指す人材や研究支援人材など広く研究活動に関わる者についても、各研究機関において、業務や専門分野の特性等も踏まえ適切に判断していただきたいと考えております。

Q2-3
 各研究機関では、「諸外国や民間企業からの研究者や留学生などが研究機関において一時的に共同研究を行う場合であっても、当該研究機関において研究倫理教育を受講できるよう配慮する必要がある。」とありますが、所属機関において受講していることを確認できれば受講させる必要はないですか。

A2-3
 所属機関において、研究倫理教育を適切に受講したことが確認できれば重複して受講させる必要はありません。ただし、所属機関で研究倫理教育を受講できない、あるいは、受講が確認できない場合は、当該研究機関において受講できるよう体制を整備していただくことが望まれます。

Q2-4
 「研究倫理教育責任者」は、研究費のガイドラインにおいて設置が求められている「コンプライアンス推進責任者」と別に設置する必要がありますか。

A2-4
 研究倫理教育責任者、コンプライアンス推進責任者は、それぞれのガイドラインで示される研究倫理教育、コンプライアンス教育の着実な実施に対応するための責任者であり、それぞれに設置していただく必要があります。ただし、研究倫理教育責任者、コンプライアンス推進責任者についてそれぞれの対応が行われれば、両者については同一者でも問題ありません。

Q2-5
 「研究倫理教育責任者」は、部局単位で設置するとありますが、複数の高等専門学校を設置する独立行政法人国立高等専門学校機構の場合はどうすべきか。また、高等専門学校の学生への研究者倫理の醸成は、学部学生相当と捉えてよいですか。

A2-5
 研究倫理教育を適正に実施する規模等を考慮した上で適切に研究倫理教育責任者を設置してください。また、高等専門学校の学生への研究倫理教育については、学部学生同様、学生が研究者倫理に関する基礎的要素を修得できるよう、研究倫理教育を受けることができるよう配慮していただくことが望まれます。

Q2-6
 研究倫理教育については、「定期的」に履修させることが適切とされているが、具体的な目安はどの程度を想定されていますか。

A2-6
 研究倫理教育の履修頻度については、各研究機関において、研究分野の特性に応じて適切に判断していただくことが望まれます。

Q2-7
 配分機関が「研究倫理教育責任者の知識・能力の向上のための支援その他の研究倫理教育の普及・定着や高度化に関する取組」を実施することとされていますが、具体的にどのような支援・取組を考えていますか。

A2-7
 例えば、平成27年度予算案では、日本学術振興会・科学技術振興機構・日本医療研究開発機構において、研究倫理教育に関する標準的及び分野別のプログラムや教材の開発及びe-learning教材の開発・普及に係る予算を計上しております。また、各配分機関が連携しながら、研究倫理教育責任者の知識向上のための研修会やシンポジウムを実施することなどを想定しております

Q2-8
 「研究倫理教育に関するプログラムの開発推進」について、文部科学省は、具体的にどのような取組を行っていますか。

A2-8
 文部科学省は、現在、日本学術会議及び日本学術振興会と連携し、研究倫理教育に関する標準的なプログラムの作成を行い、平成26年11月に、日本学術会議からプログラム(テキスト版)を公表したところです。また、平成27年度予算案では、本プログラムのe-learning教材の開発・普及に係る予算を計上しており、平成27年度は、e-learning教材の開発を進める予定です。文部科学省では、引き続き、研究現場の実情や研究活動の多様性、研究分野の特性等も踏まえつつ、実効性の高い研究倫理教育に関するプログラムとするために支援を行い、内容の改善を図ることとしています。
 研究機関においては、これらの内容や既に研究機関において先行的に実施しているプログラムを参考に、機関の実情に合ったプログラムを選定し、研究倫理教育を実施していただきたいと考えています。

Q2-9
 研究倫理教育に関する標準的なプログラムや教材は英語版も提供されますか。

A2-9
 日本学術会議と日本学術振興会が作成するプログラムについては、平成26年度中に英語版も公表する予定です。

Q2-10
 各研究機関は、教員・研究者、大学院生、学部学生等の各々の者に具体的にどのような研究倫理教育を行えば、最低限ガイドラインを踏まえた取組であると判断されるのか、その判断基準を示していただけませんか。

