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特定非営利活動法人 グリーンウッド自然体験教育センター

山村の暮らしから学ぶ、未来をつくる「ねっこ教育」

所在地…〒399-1801 長野県下伊那郡泰阜村6342-2
TEL…0260-25-2851 FAX…0260-25-2850
URL…http://www.greenwood.or.jp/ E-Mail…info@greenwood.or.jp

長野県下伊那郡泰阜村

1 団体の概要

代表者名…辻英之
設立年月…1993年 認証日…2001年4月12日
有給スタッフ数…常勤/13名、非常勤/1名
事業規模(09年度決算収入)…98,589,121円
(内訳:事業収入74,210,129円、補助金24,086,171円、その他292,821円)

活動の目的・趣旨

 日本の豊かな自然環境を活用した自然体験教育事業を推進し、青少年の健全育成及び国民の豊かな余暇生活の構築に寄与することを目的とする。

団体の設立経緯

 グリーンウッド自然体験教育センター(以下、グリーンウッド)の始まりは、1986年に東京の幼稚園教諭・梶さち子氏(現・グリーンウッド会長)が長野県の泰阜(やすおか)村で1年間のキャンプを開催したことにさかのぼる。
 夏キャンプを通じて、子どもたちがもっと自由に主体的に自然の中で関われたらよいという想いと、1年間の共同生活を通じて四季折々の自然体験ができればと考え、1年間のキャンプを始めた。キャンプに参加した子どもたちは、とても元気でイキイキしていた。そこで梶会長は、これからの時代は自然体験教育が重要になると確信し、毎年キャンプを実施した。
 当初2泊3日だったキャンプは、もっといろいろな体験ができるように3泊4日になり、それが1週間、1カ月へと延び、やがて1年間の長期にわたるものになった。
 戸塚ヨットスクール事件がマスコミに盛んに報道されていたこともあって、泰阜村には村の小学校で他地域の子どもを受け入れることに反対する住人もいたが、梶会長は何度も説明会を開き、理解してもらった。1993年には、山村留学を受け入れる任意団体グリーンウッド遊学センターを立ち上げ、2001年にNPO法人となった。

主な活動内容

1.自然体験教育事業

 山村留学をする暮らしの学校「だいだらぼっち」や「信州こども山賊キャンプ」など

2.各事業に関る指導者の研修及び養成

 自然体験の指導者となる相談員を養成

3.安全教育

 救急救命法講習(MFA講習)や自然体験指導者のための各種講習会

4.国際理解教育

 「Kids'AU(子どもたちのアジア連合)」を開催

5.地域づくり事業

 「伊那谷あんじゃね自然学校」における泰阜村との協働

グリーンウッド施設配置図
グリーンウッド施設配置図 

2 主な教育関連事業の紹介

事業名称 自然体験教育事業

1.山村留学・暮らしの学校「だいだらぼっち」

 おおよそ小学3年生から中学3年生までの子どもたちが親元を離れ、泰阜村の小中学校に通いながら宿泊棟で1年間の共同生活をするプログラムである(2010年度の参加子ども数は8人)。事業名は、天竜川沿いに伝わる民話に出てくる、気はやさしくて力持ちの大男・だいだらぼっちの話から採られた。
 4月に全国から泰阜村にやってきた子どもたちは、まず、暮らしに必要なこととやりたいことを話し合い、1年間のスケジュールを立てる。だいだらぼっちでは、重要事項はすべて子どもたち自身の話し合いで決められる。

●子どもの自主性を尊重する

 グリーンウッドでは、子どもたちは誰でも自分たちのやりたいことや夢を持っていると考えている。それを実現するために大人も一緒に考えつくり上げていく。また、安全にできるようにサポートしている。
 暮らしに必要なこととは、例えば炊事・洗濯や、風呂に入るための薪割りや風呂焚きである。泰阜村の暮らし方に学び、手の届く範囲での自給自足を目指して田んぼや畑の仕事もする。やりたいこととは、登山や川遊び、きのこ狩りなどで、子どもたちは四季折々、泰阜村の豊かな自然を楽しんでいる。
 入学は、見学、体験合宿、面接によって決定される。判断基準は、本人のやる気である。本人の意思がないままに親先行で決めてしまうとよくないと考えている。
 毎日の共同生活では、ときに思わぬ出来事やトラブルも起きるが、共同生活を通して子どもたちは自分と他者との違いに気づき、協力しなければ暮らせないことを知り、思いやりや社会性を学んでいく。
 また、安全のため、必ず宿直の大人1人が宿泊棟に入ることになっている。

だいだらぼっちの子どもは、薪割りもお手のもの!
だいだらぼっちの子どもは、薪割りもお手のもの! 

2.1,000人以上が参加する「信州こども山賊キャンプ」

 「信州こども山賊キャンプ」は毎年、夏に約1,100人もの子どもたちが参加する2泊3日のキャンプで、小学1年生から中学3年生までの異年齢の子ども20~50人のグループに分かれて実施している。山村留学の短期版であり、「だいだらぼっち」同様に、子どもの自主性を基本として行われる。
 キャンプ場に到着した子どもたちはまず「山賊会議」を行い、オキテと呼ばれるルールを決めるとともにやりたいことを自分たちで決めていく。オキテは、あいさつをする、ご飯は自分たちで作るなど、キャンプで必要なことである。やりたいことには、箸づくりなどの工作や、きもだめし、川遊びなどが選ばれている。照明のない夜道を歩くきもだめしをキャンプ一番の思い出に挙げる子どもは少なくない。

