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特定非営利活動法人 浜松NPOネットワークセンター

個人の思いと課題解決の方法が集まり、多様な人が出会う場

所在地…〒431-8112 静岡県浜松市中区佐鳴台3-52-23
TEL…053-445-3717 FAX…053-445-3717
URL…http://www.n-pocket.jp E-Mail…info@n-pocket.jp

静岡県浜松市

1 団体の概要

代表者名…井ノ上美津恵
設立年月…1998年4月 認証日…2000年9月11日
有給スタッフ数…常勤/2名、非常勤/22名
事業規模(09年度決算収入)…54,643,923円
(内訳:会費386,600円、寄付金3,975,644円、助成金3,413,966円、事業収入44,861,336円、その他2,006,377円)

活動の目的・趣旨

 新しい市民社会の実現に寄与することを理念とし、浜松市及びその周辺地域における民間非営利組織の分野や地域を越えた活動基盤の強化と、それらと企業及び地方公共団体とのパートナーシップの確立を図り、もって不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とする。

団体の設立経緯

 1997年3月発足の「情報公開条例を市民の手に」連絡会をきっかけに市民社会創造を目指して何ができるかを話し合い、11月、浜松市鴨江町に「浜松地域活動ネットワークセンター」を開設。2000年9月にNPO法人格を取得し「浜松NPOネットワークセンター」(愛称:N-Pocket(エヌポケット))に変更。地域や分野を越えた市民の活動を支えるとともに、企業や行政とのパートナーシップづくりを進め、中間支援組織として新しい市民社会の実現を目指している。

主な活動内容

1.市民活動支援(中間支援組織活動とネットワーク)
2.自主事業による事業開発
  • 外国にルーツを持つ子どもと保護者のための進学ガイダンス
  • 多文化事業・中間支援事業
  • 安間川観察ウォークラリー
3.行政との協働事業(行政の委託事業)
  • ジョブコーチ派遣事業
  • バーチャル工房支援事業「ぽけっと工房」など

2 主な教育関連事業の紹介

事業名称 外国にルーツを持つ子どもと保護者のための進学ガイダンス

 浜松市には多くの外国人が暮らし、自動車産業をはじめ、楽器・オートバイ・繊維産業などの下請け企業の労働力となっている。公立の学校に通う外国籍の子どもが増え、日本語・母語・学習の不足などによる子どもたちの教育問題が表面化している。特に、外国籍の子どもは義務教育への就学義務はないために、不就学になる生徒が多い。
 そこで、教育現場の先生や、地域で子どもを支援する地域の支援者と連携・協力し、日本の教育制度の概要と進学の情報を多言語で提供する「外国にルーツを持つ子供と保護者のための進学ガイダンス」(以下、進学ガイダンス)をスタートした。

「全体説明会」と「個別相談」で構成

 進学ガイダンスは、2004年から年に1~2回の頻度で静岡県西部の学校やスーパーなどで開催しており、全体説明会と個別相談の2部構成になっている。
 全体説明会では、小学校から高等学校までの教員が、静岡県内の公立学校の外国人特別枠受け入れ状況や、外国籍の生徒の学校生活や進学状況、奨学金の情報などについて説明をする。また、日本社会で生活する身近な地域での先輩が“ロールモデル”として、日本と母国との教育制度の違いについてや、当事者しか分からない苦労や失敗談などについて話をする。そのなかでは、進学に関する情報だけでなく、例えば、入学式にはフォーマルな服で出席する、内申書に反映される部活動をおろそかにしないなど、学校での日常生活にも触れる。
 個別相談では、主に公立学校の先生で構成される教育相談員がブースを設け、外国籍の学生と保護者からの相談を受ける。例えば、外国人学校から途中で公立高校に入学するためにはどうしたらよいか、高校卒業の認定試験を受けるためにはどのような準備が必要か、といった相談が寄せられる。また、教育相談員は、個別の相談に具体的な助言を行うだけでなく、子どもが多様な選択肢があることを理解して頑張る意欲が生まれるように、心から励ましのエールを送る。

「進学ガイダンス」で先輩の体験談を聞く
「進学ガイダンス」で先輩の体験談を聞く 

7カ国語に対応できるスタッフ

 2010年度の参加者数は158名で、その内訳は児童生徒40名、保護者48名、見学者が15名、相談員・通訳などのボランティアスタッフ55名にのぼる。相談員はN-Pocketの中間支援機能を生かし、公立学校の現役の教員、学習支援のNPO、行政、会社員など幅広い層が参加する。また、通訳ボランティアとして、ポルトガル語、スペイン語、中国語など7カ国語に適応できるスタッフを配置している。
 本事業は、第2回目から浜松市教育委員会の共催と浜松市の後援を得て、教育委員会を経由し、7カ国語で進学ガイダンスの案内を配布している。学校とつながりのない子どもに対しても、公民館などを通じて情報提供を行っている。