A2-10
 ガイドライン上、広く研究活動に関わる者を対象に研究倫理教育を行うことを求めております。特に、研究機関に所属する研究者に対しては、文部科学省が日本学術会議と日本学術振興会と連携して作成する標準的な研究倫理教育プログラムと同等の研究倫理教育を実施していただく必要があります。学生に対する研究倫理教育の提供方法及び内容については、各大学の教育研究上の目的及び専攻分野の特性に応じて、前述の標準的な研究倫理教育プログラムや大学間が連携して作成した教育プログラム(例:CITI Japan)に準じた教育が行われることが望ましいと考えます。

Q2-11
 競争的資金等の配分に際し、研究倫理教育の受講の義務化が示されていますが、応募者等が受講すべきプログラムはどのように示されるのでしょうか。例えば、ある競争的資金等においてはCITI Japanのプログラムの受講を義務付け、別の競争的資金等においてはJSPS作成プログラムの受講を義務付けるといったような状況は、研究者の負担等の観点から避けていただきたいです。

A2-11
 配分機関が一義的に受講することが望ましいプログラムを示していた場合でも、別のプログラムを受講していた場合、内容的に同等であれば、そちらで代替が可能であるよう運用していくよう、調整していきたいと考えております。

Q2-12
 学生に対する研究倫理教育について、単位を与える講座でないとならないのでしょうか。

A2-12
 研究倫理教育の受講により単位を与えるか否かについては、専攻分野の特性に応じて、各機関において適切に判断いただき、研究者倫理に関する知識及び技術を身につけられるよう、教育課程内外を問わず、適切な機会を設けていくことが求められます。

Q2-13
 研究科や専攻を共同設置している場合、A大学院に所属している学生も、共同機関B大学院に配属されていることもありえますが、このような場合、学生に対する研究倫理教育の実施責任は、どの研究機関にあるのでしょうか。

A2-13
 当該学生に対する教育研究の指導責任がどのように機関間で責任分担されているかによると考えます。

(研究データの保存・開示)

Q2-14
 研究データの保存・開示について、各研究分野に応じて、保存対象や期間の具体的な例示を示していただきたいです。

A2-14
 御指摘のとおり、研究データの保存対象や期間については、一定の目安を示すことが必要であると考えていますが、具体的には、分野による部分が大きいため、現在日本学術会議に対し、分野ごとに保存期間や方法について一定の指針を示すよう、審議を依頼しました。回答については、ホームページで公表していますので、御参照ください。

Q2-15
 研究データの保存・開示等について、日本学術会議に対して、審議の依頼をされていると聞いておりますが、これらの検討結果はいつ頃、各研究機関に示していただけるのでしょうか。なお、各研究機関において新ガイドラインに対応した体制及び規程等の整備並びに実効的な取組の実施に関し、全学的な検討・決定、学内構成員に対する周知徹底を26年度中に行うためには、日本学術会議の検討結果を遅くとも本年中(12月末)までにはお示しいただく必要があると考えます。

A2-15
 文部科学省では、日本学術会議に対して、研究データの保存期間等について審議を依頼しました。回答については、ホームページで公表していますので、御参照ください。

Q2-16
 日本学術会議の審議結果を待って規程等を定めてもよろしいでしょうか。

A2-16
 日本学術会議の審議結果を待って規程の整備に当たっていただいても問題はありませんが、早急に対応いただき、研究不正を防止する体制を構築いただく必要はあります。

Q2-17
 平成27年4月1日までに体制整備ができなくともよいのでしょうか。

A2-17
 平成27年3月31日までを「集中改革期間」としており、その期間内において、各機関においては、本ガイドラインが求める規程の整備等を随時行っていただきたいと考えております。なお、平成27年度においては、施行初年度ということを勘案し、体制整備等の履行状況調査は夏以降の実施を予定しております。

Q2-18
 実験試料の保存に関して保存スペースやコストのためのやむ得ない廃棄を容認すべきではないですか。

A2-18
 各研究機関においては、日本学術会議の検討結果等も踏まえ、不正行為の疑いがある事案が発覚した際に客観的で検証可能なデータを提示できるということを原則に、部局等の実情を踏まえ、研究データの保存の対象を適切に判断していただきたいと考えております。

Q2-19
 「研究機関において、研究者に対して一定期間研究データを保存し、必要な場合に開示することを義務付ける旨の規程を設け、」とありますが、「必要な場合に開示する」とはどのような場合を想定していますか。

A2-19
 研究者に不正行為の疑惑が生じ、予備調査の段階や、本調査の段階において調査機関や調査委員会に対して研究データを開示することを想定しております。なお、研究機関以外の機関において調査がなされる場合、研究機関が調査を実施する機関に研究データを開示することなども含みます。