事業名称 各事業に関る指導者の研修及び養成

相談員養成事業

 グリーンウッドは、将来教育者や指導者を目指す若者が、山村留学の子どもたちと生活を共にしながら実践で教育を学ぶ1年間の教師・指導者プロジェクトを実施している。
 彼らはリーダーや先生ではなく、相談員と呼ばれる。相談員は子どもたちと同じ目線で話をし、いっしょに考え、悩みながら子どもとともに成長する。また、子どもたちの相談にのる過程で、さまざまな出来事にぶつかるうちに、「大人としての役割」に気づき、自らの価値観を確立していく。
 山賊キャンプのボランティアも同様に相談員と呼ばれる。山賊キャンプも、相談員の学びの場として、相談員が子どもたちといっしょに考え、行動することで、自分の役割に気づいていく。山賊キャンプには、子どもの頃にこのキャンプに参加したOB・OGを含め、全国から300人を超すボランティアが集まっている(2010年実績)。
 またグリーンウッドでは、先生になりたい人のための体験学習ワークショップも開催している。予測しないことが続発する自然のなかでのワークショップを通して個性や成長の過程を大切にする視点を学ぶもので、チャレンジ型の川遊びや、土探しから始めて野焼きする陶芸などのプログラムが用意されている。

事業名称 安全教育

 だいだらぼっち・山賊キャンプともに、これまでに1件の事故も起きていない。これはボランティアも含めて、日頃からリスクマネジメントに対する勉強会や研修会を行い、用意周到に準備しているためである。
 さらにグリーンウッドでは、万が一に備え、救急救命法(MFA:メディックファーストエイド)の講習を実施し、その普及活動に取り組んでいる。また佐藤理事は、日本で数人しかいない川でのレスキューの指導者を育成するマスターインストラクターであり、辻代表はレスキュー講座を開催できるマスタートレーナーの資格者である。

事業名称 北東アジアの子どもたちが集まる「Kids'AU」の開催

 国際理解教育として、韓国、モンゴル、中国、ロシア、北朝鮮、そして日本、北東アジア6カ国の子どもたちによる「Kids'AU(子どもたちのアジア連合)」を開催し、4泊5日の合同キャンプを2001年から続けている。
 子どもたちは言葉が分からなくても、最後には号泣して別れを惜しむ関係になる。かつて参加した子どものなかには、中国に留学した後、日中を結ぶ仕事をしている人も出ている。

3 事業の成果と課題

自然体験教育を終えた子どもたちのその後

 だいだらぼっちを修了した子どもたちは、大人になると、第二の故郷としてたびたびグリーンウッドに戻ってくる。だいだらぼっちで過ごした経験を生かして、職業はしっかり自分で決めている。職種は幅が広い。ここで暮らした経験から海外留学をする者も多い。
 「暮らしのなかで、やりたい、知りたいと思うことに対して自分で段取りをとれるようになったことが、その後の人生を切り拓く力になっているのではないか」と佐藤理事は話す。グリーンウッドが目指す、泰阜村の豊かな自然環境の中で子どもたちの主体性を育む活動は、20年を経て、目に見える成果となって表れてきている。

グリーンウッドスタッフとその家族
グリーンウッドスタッフとその家族 

地域と共に学ぶ「伊那谷あんじゃね自然学校」

 また、だいだらぼっちや山賊キャンプから発展した事業に、地域をつなぐ「伊那谷あんじゃね自然学校」がある。「伊那谷あんじゃね自然学校」は、泰阜村内に暮らす小・中学生を対象として月に一度、開催される。
 泰阜村には、山村の知恵や技を伝えることのできる達人が大勢いる。「伊那谷あんじゃね自然学校」では、こうした地域の人材を講師に招き、実演してもらうことを目的としている。例えば、子どもたちの目の前でイノシシをさばいてもらったり、食べられる山菜を教えてもらったりする。子どもたちは目をキラキラさせ、達人たちの動きを追い、憧れ、自然にまねをするようになる。村の人たちも、子どもたちが熱心に聞いてくれるのを見て、昔から受けついできた暮らし方を誇らしく感じるようになる。
 グリーンウッドは、子どもたちと村の人々をつなぎ、その知恵や技を受け継ぐ場でもある。最初は「わしは、そんなことできん、やらん」と言っていた人が、子どもたちとの交流をきっかけにNPOを立ち上げ、村議会の議長にもなった例も生まれている。
 また、山賊キャンプの子ども1,100人、ボランティア350人が食べる野菜は約1.6トンにのぼる(2010年)が、食材の98%ほどは泰阜村の農家から調達している。「子どもたちが食べるものだから」と、低農薬の野菜づくりを始めた農家も生まれるなど、地域でグリーンウッドの事業を支援する輪が広がっている。

4 今後の展望

 持続可能な社会づくりのために、ねっこ教育を一般家庭に普及していきたい。
 そのために、さらに地域の方や山村留学OB・OG、その保護者の皆さまと協働していきたい。また、今後は、社会貢献に取り組む企業の方たちとの協働にも積極的に取り組みたい。

(ヒアリング応対者:理事/事務局長佐藤陽平氏)

 泰阜村の人たちといっしょに25年かけてつくり上げたグリーンウッドへの見学・視察は、大歓迎。これから活動をしようというNPOや、協働をしたいという行政や企業の方に、直接活動を見てもらい、語り合う機会は、お互いにとって貴重な場になると考えている。

お問合せ先

生涯学習政策局生涯学習推進課民間教育事業振興室

(生涯学習政策局生涯学習推進課民間教育事業振興室)

-- 登録:平成24年02月 --