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特定非営利活動法人 地域学習プラットフォーム研究会

一人ひとりの学びが社会に生かされる学習基盤を目指して

所在地…〒930-0856 富山県富山市牛島新町5-5タワー111
TEL…076-439-8666 FAX…076-444-1121
URL…http://shiminjuku.org/ E-Mail…support@shiminjuku.org

富山県富山市

1 団体の概要

代表者名…柵富雄
設立年月…2008年2月 認証日…2008年7月7日
有給スタッフ数…常勤/1名、非常勤/1名
事業規模(09年度決算収入)…10,435,738円
(内訳:会費360,000円、事業収入8,074,650円、寄付金2,000,000円、その他1,088円)

活動の目的・趣旨

 富山から全国に広がったインターネット市民塾等を通じて、ICT等を活用した新しい教育モデルと学習プラットフォーム(学習基盤・推進体制)の研究・開発に関する事業を行い、変革の時代に対応した人づくりおよび地域活性化への支援をもって、活力あふれる社会の発展に寄与することを目的とする。

団体の設立経緯

 地域の活性化は住民一人ひとりの活性化が原点である。人々の心に勇気と知性をもたらし、地域の内側から元気にするには、学び考え行動する一人でも多くの住民を育てることが必要である。このような学びの力を信じて、2004年に「市民塾ユニオン推進会議」が発足した。富山県、和歌山県、高知県、徳島県など各地より、地域の活性化や生涯学習に関心のある行政担当者、大学教授、企業経営者、NPO法人の理事などが集まり、インターネット市民塾のあり方や相互支援の可能性について議論した。その議論を取りまとめ、市民塾ユニオン推進会議の総意で、全国のインターネット市民塾の取り組みを横断的に支援する団体として「地域学習プラットフォーム研究会」を2008年に設立した。

主な活動内容

1.深める(研究活動):ICTを活用した教育活動に関する研究

「eポートフォリオ研究ワーキング」の開催
「市民塾クラウド研究ワーキング」の開催等

2.広める(普及活動):研究成果を広く提供するとともに、各地の新たな活動を支援

 地域の「インターネット市民塾」の企画・設立・運用支援
「シルバー情報サポータ活動事業」(スマートフォンやタブレットPCを活用した高齢者を対象にした生活情報の支援と知識経験の積極的な発信の支援)の展開等

3.つなぐ(連携活動):各地のインターネット市民塾の人材、教材、事業等の連携活動

全国の手仕事を学ぶ「e手仕事図鑑」(学習データベース)の共同制作
社会に出る若者を応援する「若者未来eラーニング」コンテンツの共同開発と活用推進等

2 主な教育関連事業の紹介

事業名称 「インターネット市民塾」の企画・設立・運用支援

地域の内側から元気にする学びの共同体

「インターネット市民塾」とは、インターネットを活用して、24時間いつでも、どこからでも、学び、教え、交流することができる学習コミュニティシステムである。誰でも自由に講座を受講できるとともに、誰でも講師としてインターネット上に講座を開設できるシステムであり、市民がインターネットを通じて集まるパブリックスペースとなっている。
 住民が市民講師となって、講座の開講から、教材の提供、受講者との質疑応答、学習進度の把握まで容易に行うことができる便利なシステムを提供している。
 忙しいビジネスマンや子育て・介護従事などにより家を離れにくい人が、インターネットを通じて講座の受講や知識交流、地域活動などのコミュニティに多く参加していることも特徴である。

事務局スタッフによる打合せ風景
事務局スタッフによる打合せ風景 

市民や地域の産学官が教え学び合う

 市民が知識・経験を生かし、様々なテーマで講座や学習グループを開催している。テーマ、教材、対象者、定員、進め方、受講料などを自分で決めて参加者を募集する(定員:講座によって数名~制限なし、受講料:講座によって無料~10,000円程度)。大学や企業、団体が主催者となって、講座やセミナーを開催する例もある。
 講座は、「富山の薬売りの歴史」「朗読」「アロマテラピー」「写真撮影術」「保険見直し術」「コーチング」「就活支援」などがあり、地域学習、ライフアップ、ライフマネー、キャリアアップなど幅広いテーマが集まっている。
 講座の受講、学習グループへの参加は、「富山インターネット市民塾」のWebサイトの中から講座や活動グループを選び、申込みを経て学習や活動を開始する。講座テキストは働き盛りも利用しやすいように、Webサイトでいつでも閲覧できるようになっており、質問や意見交換は掲示板やメールで行う。講師や受講者(参加者)が実際に顔を合わせて学習や交流を行うスクーリングも多い。
 インターネットやスクーリングを通じた学習・活動の進め方は多様である。講師が知識を提供する「講義型」、地域の課題を学び考える「ワークショップ型」、活動の成果を持ち寄りお互いに学ぶ「成果発表型」など、教え学び合うコミュニティが形成されている。
 2009年度の実績としては、利用登録者数7,293名、講座開催数104講座、受講者数1,392名である。受講者の内訳は、県内60%・県外40%、男性63%・女性37%である。

講座のスクーリング風景
講座のスクーリング風景 

全国各地のインターネット市民塾の起点として

 「富山インターネット市民塾」は、1998年に当時の通商産業省・情報処理振興事業協会の「教育の情報化推進事業」に採択され、ICTを活用した生涯学習による地域づくりのモデルとなった。
 「富山インターネット市民塾」の取り組みに共感の輪が広がり、世田谷、葛飾、横浜、和歌山、高知、徳島、熊本、京都、藤沢(慶應義塾大学)、福岡県東峰村など、新たなインターネット市民塾の立ち上げを目指す地域が相次ぎ、これらの設立支援やICTプラットフォーム、コンテンツの共有などの支援を行っている。