Q2-20
 平成26年度以前に作成した研究データについて、平成27年4月時点で既に廃棄されていた場合は、やむを得ないということでよいでしょうか。また、今後平成26年度以前の研究データの義務づけはなされないということでよいでしょうか。

A2-20
 ガイドライン上、平成26年度以前の研究データの義務づけはなされておりません。しかしながら、故意による研究データの破棄や不適切な管理による紛失は、責任ある研究行為とはいえず、また、不正行為の疑いを受けた場合に自己防衛ができなくなるため、望ましいものではありません。なお、平成18年ガイドラインから、不正行為の疑惑への説明責任は研究者に課されており、データの不存在により証拠を示せない場合は不正行為と認定されることがあります。

Q2-21
 研究データの保存等に関し、各研究機関は、研究者に対して「義務」を課するだけでよく、個々の研究者が具体的にどのような研究データを所持しているかについてまで研究機関が把握しておく必要はないということでよろしいでしょうか。

A2-21
 ガイドライン上では、各研究機関は、研究者に対して一定期間研究データを保存し、必要な場合に開示することを義務づける旨の規定を設け、その適切かつ実効的な運用を図ることが求められております。必ずしも、個々の研究者がどのような研究データを保存しているか、研究機関がすべてを把握する必要はございませんが、例えば、部局単位で所属長などが、実験データの作成・管理が適切に行われているか適宜確認するなど、その実効性を担保していく必要はございます。

Q2-22
 研究者の異動(A大学→B大学)があった場合、当該研究者がA大学在籍時に取得した研究データの保存等に関しては、B大学の義務規程との関係はどのようになるのでしょうか(B大学の義務規定が適用されるとすれば、例えば、A大学の保存期間の方がB大学の保存期間より短い場合に、A大学の義務規程には反しないがB大学の義務規定に反するようなケースが生じる)。

A2-22
 ガイドライン上、告発に係る研究活動を行っていたときに所属していた研究機関が定める保存期間を超えていたため、研究データが不存在である場合には、調査機関による不正行為か否かの認定において不利益に扱われないこととされております。なお、各機関間に大きく差違が出ないよう、日本学術会議に対して、研究データの保存期間等について審議を依頼しました。回答については、ホームページで公表していますので、御参照ください。

Q2-23
 研究者が退職し、その後どの機関にも所属しない場合は、研究データの取扱いはどうなるのでしょうか。

A2-23
 研究データの保存に関しては、当該データが作成された時点で所属する研究機関の規程にのっとり、適切に保存していただく必要があります。そのため、仮に当該研究機関の規程でデータ保存期限が5年に設定されていたが、3年目に退職し、4年目の時点でデータが紛失されていた場合は、その不存在により不正行為の疑いを覆すことができない場合、不正行為と認定され得ます。

<第3節>

(対象とする研究活動)

Q3-1
 ガイドラインの適用対象は、文部科学省に関連する研究活動に限定されるのですか。

A3-1
 本ガイドラインで対象とする研究活動は、文部科学省の予算の配分又は措置により行われる全ての研究活動に限定していますが、各研究機関においては、他府省又は企業からの受託研究等による研究活動など研究費のいかんを問わず、あらゆる研究活動の不正行為への対応に関するルールづくりを行うことが望まれます。

Q3-2
 対象研究機関について、競争的資金を受けていない研究機関(私学助成等の基盤的経費のみを受けている研究機関など)にまで拡大するとされているが、その趣旨を教えてください。

A3-2
 従来のガイドラインにおいては、競争的資金を活用した研究活動のみを対象としておりましたが、昨今、競争的資金のみならず、基盤的経費で行われた研究活動においても不正行為が認定される事案が発生していることに鑑み、今般のガイドラインの見直しにおいては、基盤的経費により行われる研究活動も対象としました。なお、基盤的経費は、特定の研究活動又は研究者ではなく、研究機関を対象に措置されるものであり、その裁量は研究機関に委ねられているため、基盤的経費により行われた研究活動における特定不正行為に関して、研究費の返還等に関する措置について、本ガイドラインでは一律に対応を定めておらず、研究機関において適切な対応が求められます。

Q3-3
 本ガイドラインの研究者に学生は含まれますか。

A3-3
 原則学生は、研究者には含まれませんが、学生であっても、競争的資金等を受給するなど、文部科学省の予算の配分又は措置により研究活動を行っている場合には、本ガイドラインの対象とする研究者とみなされ得ます。

