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特定非営利活動法人 ささえあい医療人権センターCOML(コムル)

患者と医療者が協働するコミュニケーションづくり

所在地…〒530-0047 大阪府大阪市北区西天満3-13-9 西天満パークビル4号館5F
TEL…06-6314-1652 FAX…06-6314-3696
URL…http://www.coml.gr.jp/ E-Mail…coml@coml.gr.jp

大阪府大阪市

1 団体の概要

代表者名…辻本好子
設立年月…1990年9月1日 認証日…2002年3月19日
有給スタッフ数…常勤/4名、非常勤/0名
事業規模(09年度決算収入)…46,468,306円
(内訳:事業収入33,642,309円、会費8,207,000円、その他4,618,997円)

活動の目的・趣旨

(1)医療を消費者の視点でとらえ、患者が自立して主体的に医療参加するよう、広く一般社会に呼びかけるための事業を行う。
(2)患者一人ひとりが「いのちの主人公」「からだの責任者」として自覚を持つよう、「賢い患者になりましょう」を合言葉として広く社会一般に呼びかけるための事業を行う。
(3)患者と医療者が対話を重ね、互いに気づき合い、歩み寄り、ささえあいながら、よりよいコミュニケーションづくりに関する事業を行う。
(4)その他、医療におけるさまざまな問題点について、社会への具体的な提案を行い、開かれたよりよい医療の実現に寄与する。

団体の設立経緯

 ささえあい医療人権センターCOML(COML=Consumer Organization for Medicine & Law=医療法の消費者組織)(以下、COML)は、「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指している。1990年9月、医療を消費者の目でとらえようと、市民が中心となって活動をスタートした。

主な活動内容

1.医療に関する相談:電話・手紙・FAX・パソコン通信による相談を受ける
2.医療者・患者に対するコミュニケーションに関するミニセミナーや講座など
  • ミニセミナー「患者塾」の開催
  • 患者と医療者のコミュニケーション講座
  • SP(模擬患者)の派遣
3.医療で活躍するボランティア養成講座
4.原稿執筆
5.会報誌「COML」の発行
6.講演・シンポジウムへの講師派遣

2 主な教育関連事業の紹介

事業名称 医療に関する電話相談

COMLの柱となる電話相談

 COMLは設立当初から電話相談を法人の柱の事業としている。これまでに対応した数は約49,000件で、電話相談で聞いた患者の声が、COMLの他の事業にも大きく反映している。普段から電話相談で患者の本音を聞いているので、医療者に対するメッセージの発信をしたり、患者にもCOMLの合言葉である「賢い患者になりましょう」という想いを伝えることができる。
 COMLでは相談スタッフが答えを出すのではなく、相談者の気持ちに寄り添いながら、相談者自身が答えを見つけるための問題整理の手伝いをしている。また、相談者が主体的に問題解決していけるような支援やアドバイス、情報提供を心掛けている。

メディアの影響が大きい相談内容

 COMLが電話相談を始めて20年以上が経過し、相談内容には大きな変化が見られる。その変化は社会の動き、特にマスメディアの動きに左右されている。一般人が医療制度や仕組みについて知ろうと思っても、誰にどう聞けばいいか分からないため、マスメディアの報道に頼るしかなくなってしまう。
 最近はインターネットで情報が山ほど得られるようになったが、誤った情報もあり、どれが必要な情報か分からなくなってきている。人々がメディアに翻弄されやすい傾向は電話相談の内容にも反映しており、このような状況がミニセミナー「患者塾」の開催へとつながっている。

事業名称 医療者・患者に対するコミュニケーション

1.ミニセミナー「患者塾」の開催

 「患者塾」は、毎月1回開催している。講義・講演形式をとらず、「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者・家族・医療者などの参加者がテーマに沿った話合いの中から、お互いに知恵を出し合い、「対話・気づき合い・歩み寄る」関係づくりを目指す場である。
 話題提供者の話の後、約10名のグループに分かれてディスカッションを行う。参加者は患者・家族はもちろん、医師や看護師、薬剤師などの医療者や学生まで様々である。参加する医療者は、患者のなまの声を聞くことで、医療者を目指した原点に立ち戻れると話す。質問も活発に行われ、特に、インターネットなどでは情報を得ることができない終末医療や医療費の内容のときに参加者が多い。

「患者塾」でのディスカッションの様子
「患者塾」でのディスカッションの様子 

2.患者と医療者のコミュニケーション講座

 より良い医療には、患者と医療者のコミュニケーションが必要である。そのためには患者も医療者も正しく情報を得るとともに、コミュニケーション能力を高め、良い人間関係を築くことが不可欠である。
 「患者と医療者のコミュニケーション講座」では、伝言ゲームやロールプレイ、ディスカッションなど、楽しみながらコミュニケーションについて習得する。日常のコミュニケーションを豊かにし、“応用編・上級編”でもある医療現場で、実力が発揮できることに気づいてもらうことを狙いとしている。

