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特定非営利活動法人 「育て上げ」ネット

若者の「働く」と「自立」を応援するために

所在地…〒109-0011 東京都立川市高松町2-9-22生活館ビル3F
TEL…042-527-6051 FAX…042-548-1368
URL…http://www.sodateage.net/index.html E-Mail…info@sodateage.net

東京都立川市

1 団体の概要

代表者名…工藤啓
設立年月…2001年1月 認証日…2004年5月13日
有給スタッフ数…常勤/34名、非常勤/28名
事業規模(09年度決算収入)…371,661,503円
(内訳:事業収入305,714,093円、会費690,000円、寄付金64,381,790円、その他875,620円)

活動の目的・趣旨

 一般的な就職等による社会的な自立が困難であると予想される、又は現実に困難になっている青少年に対して、未就労状況からの脱却と就労の機会を与え、且つ、集団生活、共同作業等社会参加基礎訓練の場、及び模擬的な就業体験の場などを提供することに関する事業を行い、青少年が、各人の個性に応じた就労と社会的自立の機会を獲得することに寄与することを目的とする。

団体の設立経緯

 団体設立を考えた2000年頃、日本経済は下降線をたどり、多くの中高年層がリストラされることとなった。それらの救済策として国策は中高年層の雇用対策に向けられていた。代表の工藤氏は、中高年層にスポットの当たる政策の一方で、労働市場へのスムーズな参画もできず、社会参加すらままならない若年層の実情を見て、「いま」ではなく「将来」の日本を支える若者を早期に支援することの必要性を感じ、若者の持続的な社会参加と経済的自立を支援する任意団体を設立するに至った。

主な活動内容

1.若年者就労支援事業

 若年者就労基礎訓練プログラム「ジョブトレ」を中心に、若者が「働き続ける」ための支援事業を実施している。

2.企業連携事業
  • CSR事業
     新生フィナンシャル株式会社とのパートナーシップにより、「ニート予防のための金銭基礎教育」"MoneyConnection(R)"の展開などがある。
  • 企業研修事業
     企業は、若者が研修をする機会を提供し、「育て上げ」ネットは、若者の活力と育成のためのノウハウ等を提供する。
  • コンサルティング活動事業
     企業人材の育成のニーズに沿った研修機会の提供を行う。
3.保護者支援事業

 わが子の就労・自立に悩む保護者に対し、個別相談やセミナーを通じて支援を行う。

4.キャリア教育事業

 「ニート」「フリーター」と言われる状況に不本意に陥らないために、学齢期の若者への支援事業を実施する。高等学校「総合学習の時間」でのキャリアガイダンスなど。

5.官公庁ソリューション事業

 「ニート」と言われる「若年無業者」の存在が社会問題とされて以降、行政でも様々な取り組みを進めている。「育て上げ」ネットでは、これまでの経験・ノウハウを活用し、こうした行政の活動が有効に行われるように、各地の公的な若者支援機関の企画運営に携わっている。

2 主な教育関連事業の紹介

事業名称 ジョブトレ(若年者就労基礎訓練プログラム)

若年者就労基礎訓練プログラム

 長期にわたり課題や困難を抱える未就労の若者が、持続的な社会参加と経済的自立を獲得するために必要な支援サービスを提供するプログラムである。主な研修は、企業などとのパートナーシップにより、実際の職場経験を積みながら、継続的に社会とかかわるために必要な力を養っていくものである。清掃業、製造業、農業、IT関連など、職種は様々なものがある。
 ニートやひきこもり状態にある若者は、「やる気」や「根性」といった昭和的な見方でくくられる傾向があるが、これは誤解であり、本当の実情を反映しているわけではない。経済情勢、雇用環境の変化、地域や家族形態の変容など、「働きたくても働くことができない」若者を「やる気」でくくることには無理がある。ただ、働くことに対する漠然とした不安や、人間関係を築くことへの苦手意識などの理由から、職業社会に参加し続けることができなくなっているのである。また、就職経験がある場合でも、任された仕事をこなすことができないといった理由ではなく、社員同士のコミュニケーション、上司や部下といった関係性において適応に困難を抱えていることが圧倒的である。
 そのような背景、実情に対し「ジョブトレ」では、就職することを唯一の目的とするのではなく、「働き続ける」ために必要な力を涵養することに力点を置いている。例えば、他者とのコミュニケーションや、日常生活のリズム形成、人間関係能力など、いわゆる、「社会性」や「協調性」と呼ばれる力を再構築する「場」としての価値提供を行っている。

「ジョブトレ」の様子
「ジョブトレ」の様子 

まずは生活改善から

 就労への第一歩は、決まった時間に、決まった場所に集合することである。昼夜逆転の生活を改善するためにも、毎日通所することを目標とする。ジョブトレに通い、研修プログラムを行うことで、食事の時間も規則正しくなり、生活のリズムが整う。また、他の人とコミュニケーションを取ることで社会性を養っていく。

様々なトレーニングと就活サポート

 地域活動をベースとした「商店のチラシ配布」などの簡単な仕事から、「農業の手伝い」「企業実習」のような本格的な就労体験まで、様々なトレーニングの場を提供する。
 個人の状況に応じたトレーニングを経て「アルバイト探し」「就職活動」へと移行した後も、進路決定まで相談に応じてサポートする。必要に応じてキャリアカウンセラーとの面接も行い、社会参加を目指す。おおむね15歳から39歳までの若者を対象に、常時50名程度がプログラムに参加している。

