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特定非営利活動法人 古材文化の会

建物がなくなったら文化は消える

所在地…〒605-0981 京都府京都市東山区本町17-354
TEL…075-532-2103 FAX…075-551-9811
URL…http://www.kozai.or.jp/ E-Mail…kozaibunka@ybb.ne.jp

京都府京都市

1 団体の概要

代表者名…永井規男
設立年月…1994年9月 認証日…2001年4月4日
有給スタッフ数…常勤/2名、非常勤/0名
事業規模(09年度決算収入)…29,602,873円
(内訳:事業収入17,679,419円、会費収入2,050,000円、補助金・助成金8,800,000円、寄付金・雑収入1,073,454円)

活動の目的・趣旨

この法人は、次に掲げる事項を目的とする。
1.古建築及び古材の保存と活用を促進する。
2.伝統的木造建築文化と建築技能の継承と発展を図る。
3.資源と共存する持続可能な社会の実現を目指す。

団体の設立経緯

 1980年頃、「取り壊される木造建築の材料をストックして文化財の補修や町家の再生などに有効に活かす古材再利用センターが設置できないか」と京都府文化財保護課などで話題になっていた。その後、日本の住宅の多くが建設しては壊すスクラップ・アンド・ビルド方式であることに危機感を持った永井規男会長などが、1992~93年度、京都府林務課の「木質廃棄物再資源利用促進体制整備事業」の「古材リサイクル検討部会」で古材リサイクルのあり方について検討を重ねた。終了後の1994年9月、部会員を中心に全国組織「古材バンクの会」を結成し、古材の情報バンク、優れた木造建築の普及啓発、伝統的木造建築物の再生や再利用の促進などの活動を進めた。2001年4月にNPO法人化を行い、2005年3月に組織名称を「古材文化の会」に改めた。

主な活動内容

1.民家の再生、改修相談に対応する「利用相談部会」
2.木造建築文化の啓発イベントを開催する「企画部会」
3.伝統的木造建築の調査等を行う「調査部会」
4.人材育成活動
  • 京都市文化財マネージャー育成講座(建造物)
  • 伝統建築保存・活用マネージャー上級講座の開催
5.通信「古材文化」(隔月)の発行

2 主な教育関連事業の紹介

事業名称 人材育成活動

1.京都市文化財マネージャー育成講座(建造物)

 2005年より古材文化の会が4年間行った、「伝統建築保存・活用マネージャー養成講座」を受け継ぎ、2009年から京都市、財団法人京都市景観・まちづくりセンター、古材文化の会の3者で構成する「京都市文化財マネージャー育成実行委員会」(永井規男委員長)の主催により、「京都市文化財マネージャー育成講座(建造物)」を開催。古材文化の会は事務局を担っている。
 「京都市文化財マネージャー育成講座(建造物)」は、歴史的建造物の保存と、それを生かしたまちづくりについて、講義と演習の2部で構成され、最後に班ごとに修了レポートをまとめることで総合的・実践的に学んでいる。受講生は工務店、設計士、瓦屋など建築関係を中心に、古民家に関心のある主婦、学生など一般市民まで幅広く参加している。京都府以外からの参加者も多い。

京都市文化財マネージャー育成講座での文化財修理見学
京都市文化財マネージャー育成講座での文化財修理見学 

●文化財たる歴史的建造物の保護

 本講座の特色として、文化財である歴史的建造物を保存すること、文化財の保護・活用を少数の専門家に任せるのではなく、市民を巻き込み、地域で保存する立場に立つことが挙げられる。
 「ひと昔前までは文化財は少数の特別な専門家が関わるものであったが、身近な歴史的建造物が文化財として意識されはじめている。確かな方法と意識の高い建築家や市民を育てることで、文化財の保存を地域ぐるみで図りたい」と事務局長の白石氏は話す。

●グループワークを活かした相互学習

 「京都市文化財マネージャー育成講座(建造物)」の講義科目では、大学教授に加え、建築関係者などの実務家、講座の卒業生が、建造物の調査と建造物の歴史的背景、建造物を取り巻く環境などについて指導している。
 演習科目では、5人1組のグループで指定文化財修理の見学や、登録文化財調査を行うことにより、幅広い受講生の属性や背景を活かした学びの機会を提供している。また、設計士は図面を描き、設計を担当できない人は建造物の所有者へのヒアリングや建造物周辺の環境を調べるなど、それぞれ得意な分野で活躍してもらうことに配慮している。

●講座終了後の活躍の場

 「京都市文化財マネージャー育成講座(建造物)」では、すべての科目の履修をもって講座修了が認められる。講座の卒業生のうち、希望者は京都市の「京都市文化財マネージャー(建造物)」及び古材文化の会の「伝統建築保存・活用マネージャー」に登録する。講座で学んだことを活かして、歴史的建造物の調査や保存・活用に向けた活動など、習得した実技を実践的な場で発揮することができる。例えば、直近では、15人の卒業生によるグループワークにより、奈良県北葛城郡の古民家を調査し、登録文化財として文化庁へ登録申請する援助を行った。

