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特定非営利活動法人 フリースペースたまりば

誰もが生きている、ただそれだけで祝福される

所在地…〒213-0022 神奈川県川崎市高津区千年435-10
TEL…044-833-7562 FAX…044-833-7534
URL…http://www.tamariba.org/ E-Mail…freespace@tamariba.org

神奈川県川崎市

1 団体の概要

代表者名…西野博之
設立年月…1991年 認証日…2003年5月19日
有給スタッフ数…常勤/6名、非常勤/5名
事業規模(09年度決算収入)…36,870,655円
(内訳:会費3,820,000円、分担金(指定管理料)21,790,000円、委託金・助成金3,378,900円、寄付金4,036,106円、その他3,845,649円)

活動の目的・趣旨

 学校や家庭・地域の中に居場所を見出せない子どもや若者及びその保護者とともに、一人ひとりが安心して過ごせる居場所をつくり、学校外の多様な学びや育ち・生き方を支援し、自己肯定感を取り戻す人間関係を育む環境と文化を創造することを目的とする。

団体の設立経緯

 1991年、学校や家庭・地域の中に自分の「居場所」を見出せない子どもや若者たちが集まるフリースペースとして、川崎市高津区の多摩川のほとりで「フリースペースたまりば」をスタートする。2003年より、川崎市が子どもの権利条例の具現化を目指して同区内の津田山にオープンした「川崎市子ども夢パーク」に、市の委託により「フリースペースえん」を開設。2006年からは、財団法人川崎市生涯学習財団とともに指定管理者として「川崎市子ども夢パーク」全体を管理・運営している。

主な活動内容

1.誰もが安心して過ごせる居場所の開設と運営
  • 「川崎市子ども夢パーク」の管理・運営
  • 「川崎市子ども夢パーク」内での不登校児童・生徒の居場所「フリースペースえん」の運営
2.不登校・ひきこもりなどで悩む本人や家族等の相談・援助活動
3.フリースペース利用者による自主企画・活動の支援に係る事業
  • 誰もが言いたいことを言える環境づくりを行うお茶会ミーティング(毎月1回)・ショートミーティング(毎週1回)
  • 自然体験合宿として、八丈島キャンプ(5泊6日)・米沢スキー合宿(3泊4日)など
  • 「たまりばフェスティバル」(フリースペースえんの活動発表会)の開催(年1回)
4.保護者・教育関係者・学生・市民の学習と交流の機会および情報の提供・発信活動に係る事業
  • いじめ問題や自己肯定感を育む講演会「シリーズいのち」の開催
  • 神奈川県の補助により、「フリースペースって、どんなとこ?」(活動説明会)の開催
  • 川崎市高津区協働事業思春期懇親会の開催

2 主な教育関連事業の紹介

事業名称 「川崎市子ども夢パーク」の管理・運営

 「川崎市子ども夢パーク」は、2000年に制定された「川崎市子どもの権利に関する条例」の具現化を目指して子どもたちや市民、行政関係者などが話し合いを重ね、2003年にオープンした。2006年からは、指定管理者として、財団法人川崎市生涯学習財団とともに「川崎市子ども夢パーク」全体の管理・運営を行っている。
 「川崎市子ども夢パーク」の敷地面積は約10,000m2。ここでは、「川崎市子ども会議」と「フリースペースえん」、「プレーパーク」(冒険遊び場)の3つを事業の柱にすえて運営している。

1.居場所としての「フリースペースえん」

 「フリースペースえん」(以下、「えん」)は、不登校の児童・生徒の居場所である。120m2のワンルームの中には、小さな台所、冷蔵庫や食器棚、手作りの囲炉裏や木の切り株の椅子があり、生活感があふれる。この場所でスタッフと「えん」の生徒が、毎日昼食を協力して作り一緒に食べる。
 「えん」では決められたカリキュラムがなく、生徒が自分で一日をどのように過ごすかプログラムを組む。やってみたいことはミーティングで提案し、仲間を集めて一緒に活動する。これまで、第一線で活躍するプロを講師に招いての楽器演奏、ダンス、ものづくり(工芸・手芸)などの講座が開催されているほか、高卒程度認定試験の受験対策や個別のニーズに応じた学習支援も行われている。

●誰でも受け入れる

 「えん」では誰でも受け入れることを大切にしている。障害による区別や年齢制限はない。2009年度の「えん」の会員数は85名、うち約7割が小学生から高校生、約3割が18歳以上であり、年齢層は幅広い。川崎市以外から来訪する会員もいる。
 また、「えん」に参加する頻度も、生徒が自分のペースに合わせて決定できる。「えん」は毎週月~金曜日の10時半から18時まで開室しているが、毎日のように来る生徒から、ひと月に1回参加する生徒まで様々である。日常的に来訪する生徒は、30~40名くらいである。
 誰でも入会しやすいように、施設利用料は無料である。民間のフリースクールはほとんどが会費制で、生活保護家庭や収入が多くない家庭にとって入学することは難しい。公設民営型の「えん」では行政が年間1,800万円までの施設運営費を負担し、法人の努力によって無料での参加を維持している。

2.地域の子どもと混ざり合う「プレーパーク」(冒険遊び場)

 「プレーパーク」(冒険遊び場)には、子どもが火を使い、ナタやノコギリなどの工具を使い、土や水を使って遊べる空間がある。その他に、全天候型スポーツ広場や、2つの音楽スタジオがある。ここでは、禁止事項は最低限にしているので、子どもが思いきり体を動かしてやりたいことに自由に挑戦できる。
 フリースペース「えん」と地続きでつながるプレーパークでは、放課後に学校帰りの子どもたちと「えん」に通っている子どもたちが混ざり合って遊んでいる。不登校の子どもだけが孤立せずに、地域の子どもと共に自由に行きかい、混ざり合う環境が実現されている。