事業名称全国の手仕事を学ぶ「e手仕事図鑑」の共同制作

子どもたちの職業観の醸成に役立つ「e手仕事図鑑」

 「e手仕事図鑑」(http://shiminjuku.org/teshigoto/)は、2009年度、独立行政法人国立青少年教育振興機構の「子どもゆめ基金」の助成を受けて制作を始めたものである。富山・和歌山・高知・徳島の4地域のインターネット市民塾が協力して共同開発し、手仕事職人を取材して手仕事のコンテンツ制作(イラスト作成、インタビュー、ビデオ録画等)を行った。苦労しながら手に職をつけ、元気に働く人々の姿を紹介することで、働くことの意味、生きがい、喜びなどが共感できる「e手仕事図鑑」をネットワーク上で閲覧可能としたものである。
 この教材は、様々な手仕事に携わる職人を、イラスト・音・動画で紹介している。各地の「e手仕事図鑑」は手仕事学習データベースにより結ばれ、「e手仕事図鑑」を見ながらWebサイトに感想を書き込めるため、全国の子どもたちの交流を可能としている。
 2010年度は、これまでの4地域に加えて、新たに藤沢・尾道・熊本の3地域が参加した。これらの7地域で手仕事のコンテンツを制作し、手工業・工芸、農業、サービスに関連する35コンテンツを掲載している。10年度は、13コンテンツを新たに開発し、合わせて48種類の手仕事が集まった。

「e手仕事図鑑」を活用した「子ども取材体験」

 「e手仕事図鑑」を活用した「子ども取材体験」は各地で展開されており、「富山インターネット市民塾」(http://toyama.shiminjuku.com/)でも例年実施している。小学4~6年生と中学生を対象に参加者を募り、講師1名、事務局スタッフの引率体制で行う。1日目は事前学習(90分)、体験学習(60分×2カ所)を行い、2日目には「e手仕事図鑑」を活用した事後学習(180分)を行う。
 事前学習では、子どもたちの手仕事に対する興味・関心を喚起することを目的としている。事前活動では映像だけでなく音やイラストも効果的に活用し、職場の環境、仕事や職人などの手仕事に対するイメージを膨らませることができる。
 体験学習では、実際に職人の働く姿を直接見て、働くことの苦労、やりがいについての話を聞くことで、子どもたちの働くことや手仕事についての理解を深めることをねらいとしている。
 子どもたちは、事前学習で考えた知りたいことを職人に質問し、メモやデジカメを利用し記録する。事後学習では、「e手仕事図鑑」に情報を発信する活動を通して、体験活動での学習を振り返る。グループごとに相談しながら登録する内容を決めた後、お互いの図鑑に対する感想や質問についても登録する。
 このような「e手仕事図鑑」を活用した「子ども取材体験」は、職業観を醸成するためのキャリア教育と、リアル感が必要な地域学習のそれぞれの意味でも効果的である。

職人の仕事場を取材する子どもたち
職人の仕事場を取材する子どもたち 

3 事業の成果と課題

教えることが最高の学習

 市民講師を発掘して知識の発信を支援する取り組みは、地域の知識財を顕在化させるとともに、「教えることは最高の学習」となり、市民講師を目指すことが学びのモチベーションを高めている。受講者にとっても市民講師との「知の交流」は、受け身になりがちな学習を一変させ、「自分にもできることがある」という動機づけになる。これまでの経験や学びを生かして、市民講師を目指す受講者も出ている。
 インターネット市民塾の市民講師として教えることがさらに学習の積み重ねになり、自らの新たな社会活動の取り組みに結びつくことがよく見られ、70歳を過ぎて起業した市民講師もいる。

地域活動のアーカイブ機能を果たす「e手仕事図鑑」

 文部科学省の「第10回インターネット活用教育実践コンクール」で、「e手仕事図鑑」を使った「手仕事で学ぶ子どもたちのキャリア教育支援ネットワーク」が優秀賞を受賞した。
 さらに、「e手仕事図鑑」は、キャリア教育の教材としての側面に加えて、地域活動のデジタル・アーカイブ機能も持つ。次世代に地域活動を伝えていくものとして、地域に貢献する意味合いもある。

4 今後の展望

生涯学習プラットフォームにおける「eポートフォリオ」への期待

 地域学習プラットフォーム研究会では、生涯学習における実践的活用研究として、「eポートフォリオ研究ワーキング」を開催している。「eポートフォリオ」とは、小中学校・高校・大学・成人の過程を通じた家庭・地域・職場における、一人ひとりの経験や学びの成果(能力・スキル情報)を蓄積したデータベースであり、一人ひとりの生涯学習のベンチマークでもある。
 2011年1月からこのeポートフォリオをインターネット市民塾の講座に試行的に取り入れて、その可能性と課題を評価している。高校生、就活を迎えた大学生、再就職を目指す社会人などの学習者が自立的な学習の有効な方法として捉えるとともに、講師やeメンターなど教育提供者にとっても、教育の質確保の手段として改めてその意義を捉えている。
 将来的には、「eポートフォリオ」をジョブカードや履歴書と連携させることで、一人ひとりが自己反省、自己評価、自己計画、自己改革する機会を創出し、就業、再就職、起業、ボランティア活動などのキャリア教育にも応用できると考えている。このため、各地のインターネット市民塾、教育研究者などが集まり、生涯学習支援機関、大学・企業・地域のeポートフォリオ連携のあり方についての研究を開始している。

(ヒアリング応対者:理事長 柵富雄氏、川上知美氏、吉田真理氏)

お問合せ先

生涯学習政策局生涯学習推進課民間教育事業振興室

(生涯学習政策局生涯学習推進課民間教育事業振興室)

-- 登録:平成24年02月 --