熱気にあふれる京都市文化財マネージャー育成講座
熱気にあふれる京都市文化財マネージャー育成講座

2.伝統建築保存・活用マネージャー上級講座

 会に登録された「伝統建築保存・活用マネージャー」のスキルアップと活動支援を目的として、2009年9月より三井物産株式会社環境基金の助成を受け、「伝統建築保存・活用マネージャー上級講座」を開催している。この講座では、「伝統建築保存・活用マネージャー」登録者を対象に、登録文化財の調査や伝統建築の保存・活用を自立的に遂行できる専門的な知識と能力を持った人材の養成を目指している。
 本講座は、1.登録文化財コース、2.保存・活用コースの2つのコースに分かれて専門性を養うものであり、自主研究が中心となる。この自主研究からは、登録文化財として申請されるという研究成果が出ている。

3 事業の成果と課題

伝統建築を守る意識に目覚める受講生

 講座受講者のうち、2005年から2010年までの間、98名が「京都市文化財マネージャー」、164名が「伝統建築保存・活用マネージャー」に登録している。講座を通じての感想として「歴史的建造物に触れることで、建物にこめられた人の想いや文化を多くの人々や未来につなげていきたい」「講座や実習を通じて、伝統建築の仕事のスキルアップにつながった」という声が寄せられている。講座を通じて「伝統建築の持つ価値に触れ、伝統建築を守る意識に目覚めた受講生が多いことは大変有り難い」と白石氏は語る。

共に学び講座を盛り立てるサポートチームの始動

 古材文化の会が事務局を担う「京都市文化財マネージャー育成講座(建造物)」の卒業生が主導する自発的な試みとして、同講座のサポートチーム、愛称「文サポ」が新たに始動し、講座を一緒に盛り立てている。チームに参加するサポーターは、様々な属性を持つ講座のOB・OGで構成されており、それぞれに熱い思いをもち、各人の経験や視点を活かしたアドバイスを行っている。
 「文サポ」は、主に講義や演習のお手伝いや受付といった補佐的役割を担うが、講座外では受講生専用のインターネットの掲示板を活用して、受講生の修了レポート等の相談に応じる。受講生と共に学び、成長し、次回の講座に反映していく良い循環をつないでいきたいとの思いが「文サポ」活動の原動力になっている。

新たな活動への広がり

 第1期「京都市文化財マネージャー育成講座(建造物)」講座での出会いをきっかけに、2009年に、京町家に住む20歳代の男女4人が、「まちぐらし」を楽しむライフスタイルを提案、情報発信することを目的とした、まちぐらし集団「CHOBO」を結成。
 歴史的建造物に対する若い世代の理解や愛着を深めるとともに、地域に根ざした活動を展開するなど、講座をきっかけに新たなまちづくり集団が生まれている。また、これらの卒業生の活躍や伝統建築保存・活用マネージャーの活動報告は、毎年実施される卒業生・現役生の懇親交流会の「活マネ祭り」を通じて、古材文化の会全体で共有されている。

自主事業の強化を図る

 団体設立初期は、歴史的建造物の保護や民家を再生することは先駆的な考え方であった。しかし、現在、新築着工数が伸び悩むなかで、町の工務店などにおいても再生建築・改修を中心に、建造物を保護する考え方が浸透している。こうした歴史的建造物に対する保護意識の高まりを受けて、木造建築のサポートを着実に実現する能力や事業的な能力を持ったNPO法人として会が脱皮できるかが今後の大きな課題である。

会員を増やし幅広い市民からの支援を得る

 現在の団体の収入構成は「京都市文化財マネージャー育成講座(建造物)」をはじめとする行政からの委託事業や、企業からの助成金を中心とした事業が多いが、自主事業として登録された木造建築をサポートする仕組みを独自に創設していきたい。また、古材文化の会の会員を増やし、委託事業や助成金に頼らずに活動を持続的に運営する基盤を構築していきたいと思っている。

4 今後の展望

木造建築サポートセンター(仮称)の設立

 自主事業の柱として、現在「木造建築サポートセンター(仮称)」の構築を検討している。住宅の平均寿命は米国が70年、イギリスが140年といわれるなか、日本の住宅は30年に留まる。さらに最近では耐震強度不足を理由とした解体や、世代交代・所有者の変更による木造住宅の解体が安易に行われている。適切な管理を行えば長い耐用年数を持つ木造建築の良さを活かし、支える仕組みである「木造建築サポートセンター(仮称)」を全国各地に創設することを会は検討している。

地域の方から歴史的建造物についてお話を伺う
地域の方から歴史的建造物についてお話を伺う

 「木造建築サポートセンター(仮称)」は、1.民家の再生、改修相談に対応する「利用相談部会」、2.木造建築文化の啓発イベントを開催する「企画部会」、3.伝統的木造建築の調査等を行う「調査部会」で培った知見やノウハウを結集し、木造建物の健康診断、メンテナンスや改修の相談、空き家の利用活用相談、登録文化財申請援助業務、民家・町家を活用した文化イベントの企画・運営などを行う。
 さらに、会では地域に残る歴史的建造物のデータベースとして、地図情報と一体となった建物データとデータ検索活用システムの構築を開始した。今後、システムを整備して所有者の同意を得ながら、各地のまちづくり団体とともに、地域に残る優れた歴史的建造物を積極的にデータとして記録し、保存・活用していきたい。これも「木造建築サポートセンター(仮称)」の基本業務となる。

(ヒアリング応対者:会長永井規男氏、事務局長白石秀知氏、事務局員吉岡真弓氏)

お問合せ先

生涯学習政策局生涯学習推進課民間教育事業振興室

(生涯学習政策局生涯学習推進課民間教育事業振興室)

-- 登録:平成24年03月 --