事業名称 MoneyConnection(R)(マネーコネクション)

日本で初めてのニート予防

 「育て上げ」ネットの主たる事業は、「働けるようになりたい」と願いながらも、そのきっかけをつかめずに足踏みをしている若者への就労・自立支援であり、「ジョブトレ」は、そのような状況にある若者を対象に提供する、いわば対処療法的なプログラムである。こうした若者への支援を続けるうちに、予防の必要性を考えるようになった。
 ニート状態になる原因はいろいろあるが、「お金に関する正しい知識や金銭感覚の欠如」もその一つである。実際、ジョブトレに通う若者の中には「自立にかかるコストを知っていれば状況が変わっていたかもしれない」と話す者もいるという。
 そこで、生きていくために必要となるお金や物の価値について考え、多様化する雇用形態や、働き方による生活スタイルの違いを知り、より長期的な視野で「お金」や「人生」について考える機会を提供することにより、自らの進路を慎重に考えられるようになれば、不本意なニート化を防ぐことができるのではないか。これが日本初のニート化予防プログラム誕生につながっている。

新生フィナンシャル株式会社と共同で開発したプログラム

 日本で初めての試みとなる「ニート予防を目指した金銭基礎教育プログラム」MoneyConnection(R)(マネーコネクション)は、新生フィナンシャル株式会社と「育て上げ」ネットが共同で開発したプログラムである。主に高校生(16歳)を対象としたMoneyConnection(R)は、各高校への出前事業で行われる。お金の稼ぎ方/働き方と生活スタイルを考えるプログラムと、お金の使い方/価値観を見つめ直すプログラムで構成されている。
 2005年当初、企業の社会的責任を果たすための取り組みを模索していた新生フィナンシャル株式会社とニート化予防の必要性を考え始めた「育て上げ」ネットとの間で方向性が合致し、プログラム開発を共同で行うこととなった。プログラムや教材の開発にあたっては、玄田有史教授(東京大学社会学科研究所)をはじめ、ニート研究や教育・金融の専門家、さらに高校の現場でキャリア教育に取り組む先生方がアドバイザーとして参加し、つくり上げた。

プログラム実施の流れ

 MoneyConnection(R)は、基本的に学校への出前事業として実施されている。「育て上げ」ネットが運営事務局を担当し、現場への講師派遣や講師育成を行っている。
 プログラムを実施する学校との主な接点には、「学校からの依頼で行う」「行政が主管するキャリア教育事業の一環として行う」 「学校に進学ガイダンスなどのイベントを提供する企業の依頼により行う」の3つがある。

MoneyConnection(R)の様子
MoneyConnection(R)の様子 

3 事業の成果と課題

受益者の生の声を反映

 「育て上げ」ネットが提供するコンテンツが、受益者である学生や若者にとって本当に必要とされるものであるか、という点については常に気を配るべきことと考えている。特にキャリア教育コンテンツを構築する際、教育機関の方々からもアドバイスを頂き、受益者ニーズを投影させた。
 例えば、MoneyConnection(R)プログラムの場合、本格的な導入を前に複数の高等学校で実際にパイロットプログラムを行い、参加者である生徒や教員の「生の声」を反映するように努めた。

人材の育成と理念の共有が必要

 活動を続けていくなかで課題となるのが、支援に関わる人材の育成である。先の「ジョブトレ」を例にとると、支援を求めて通所する若者の傾向も年々変化し、多様化している。その変化にいかに専門性と経験を持って対応できるかが求められている。こうした課題を乗り越えるために、外部人材なども登用しながら、職員に対して福祉、教育などの分野で専門的な集合研修の機会を増やしてきた。
 もう一つの課題として、法人の活動理念を職員全体にいかに徹底するか、があげられる。ここ3~4年で事業が拡大し、職員数も大幅に増加した。団体を設立した初期に少人数で運営していたときには問題ではなかったが、職員が増えた今、法人の考え方について改めて意思統一し、若者を支援していきたいと考えている。

若者を支える深谷氏と松野氏
若者を支える深谷氏と松野氏 

4 今後の展望

MoneyConnection(R)の社会インフラ化

 2007年3月に東京都立第一商業高等学校を皮切りにMoneyConnection(R)のプログラムの実施が始まってから数年が過ぎ、今では年間80~90校でプログラムを展開するまでになった。そこで、2009年度より、MoneyConnection(R)プログラムの更なる発展を目指し、プログラムの全国への普及(社会インフラ化)を目的とした公認実施団体制度、認定講師制度を導入している。
 2010年度には、講師養成講座を東京都、大阪府、和歌山県、沖縄県で合計5回実施。約100名の認定講師が誕生した。制度導入前までは、講師が東京から派遣されていたため、首都圏外での実施には限界があった。各地域に拠点を置き、地域の中で認定講師が活動できるしくみを定着させることにより、プログラム提供地域を拡大し、ニート化予防のための取り組みを全国に普及させたいと考えている。

(ヒアリング応対者:広域担当部長深谷友美子氏、若年支援事業部教育支援担当課長松野賢太郎氏)

お問合せ先

生涯学習政策局生涯学習推進課民間教育事業振興室

(生涯学習政策局生涯学習推進課民間教育事業振興室)

-- 登録:平成24年02月 --