プレーパークで子どもたちは様々なことに挑戦する
プレーパークで子どもたちは様々なことに挑戦する 

3 事業の成果と課題

「えん」が育んだ自己肯定感や自尊感情

 「えん」では、子どもが今やりたいことを実践する。みんなが一緒にご飯を食べ、演奏して、好きなように遊ぶ時間を手に入れることで、子どもは次第に元気になる。元気になれば自分の人生を決めたいと考えるようになり、結果としてこれまで多くの子どもが学校に復帰している。子どもたちのその後の進路追跡調査によると、約9割以上が高校段階から復学していた。
 また、プレーパークでの遊びや毎日のお昼ご飯作りを通じて仲間とのつながりができ、「自分はここにいてよい」「自分は一人ではない」「生きている価値がある」と思える自己肯定感や自尊感情が育まれていく。
 これまで、学校の方針に馴染めない、障害があるなどの理由で教育と福祉の狭間に落とされてしまう子どもが、「えん」での時間を経て、高校や大学・専門学校への進学、就職、事業を始めるなど様々な形で「えん」を巣立ち、元気に生きている。また、巣立った後も、ボランティアとして「えん」の活動を助けに戻ってくる卒業生も多い。

公設民営型フリースペースのメリット・デメリットについて

●社会的認知の広がり

 2003年日本で初めての公設民営型の「フリースペースえん」が開設されたことで、その運営を担う「フリースペースたまりば」への社会的認知度が高まった。2006年度からは指定管理者となり、水道光熱費や家賃を含めた維持管理費が委託費用のなかで賄うことができるので、経費のための資金を自己調達する労力が削減されたなどの利点はある。

●新たな収入源の確保が必要

 一方、従来は「フリースペースたまりば」の応援会費が活動を支える大きな収入源となっていたが、「行政の資金を活用しているため、会費は必要ないのでは」との意識が広まり、会費収入が半減した。現在、川崎市からの委託費用より支出が上回る場合が多く、差額の赤字分を補填する必要がある。
 そこで、生徒と保護者、ボランティアが作成した手芸品を販売する「工房たまりば」を設立し、そこから収入を得るなどして差額を補填するなどの工夫を行っている。
 公的な助成金を申請したくても、新たな事業に従事できるスタッフ数が限られているなかで明確に「えん」の事業と切り離すことが難しく、断念せざるを得ない場合も多い。また、指定管理者の立場で公的施設に対する企業からの支援を受けることも難しい。したがって、法人の応援会費や寄付の裾野を広げたり、地域の商店街や企業に寄付をお願いしたりなど、新たな収入源の確保が常に課題となっている。

人材育成面での課題

 資金確保のほかにも、子どもの力を信じ、共に歩むスタッフの育成も大きな課題である。スタッフには、常に自分自身の問題にも目を向けて、子どもとの関わりを通じて自分自身が成長しようとする姿勢が求められる。
 「川崎市子ども夢パーク」での仕事は担当する職務が広く、人手不足もありローテーションを組んでも十分に回らない。また、現在「えん」の職員は、市の委託時代から昇給・賞与がない川崎市の非常勤嘱託職員の給与体系のため、生活が大変厳しい。スタッフがモチベーションを下げずに子どもの居場所づくりにエネルギーを集中できるような環境づくりが、一つの課題である。

4 今後の展望

教育と福祉の融合を目指して

 活動を始めてから20年の間に、学校に行けない子どもたちの居場所づくりを行い、学校に通っている子どもたちと出会う場をつくってきた。最近では不登校に悩む小中高生のみならず、ニートやひきこもり、非行や様々な障害の背景を持つ幅広い年代層が「えん」に参加している。これは単に「フリースペースたまりば」が不登校の相談を行うだけでなく、既存の教育や福祉の垣根を越えて、様々な人と融合し、互いに学びあう活動を続けてきた結果だと考えている。
 引き続き、いろいろな意見や知識を取り入れながら、共に学ぶ仕組みづくりを広げていきたい。とりわけ教育の現場や福祉の現場だけでは見えにくい障害者や不登校の子どもの生きづらさの背景を知ったうえで、彼らのライフステージに応じた支援を行うことが重要であると考える。
 そのためには、NPOが、既存の教育や福祉の領域からは外れてしまう人々に対応する一つの窓口となって、他のNPOや行政などの関係機関と連携しながら、彼らの悩みの背景に応じた支援について気軽に相談に応じる体制をつくることが必要である。

西野理事長
西野理事長 

親も育ちあう環境が必要

 現在、高津区と協働で思春期の子どもを持つ親を対象とした思春期懇親会を開催しているが、親も子どもと同じように育児の仕方が悪いのではなど自分を責める傾向にあり、親を支援する仕組みの必要性を感じている。これまで、認定NPO法人神奈川子ども未来ファンドの設立に関わるなど、不登校の子どもたちの居場所づくりに関わる団体を経済的に支援する仕組みづくりを行ってきたが、今後は親が子どもとともに育つことができる環境づくりにも注力していきたい。

(ヒアリング応対者:理事長西野博之氏)

 他者との比較や世間体を気にするのではなく、それぞれのペースで自分を大切にする。自分とは違う生き方をしている子どもや大人とたくさん関わることで、子どもが自己肯定感、自尊感情を育む場所をつくり続けることが必要だ。

お問合せ先

生涯学習政策局生涯学習推進課民間教育事業振興室

(生涯学習政策局生涯学習推進課民間教育事業振興室)

-- 登録:平成24年02月 --