Q3-4
 学位論文における不正行為は本ガイドラインの対象ですか。

A3-4
 本ガイドラインは、研究活動における不正行為への対応等を定めたものであるため、大学院の教育の一環として作成される学位論文における不正行為は、本ガイドラインの対象とはなりません。ただし、例えば学位論文のもととなった論文や学位論文を基礎として作成された論文など学位論文そのものではない関連する論文が、雑誌等により公表されたケースにおいては、その限りではありません。

(定義)

Q3-5
 不正行為の定義が、生命科学などの実験科学にのみに当てはまるものになっており不適切ではないでしょうか。

A3-5
 定義については、日本学術会議「科学者の行動規範-改訂版-」(平成25年1月25日)においても、ねつ造、改ざん、盗用などとされており、実験科学のみで通用しているものというわけではありません。また、具体的にどのような行為が不正行為に当たるかという点で専門分野によって異なる部分については、当該事案の調査において、当該分野の有識者をいれた委員会において検討されるべき問題であります。

Q3-6
 各節で「研究活動における不正行為」の定義が異なっていますが、どのような違いがあるのですか。

A3-6
 第1節及び第2節においては、広く研究者倫理に反する行為も含め、研究活動における不正行為としています。特に、第2節においては、これら不正行為の事前防止のための取組として、研究機関等に対して、研究倫理教育の実施や研究データの保存・開示に係る規定の整備を義務づけています。なお、二重投稿やオーサーシップの在り方については、各研究分野において取扱いが異なることから、日本学術会議において、不正行為の範囲について、審議を依頼しました。回答については、ホームページで公表しておりますので、御参照ください。
 第3節及び第4節においては、上記のうち、「ねつ造、改ざん及び盗用」を「特定不正行為」と定義し、本ガイドラインに基づき、告発や調査の対象となり得る不正行為であり、特定不正行為と認定された場合には、研究者や研究機関に対して競争的資金等の返還などの措置が講じられる対象としています。

Q3-7
 「研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務」の具体的な定義を示してください。

A3-7
 「研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務」については、分野に応じた具体的な検討が必要であるため、日本学術会議に対し、分野に応じた具体的な指針を示すよう、審議を依頼しました。回答については、ホームページに公表していますので、御参照ください。

Q3-8
 注意義務を著しく怠った場合とは、いわゆる重過失の場合ということでしょうか。

A3-8
 御指摘の通り、いわゆる重過失の場合を指しますが、本ガイドラインでは、主観ではなく、行為義務に反するものであったかという客観的な点を判断するものとの解釈を加えるため、「注意義務を著しく怠った場合」と明示しております。

Q3-9
 研究活動における不正行為は、「公表前」の研究成果に関する行為も含まれうるのでしょうか。

A3-9
 本ガイドラインの対象となる特定不正行為は、投稿論文など発表された研究成果に関する行為に限ります。投稿論文については、論文が掲載された時点を発表とみなします。したがって、論文を投稿したものの出版社によって掲載を拒否された研究成果など、公表されていないものについては、本ガイドラインの対象外となります。

Q3-10
 投稿論文の場合、論文が掲載された時点で「発表」とみなすのか、それとも論文を投稿した時点で「発表」とみなすのか御教示ください。

A3-10
 投稿論文については、論文が掲載された時点を発表とみなします。したがって、論文を投稿したものの出版社によって掲載を拒否された研究成果など、公表されていないものについては、本ガイドラインの対象外となります。

Q3-11
 「投稿論文など」とあるが、この「など」にはディスカッションペーパーや口頭発表も含まれるのか、具体的に想定されるものを御教示ください。

A3-11
 研究成果の発表とは、研究活動によって得られた成果を、客観的で検証可能なデータ・資料を提示しつつ、科学コミュニティに向かって公開し、その内容について吟味・批判を受けることを指します。具体的には、投稿論文の他、ディスカッションペーパーや学会等においてデータや資料を提示して行う口頭発表も含まれます。

Q3-12
 インターネットでのディスカッションは、研究成果の発表に当たるのでしょうか。

A3-12
 インターネット上でのディスカッションも、「研究活動によって得られた成果を、客観的で検証可能なデータ・資料を提示しつつ、科学コミュニティに向かって公開している」場合であれば、研究成果の発表に当たります。

(告発)

Q3-13
 「書面による告発など、受付窓口が受け付けたか否かを告発者が知り得ない方法による告発が行われた場合は、研究・配分機関は告発者に告発を受け付けたことを通知する。」とは書かれているが、書面による告発などを受け付けない場合、告発として受け付けない旨を告発者に通知する必要がありますか。