事業名称 バーチャル工房支援事業「ぽけっと工房」

在宅で就業できる環境づくりの支援

 障害のある方がパソコンを使用した業務を在宅で行うことを支援する事業として、「ぽけっと工房」がある。
 「習得したパソコン技術を仕事で活かしたい」「在宅でできるパソコン業務で収入を得たい」など、障害のある方の声をもとに、当初は自主事業として立ち上げたものである。
 2006年より静岡県の委託を受け、在宅就業者と仕事を発注する企業等の間をN-Pocketが仲介し、在宅で就業する環境づくりの支援をしている。
 受注業務は、Webページ作成、ブログのカスタマイズ、データ入力、点訳、テープ起こしなどパソコンを使って在宅でできる仕事が主体となる。とりわけ情報のユニバーサルデザインに配慮し、視覚障害などにより、画面から情報を得ることが難しい人たちにも情報が伝わるWebページの作成などを当事者の立場で作成している。
 仕事は、発注元からN-Pocketが受注後、障害のある人を対象とした在宅就業者に仕事を依頼し、完成した商品をN-Pocket内で品質検査・管理を行い、発注元に納品する。
 2010年度の就業者数は18名で、これまでの受注実績は、Web作成(浜松市ホームページ、静岡県視覚障害者協会ホームページ)、データ入力など49件に及ぶ。発注先は静岡県、浜松市などの行政を中心に、NPO、大学、企業、任意団体など多岐にわたっている。

障害者ならではの視点でWebページをチェック
障害者ならではの視点でWebページをチェック 

プロジェクトチームで、互いに学ぶ環境づくり

 「ぽけっと工房」では、障害の程度を超えて互いに共感し、刺激あう仕組みづくりを行うために、5~6人でチームを組んでプロジェクトに携わる。作業を分担することで、チームワーク力を身につけ、技術レベルの高い人が知識を伝承するなど、相互に学びあう環境を提供している。障害のために就労経験を得ることが難しかった人が、仕事の基本動作をチームのなかから学びとることができる仕組みである。発注元たる顧客から仕事を受注し、報酬をもらうことでプロとして高い技術能力を身につけ、さらに磨きを掛けるような循環を意識している。

3 事業の成果と課題

参加者からの嬉しいフィードバック

 進学ガイダンスに参加した子どもからは、とても参考になり感謝している、生徒の経験談を聞いて一生懸命頑張ろうと思ったなどの声が寄せられており、進学ガイダンスが情報の届かない家庭の一助になったことを実感している。加えて、外国籍の子どもの私立中学校卒業後の高校進学率は2006年度の67.7%から77%に増加している(2010年7月、浜松市教育委員会調べ)。進学ガイダンスなどによる情報提供も、進学率の向上に影響していると考える。
 「ぽけっと工房」の在宅就労者は、仕事を通じて技術レベルの向上や他の障害者との交流、チームワーク、仕事に対するプロ意識など、報酬以上のものを得ることができる。「ぽけっと工房」は普段、情報を得る機会が限定される障害者にとって、自分を振り返り、社会を知るいいチャンスになっている。

個別相談で熱心に話を聞く親子
個別相談で熱心に話を聞く親子 

中間支援のネットワーク力を活かす

 毎年、外国人の子どものための進学・進路ガイダンスを全国で展開する主催者を集めた主催者交流会が実施されており、全国規模で外国にルーツを持つ子どもを取り巻く環境について議論を交わしている。N-Pocketも毎年交流会に参加し、多言語による進学に関する情報提供の必要性や、公立学校の受け入れ枠、選抜の方法、入学後のサポートなど制度的な保障についての課題について討議し、問題の解決に向けて、教育環境や制度の整備を求めた政策提言を行っている。
 また、これまでの経験を活かし、N-Pocketが発起人として、2011年1月から、県下で障害者を対象としたIT講座の講師やボランティアをしている人へ呼びかけ、情報交換会を行っている。
 情報交換会は、障害者がパソコンを使用するにあたってのセットアップ、障害特性に応じたソフトやその互換性、トラブルなどの対応策について、それぞれのノウハウや知見を持ち寄り、統一的な指導基準を作成することを目的としている。

行政の担当者を巻き込む

 N-Pocketが委託事業を始めるときは、必ず行政の担当者にも声をかけ、市民が強い思いを持って課題を克服するために行動している現場を実際に見てもらい、課題を解決するにあたってどのような施策が必要か判断してもらう機会を事業の初期段階で提供している。これにより、事業の継続性や広がりを担保すると考えている。
 進学ガイダンスについては、行政の担当者が会議に参加し、行政にその必要性が認知され、外国にルーツを持つ学生とその保護者を対象に、市も積極的に参加した形で開催されるようになった。
 他のN-Pocketの活動においても同様に、行政が活動の重要性を認識し行政の事業として展開した例は多い。

4 今後の展望

バランスのとれた中間支援機能を

 NPO法人には「運動体」と「事業体」の2つの要素がある。どちらかに傾くNPO法人が多いが、中間支援組織としてこの2つの要素のバランスをとり、今後も市民の声を政策に反映する活動を推進していきたい。
 また、NPO法施行から活動を続けた13年の間に、多文化共生の推進や教育関連のNPO法人など、社会資源として多様な活動が市民のなかに根づいている。行政もさることながら、市民にもこうした素晴らしい活動を知ってもうために、地道に現在の活動を継続していきたい。

情報発信力を強化する

 NPO法人が増えているが、例えば障害者福祉の分野ではサービスを提供するために法人格を取得した団体などもあり、市民社会を創造する価値観を共有できない状況もある。市民が政策に関わる仕組みづくりを行うためには、NPO自身が積極的に情報公開を行い、市民力を社会的に信頼のあるものとして認められるように活動を展開していく必要があると考える。
 現在N-Pocketでは、市民からより幅広い支援を得るために、積極的な情報開示を進め、認定NPO法人となることを検討している。

(ヒアリング応対者:代表理事井ノ上美津恵氏)

お問合せ先

生涯学習政策局生涯学習推進課民間教育事業振興室

(生涯学習政策局生涯学習推進課民間教育事業振興室)

-- 登録:平成24年03月 --