3.SP(模擬患者)の派遣

 SPとはSimulated Patient(模擬患者)の略であり、医学生・看護学生・研修医などの教育現場に派遣される。模擬患者は、症状を持った患者になりきって演じることはもちろん、性格・生活環境・生い立ちなどを設定に盛り込んで、医学生・研修医・看護学生などと模擬診察や模擬コミュニケーション場面のやりとりを行う。終了後、患者役として気づいたこと、感じたことを率直に相手役の医学生・研修医・看護学生に伝える(フィードバック)。
 COMLは市民グループとして日本で初めて模擬患者の派遣を始め、これまでの派遣回数は1,100回を超えている。医学部の医療面接試験にも模擬患者を派遣している。SPを通じて、医療従事者に患者一人ひとりが違う生活背景を持っていることを理解してもらい、コミュニケーション能力を高めてもらうことが狙いである。
 派遣する模擬患者は、COMLが養成した40名程度である。現在は他団体が模擬患者グループをつくる際の支援も行っている。

SP(模擬検診)の様子
SP(模擬検診)の様子

事業名称 医療で活躍するボランティア養成講座

 これまで医療者と患者の関係は、医療者が主導権をにぎり、患者はついていくという形が一般的であった。しかし、現代では「協働・コラボレーションの関係」と言われ、どちらが主導という時代ではなくなっている。そのため、医療現場において様々な形でのボランティアの参画が求められている。また、医療行政を含めた地域行政の現場に、一般の人々が関わることが必要となったが、一般の人がそのような場に参画して意見を言うには、医療に関する知識が必要である。
 そこで、これまでCOMLが培ってきた情報や知識、ノウハウを伝え、医療の中に参画していけるような成熟した人を少しでも増やしたいとの想いからボランティア養成講座を始めた。
 受講者は全国から参加してくる。全7回の講座では、関心のある回だけを選択することもできるが、7回全部に参加する熱心な受講者が多い。講座終了後にCOMLの活動に参加した人や、また自分の活動の場を探して地域や医療機関でボランティア活動を始めた人もおり、当初の目的の実現へとつながりつつある。

3 事業の成果と課題

地道な活動が信頼を生む

 電話相談や講座の参加者の増加など、COMLの活動がここまで広がったのは、設立以来、地道に活動を続けてきたからにほかならない。地道に活動を続けているからこそ、COMLを中心とするネットワークが広がり、参加者をはじめとするCOML支援者との信頼関係が芽生えている。また、支援者の要望にCOMLが精一杯返答することが新しい活動を生むきっかけになっている。
 医療という専門的な分野だけに専門家の信頼を得ることは難しいが、20年間の活動実績が信用につながってきた。20年間かけて築いてきた実績や信用を、今後さらに強固なものにしたい。

安定した収入の維持と人の確保

 COMLの財源は、補助金は一切ないし寄付金も少ない状況で、事業収入を柱としている。長引く不況の影響を受けてどの事業も減収傾向である。会員数も景気低迷のあおりに加え年齢的な理由などから退会者が増えており、電話相談に関しては1998年以来初めて年間2,000件を割り込んだ。安定した収入を維持し安定財源につなげるために、新しい事業の企画が必要とされている。
 また、職員数も十分であるとは言えない。これまでの20年間の活動から培ってきたノウハウや情報をより多くの方々に提供し、賢い患者を増やすためには、団体の資源とも言える「ヒト」の確保も課題である。

事務局長の山口育子氏
事務局長の山口育子氏 

4 今後の展望

看護や事務職員への研修も

 今後の安定した法人運営のためにどのように収入を得る努力をするのか真剣に考える必要が出てきている。好評であったボランティア養成講座を通して、病院の受付職員等、事務職員の研修へのニーズがあることが分かってきた。今後はこうした医療関係の事務職員に対して「患者対応研修セミナー」など、新たな研修を開催する予定である。
 医学部や歯学部等では、模擬患者を取り入れた医療面接試験が義務化されているが、一番患者と接する機会が多い看護の分野ではまだ義務化されていない。その理由は、教える人たちがいないからだという。今後は病院の教育担当や大学院生、大学教員を対象に模擬患者を使った集中勉強会などの事業も検討している。
 COMLが発足した当時は、医療に関する講演会はほとんどなかったため、参加者が多かったが、今は無料の講演会が多数開催されている。そのため、例年開催していたフォーラムは発展的解消として、中止した。このように、選択と集中の意識を持ちながらも時代に左右されることなく本当に大事なものは続け、賢い患者を増やし、患者と医療者の協働ができるような働きかけをしていきたいと考えている。

ニーズに合わせて他地域への展開も

 高齢化の時代を迎え、医療や介護は時代が変わっても永遠のテーマである。医療の専門家ではないが、患者に適切な情報を伝える団体の役割は貴重であり、結果としてCOMLは医療従事者も患者も集まる場へと成長した。
 高齢化が進み医療に携わる人が増えていく社会において、賢い患者を増やすことは必須であり、医療現場からのニーズはますます増えるであろう。実際に、電話相談の利用者は現在症状を持っている人、入院中の病院からかけてくる人、身内を亡くされた人など様々である。また、事務所が関西にありながら半数以上が関東圏からである。
 医療を含めた地域行政に、我々一人ひとりが参加を必要とされる時代となってきている。COMLは、医療の知識を持って冷静に行動できる人を、各地域で増やしていきたい。そのため、COMLの講座を大阪以外の地域で展開することを計画中である。COMLに集まる声を反映し続けることができるような、強い組織を目指していきたい。

(ヒアリング応対者:事務局長山口育子氏)

お問合せ先

生涯学習政策局生涯学習推進課民間教育事業振興室

(生涯学習政策局生涯学習推進課民間教育事業振興室)

-- 登録:平成24年03月 --