A3-13
 本ガイドラインにおいては、書面による告発を告発として受け付けないと判断した場合の通知を行うことを求めておりません。なお、告発として受け付けるか否かについては、できるだけ速やかに判断し、告発者から別途の問合せがあった場合に、告発として受け付けない理由等について適切に回答できるようにしておくことが望ましいです。

Q3-14
 告発・相談窓口を外部に設けることも可能とされておりますが、例としてはどのような機関がありますか。

A3-14
 例としては、外部の弁護士事務所を告発・相談窓口としている事例が現在でもございます。

Q3-15
 匿名の告発を認めると、告発が続発し、不正の疑いのみで調査が行われることになり、研究活動が阻害されるのではないでしょうか。

A3-15
 匿名の告発については、従前のガイドラインにおいても、告発の内容に応じ、顕名に準じた取扱いができることとしており、本ガイドラインにおいても、その方針を踏襲しています。したがって、匿名の告発であっても、顕名の告発と同様に事案の内容が明示され、かつ不正とする科学的な合理性のある理由が示されているもののみを受け付けることになりますので、匿名の告発を認めることが直ちに研究活動の阻害につながるものではないと考えます。

Q3-16
 インターネットでの指摘に対しては必ず対応しなければならないのでしょうか。インターネットでの指摘の取扱いを研究機関の規定として整備していない場合に、文部科学省からは指導はなされないということでよいでしょうか。

A3-16
 今回のガイドラインの見直しに当たり、昨今のインターネット環境整備の進展に対応し、また、実際に指摘がなされる事例も発生したため、インターネット上の指摘も告発があった場合に準じた取扱いをすることができるとしたところです。研究機関が組織を挙げて不正行為への対応を行うことを求める本ガイドラインの趣旨を踏まえ、各研究機関においては、規程として整備するなど適切な対応が望まれますが、一義的には各機関の判断において策定された規程が尊重されます。

(調査)

Q3-17
 特定不正行為の告発に係る事案の調査は、被告発者の所属する機関ではなく、国に直轄する独立した調査機関を新たに設置して実施すべきではないでしょうか。

A3-17
 本ガイドラインでは、研究機関を挙げて研究活動における不正行為を防止することを基本的な考え方としており、一義的には特定不正行為の疑いがあるものに対しては当該研究機関が調査を行うことを求めています。その上で、本ガイドラインにおいて調査の手続きを示し、調査委員会には半数以上の外部有識者をいれることとし、調査の公正性を担保しております。

Q3-18
 ある研究者が、雇用関係を結んでいるA研究機関とは異なるB研究機関において客員研究員として委嘱され、B研究機関の施設・設備を専ら使用して行った研究活動に係る告発があった場合、「所属する研究機関」とは、A研究機関かB研究機関のどちらになるでしょうか。

A3-18
 「所属する研究機関」とは、雇用関係を結んでいるA研究機関となります。なお、被告発者が現に所属している研究機関とは異なる研究機関で行った研究活動に係る告発があった場合の調査については、現に所属する研究機関と当該研究活動が行われた研究機関とが合同で、告発された事案の調査を行うこととしており、この場合も、A研究機関とB研究機関が合同で調査を行うことが想定されます。

Q3-19
 名誉教授や客員教授のような雇用関係のない者について、特定不正行為の疑惑が告発された場合には、研究機関として対応をする必要があるのでしょうか。また、日本学術振興会特別研究員の場合はどうでしょうか。

A3-19
 ガイドライン上では、研究機関に所属する(どの研究機関にも所属していないが専ら特定の研究機関の施設・設備を使用して研究する場合を含む)研究者に係る告発があった場合は、当該研究機関が調査を行うこととしておりますので、名誉教授や客員教授が専ら当該研究機関において、研究活動を行っていた場合については、当該者に対する特定不正行為の疑惑に関する告発は当該研究機関で調査いただくこととなります。
 また、日本学術振興会特別研究員についても、当該者が専ら研究活動を行う受入れ研究機関が調査を行うこととなります。

Q3-20
 研究活動における不正行為に「時効」は存在するのでしょうか。

A3-20
 刑法における犯罪行為のような「時効」は一律に定められておりませんが、特定不正行為の疑惑に対する調査は、予備調査の段階で、データの保存期間等を考慮して、本調査を実施するか判断がなされるため、保存期間を大幅に超えている場合などにおいては、調査が不可能となり、特定不正行為の認定ができない場合が発生すると考えております。

Q3-21
 外部有識者として許容される範囲について御教示ください。また、第3節3-1(1)に定める「受付窓口」を外部の機関に業務委託した場合、当該機関に所属する者を外部有識者に含めてもよろしいでしょうか。

A3-21
 調査機関と雇用関係にあるか否かという点が判断基準になると考えております。したがって、調査機関と雇用関係のない監事や顧問弁護士については、外部有識者として調査委員会の委員とすることは可能です。また、受付窓口の受託機関に所属する者についても、外部有識者に含めても構いません。なお、全ての委員に求められることですが、告発者及び被告発者と直接の利害関係を有してはなりません。

Q3-22
 調査期間の目安について、例えば、他機関と合同の調査を行う場合を一機関で調査を行う場合に比べ長く期間を設定することは可能でしょうか。

A3-22
 ガイドラインで示す日数について参考にしていただきつつ、合理的な理由に基づき、各機関の判断により別の期限を定めた場合、その判断が尊重されることとなります。

Q3-23
 調査委員の利害関係者の範囲を教えてください。

A3-23
 調査委員の利害関係者の範囲については、次に掲げるものに該当する者を想定しています。
(1)親族関係若しくはそれと同等の親密な個人的関係
(2)緊密な共同研究を行う関係(例えば、「共同プロジェクトの遂行、共著研究論文の執筆、同一目的の研究会への参加」を通じて緊密な関係にある者)
(3)同一講座(研究室)において同一の研究を行う所属関係
(4)密接な師弟関係
(5)調査に参加することにより公正性が失われるとみなされるおそれのある対立的な関係若しくは競争的関係
(6)(1)~(5)のほか、調査委員が自ら強い利害関係を有すると判断する関係

Q3-24
 調査委員会の外部有識者半数という要件は厳しすぎると思いますが、文部科学省の支援はあるのでしょうか。

A3-24
 調査委員会の公正性を担保するため、外部有識者を半数にするという要件を設けております。
文部科学省としては、日本学術会議や配分機関と連携し、専門家の選定や派遣を行うなど調査を適切かつ円滑に進めるために必要な支援を行います。

Q3-25
 調査委員の氏名は事前、事後ともに非公表でよいのではないでしょうか。

A3-25
 利害関係者の有無を判断し、調査の公正性を担保するために、告発者、被告発者に対して調査開始以前に氏名を通知することとしております。
また、事後については、各研究機関において調査委員の氏名も含め調査結果の公表の範囲を定めていただくこととなります。

Q3-26
 調査委員会立ち上げ後に、同じ論文又は共通の著者に、新たに疑惑が生じた際、どのように調査を進めればよろしいでしょうか。

A3-26
 新たな疑義が生じた時期など事案に応じて対応が異なると考えますが、同じ論文又は共通の著者に関する調査であれば同時に進めることが望ましいと考えます。

Q3-27
 調査に当たっての配分機関の役割を教えてください。

A3-27
 本ガイドラインでは、研究機関を挙げて不正行為を防止することを基本的な考え方としており、一義的には特定不正行為の疑いがあるものに対しては当該研究機関が調査を行うことを求めています。一方、配分機関においては、研究機関による調査の実施が極めて困難であると判断した場合に調査を行うことになります。

(認定)

Q3-28
 特定不正行為と認定された研究活動に係る論文等の各著者の当該論文等及び当該研究活動における役割や責任を認定する場合、調査機関に所属しない著者に対して、調査機関が認定することができますか。

A3-28
 著者が当該研究活動を行った時期に調査機関に所属していたが、現在、他の研究機関に所属している場合は、調査機関が役割や責任を認定することはできると考えます。また、そもそも著者が調査機関に所属していない場合は、調査機関は、必要に応じて著者の所属する研究機関と合同で調査を行い、責任を認定することが望ましいと考えます。

(調査結果の公表)

Q3-29
 「管理・監査のガイドライン」のガイドラインでは原則氏名等について公表としているにも関わらず、本ガイドラインでは、「公表する調査結果の内容〈項目等〉は調査機関が定める」としている理由は何なのでしょうか。

A3-29
 本ガイドラインでは組織の管理責任を明確化する観点等に鑑み、調査結果についてどこまで公表すべきかという点は各調査機関で判断すべき事項として整理しております。ただし、「管理・監査のガイドライン」で示されている事項については、合理的事由がなければ、本ガイドラインに基づき公表すべき事項の一案であると考えます。

<第4節>

(特定不正行為に対する研究者への措置)

Q4-1
 特定不正行為と認定された者に対する配分機関等の措置の決定は、どのように行われますか。

A4-1
 配分機関等は、特定不正行為に係る競争的資金等の返還、競争的資金等への申請及び参加資格の制限を決定するため、あらかじめ特定不正行為と認定された研究に係る研究分野の研究方法や、特定不正行為について的確な判断を下すために必要な知見を持ち、被認定者や当該特定不正行為に係る研究に直接の利害関係を有しない有識者で構成される措置を検討する委員会を設置し、調査機関から特定不正行為を認定した調査結果が提出され、それを確認した場合は、当該委員会に検討を依頼し、その検討結果を踏まえ措置を決定することとなります。

Q4-2
 基盤的経費の措置による研究活動における特定不正行為に関し、研究費の返還に関する取扱いは各機関の判断とされておりますが、どのような趣旨でしょうか。

A4-2
 基盤的経費は、特定の研究活動又は研究者ではなく、研究機関を対象に措置されるものであり、その裁量は研究機関に委ねられております。ですので、各機関が規程に基づき、不正行為を行った研究者へ返還命令を行い、また、各機関の判断に基づき、例えば配分機関への返還など適切な対応を行っていただくことが求められます。

(管理条件の付与)

Q4-3
 「管理条件」として、どのような条件が考えられますか。

A4-3
 管理条件は、機関の体制整備等の状況について調査した結果、ガイドラインが求める事項を実施するための規程等が整備されていない場合、また、規程等は整備されているが、それに基づき実施されていない場合に、個別に改善事項とその履行期限を示して付与するものです。

Q4-4
 「管理条件」の履行期限については、改善事項と研究機関の事情等を勘案すべきではないですか。

A4-4
 管理条件が付与された場合の履行期限は1年となります。履行期限到来後にフォローアップ調査を実施し、管理条件の履行が認められない場合は、翌年度以降の間接経費措置額を一定割合削減します。
 なお、管理条件や間接経費の削減措置を講じるに当たっては、不備の内容等を踏まえた慎重な検討が必要であると考えています。そのため、措置の検討に当たり、有識者による検討を踏まえることとしています。

(間接経費の削減)

Q4-5
 「間接経費の削減」と「配分の停止」措置について、不正行為に無関係な部局や研究者も影響を受けることになり、適切な措置でないと考えます。この措置を定めたのはどうしてですか。

A4-5
 今回のガイドラインにおいては、従来、研究者個人に委ねられていた研究不正への対応について、研究機関も責任を持って不正行為を事前に防止するための体制を整備することを求めています。

Q4-6
 間接経費の削減や配分の停止は、競争的資金に限られますか。管理条件を付しても、競争的資金を受けていない機関にはそれ以上の措置は講じないのですか。

A4-6
 間接経費の削減や配分の停止の対象となるのは、間接経費が措置されている競争的資金のみです。なお、競争的資金以外の公募型の研究資金について、配分機関等において別ルールが定められている場合は、それに従ってください。

Q4-7
 管理条件の履行が認められない場合、当該研究機関全体に対する競争的資金の間接経費措置額を削減するのか。例えば、当該機関の一定の部局で管理条件が履行されていない場合、当該条件が履行されている他の部局も当該競争的資金の間接経費措置額の削減の対象になるのか。

A4-7
 組織としての責任体制の確保を求めるものであるため、一部の部局で管理条件の履行がなされていない場合であっても、研究機関全体に対する措置となります。

<第5節>

(履行状況調査)

Q5-1
 履行状況調査の予定時期及び予定機関数を教えてください。

A5-1
 履行状況調査の実施方針等については、毎年度定めることとしております。対象機関の選定に当たっては、不正行為の事案が確認された機関のほか、競争的資金の受給状況等を基に、一定数を抽出して実施することを考えています。実施時期については、調査対象となった機関の準備期間等を考慮して適切に定める予定です。なお、平成27年度においては、施行初年度ということを勘案し、夏以降の実施を予定しております。

Q5-2
 履行状況調査では何を確認するのか教えてください。

A5-2
 履行状況調査では、ガイドラインの第2節の不正行為の事前防止のための取組や第3節の研究活動における特定不正行為への対応のための規定・体制の整備の状況について、ガイドライン上求められている事項のすべてについての実施状況が調査対象となります。

Q5-3
 研究倫理教育に係る体制や実施状況について、履行状況調査では具体的に何を確認するのか教えてください。

A5-3
 具体的な確認事項については、今後、外部有識者からなる委員会において、履行状況調査に係る指針を定めて対応することとなりますが、「研究倫理教育責任者」が設置されていることや、研究機関に所属する研究者に対して、文部科学省が日本学術会議と学術振興会と連携して作成する標準的な倫理教育プログラムと同等の研究倫理教育がなされていることなどを確認することが想定されます。

Q5-4
 研究倫理教育は、履行状況調査の時点で実施をしていなければならないのでしょうか。

A5-4
 具体的な基準については、今後、外部有識者からなる委員会において、履行状況調査に係る指針を定めて対応することとなりますが、必ずしも履行状況調査の段階で実施済みでなくとも、その後研究倫理教育が実施される計画を確認することができるのであれば、すぐに管理条件を付与することにはならないと考えております。

Q5-5
 「管理条件の付与」等の措置を講じるに当たっては、その妥当性等について慎重な検討が必要であると考えますが、この点についてどのように考えていますか。

A5-5
 措置を講じるに当たっては、不備の内容等を踏まえた慎重な検討が必要であると考えます。そのため、措置の検討に当たり、有識者による検討を踏まえること、機関に対して弁明の機会を付与することとしています。

<その他>

Q6-1
 新たなガイドラインの内容について外国人研究者や留学生に説明するためには、ガイドラインの英訳版が必要だと考えますが、文部科学省として英訳版を作成する予定はありますか。

A6-1
 現在、ガイドラインの英訳版を作成しておりますので、準備が整い次第、公表してまいりたいと考えております。

Q6-2
 不正行為の事前防止のために研究機関において論文類似度検索ツールなどを導入する取組について、今後、文部科学省として支援する考えはありますか。

A6-2
 本ガイドラインにおいては、不正行為の事前防止のための取組として、研究機関に対して研究倫理教育の実施を求めております。このため、文部科学省としては、研究倫理教育に関する標準的なプログラムや教材の作成を推進する予定です。その他の取組については、各研究機関において自主的に対応していただくものと考えております。

<日本学術会議の回答「科学研究における健全性の向上について」>

Q7-1
 回答はどのような取扱いになりますか。回答を踏まえ、ガイドラインを改定する予定はありますか。

A7-1
 回答は、ガイドラインを運用するための参考となる指針と考えており、各機関においては、回答の趣旨を踏まえ、各機関の実情に合った規程等を策定し、実行いただきたいと考えております。回答を踏まえたガイドラインの改定は予定していません。

Q7-2
 研究機関において定めた研究データの保存・開示等に関する規程等が、日本学術会議の示す回答の内容と異なっている場合、研究機関の規程を再度改正する必要があるのでしょうか。

A7-2
 一義的には、各機関の実情に合わせて規程等を整備いただくことになりますが、規程等が回答の内容と大きく異なり、不正行為の疑惑が生じた際に検証可能にするという規程の趣旨を踏まえたものでない場合は、管理条件の対象として改善を求めることがあり得ます。

Q7-3
 日本学術会議が示す回答では、試料(実験試料、標本)や装置など「もの」については、保存期間を原則5年としていますが、試料と装置は、ガイドラインで保存が義務付けている研究データに含まれますか。また、含まれる場合、保存の対象は、それぞれが研究成果となっているもののみと理解してよいでしょうか。

A7-3
 試料(実験試料、標本)や装置はガイドラインで保存を義務付けている研究データに含まれます。
また、保存の対象については、研究データの保存の目的と保存のためのコスト、スペース等を考慮し、各機関で適切に判断いただきたいと考えます。

Q7-4
 研究機関において定めた規程の内容が、日本学術会議の示すモデル規程の内容と異なっている場合、研究機関の規程を再度改正する必要があるのでしょうか。

A7-4
 モデル規程については、あくまでもモデルであり、改正するか否かは、一義的には各機関の判断によると考えます。

Q7-5
 日本学術会議の示すモデル規程では、ガイドラインで定めていない研究倫理委員会の設置が記載されているが、必ず設置する必要がありますか。

A7-5
 ガイドラインで定めていない研究倫理委員会の設置を記載するか否かは、一義的には各機関の判断によると考えます。

Q7-6
 回答の内容についても、履行状況調査や管理条件の対象となりますか。

A7-6
 履行状況調査の調査内容等については、今後、外部有識者からなる委員会において決定する予定ですが、研究データの保存期間や方法については、調査対象になり得ると考えます。

お問合せ先

科学技術・学術政策局研究環境課

研究公正推進室
電話番号:03-6734-3874
メールアドレス:jinken@mext.go.jp

(科学技術・学術政策局研究環境課研究公正推進室)