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特定非営利活動法人 北海道職人義塾大學校

職人さんが生きていける街をつくっていこう!

所在地…〒047-0026 北海道小樽市東雲町8-1旧寿原邸内
TEL…0134-23-7206 FAX…0134-23-7205
URL…http://otaruskill.net/ E-Mail…shokunin@24.am

北海道小樽市

1 団体の概要

代表者名…佐々木徹
設立年月…2000年10月 認証日…2001年5月23日
有給スタッフ数…常勤/7名、非常勤/0名
事業規模(09年度決算収入)…53,887,075円
(内訳:会費333,000円、事業収入53,554,075円)

活動の目的・趣旨

 日本の伝統的生活文化を支える職人業を振興発展させるために、義務教育を終えた青年、大人を対象とし将来職人として生業を営もうとする不特定多数の人々や団体に対して、業務に熟達通暁した職人に依って職人業に必要な知識と技能の教育・訓練の場を提供し、各種の実務的講座の開催等を行い、職人子弟の健全育成、生涯教育、福祉の増進や国際協力などの公益の増進に寄与する事を目的とする。

団体の設立経緯

 1992年に、小樽市内で活躍する職人が職人業の継承や共同研究開発を目的として設立した「小樽職人の会」が母体となっている。明治の初めに小樽―札幌間に鉄道が敷設され、当時最先端の技術が小樽に入ってきた歴史があり、小樽には今なお職人が多く住んでいる。その伝統を受け継いでいこうというのが「小樽職人の会」の趣旨である。その活動は小樽だけにとどまらず、他地域の職人たちと連携するなかで北海道職人展、全国職人学会、世界職人学会へと広がっていった。『職人』(岩波新書)を書いた永六輔氏は「小樽職人の会」の応援団長となっている。
 2001年、北海道職業能力開発短期大学校(当時)の大川時夫校長のすすめもあり、職人として働きたい者たちに知識や技術を教育・訓練する場を提供することを目指して、NPO法人の設立に至った。
 発足当初は、勉学と実習をあわせた職業学校の形式で職人を育てることを目指していた。しかし「3年という決まった年限で修行をするのは無理がある」「授業という形式をとることが適当ではない」「学校を維持するために多額の経費がかかる」という問題があり、次年度以降は、親方のもとで修行する形を取ることとなった。

主な活動内容

1.街の匠・街の伝習館「職人の会」事業

 「マイスター’sShop、職人、町工場、修繕ほか相談」の実施。職人たちのつくった商品を直販するほか、町工場の見学希望者たちの世話をする。

2.職人のアルカディア「職人義塾」事業

 職人希望者をベテラン職人に紹介する。

3.Open a Way「職人学会」事業

 職人学会の事務局運営、大人向け研修、職人展の開催。

4.体験学習事業

 小中学生へ職人技術の体験学習を行う。

5.キッズベンチャー事業(起業家教育)
6.キャリア教育及びキャリア教育民間コーディネーター育成事業
7.コミュニティビジネス支援事業(CBノウハウ移転支援事業・基金訓練・社会起業家育成訓練科の実施)

2 主な教育関連事業の紹介

事業名称 職人のアルカディア「職人義塾」事業

 北海道職人義塾大學校(以下、職人大學校)は、「町工場が職人の教室である」という考え方のもと、職人希望者とベテラン職人とを「お見合い」(紹介)し、親方のもとで徒弟制の修行をする形をとっている。親方から一人前と認められた時点で卒業となる。

「お見合い」には時間をかける

 職人になりたいという相談は多い年で年間300人におよぶが、そのなかで実際に働くことができるのは3人くらいである。保護者、特に母親から話が持ち込まれることが多いが、本人に厳しい修行を受ける意志があることが必要で、それを確認するために何度も話し合いを行う。紹介先は、「全国職人学会」の活動を通した職人のネットワークを通じて全国にわたるが、就労後すぐに辞めてしまうケースも考えられるので、事前に厳しく覚悟を見極める必要がある。

卒業までは約10年

 「親方が一人前と認めたら卒業」という職人のルールに従っている。一般的には、独り立ちできるようになるまでには、約10年の年月が必要である。これまで14名の卒業生を輩出しており、年一度の全国職人学会で、全国から集まった職人たちの前で卒業証書を授与される。本人にも、親方にも喜ばしい瞬間である。

事業名称 Open a Way「職人学会」事業

 全国職人学会は、各地域の持ち回りで毎年開催されているが、その全国事務局として開催地の実行委員会に運営のアドバイスを行っている。小樽という地方都市から職人の全国ネットワークを呼びかけ、構築したことが職人大學校の最大の強みである。
 職人の団体はいくつもあるが、すべて業種別の団体で、異業種にわたる職人の団体というのは他地域に例がなかった。何百年の伝統のある地域ではかえって異業種で集まることは難しく、歴史が浅くしがらみのない小樽だからこそ、職人のネットワークのハブ(中継拠点)となることが可能となったと思われる。
 道内各地で職人展・実演会を開催し、一般の人向けに職人の仕事について伝えている。また、企業、労働組合、農協、さらには業界団体、建築関係、研究者などのグループの研修を受け入れ、1年を通して、ほぼ毎週、10人から20人のグループを対象に実施している。研修の内容は講義のほか、小樽の職人たちの仕事を見学・体験するものとなっている。

事業名称 体験学習事業

 1997年より将来の職人の卵である北海道在住の小中学生に向けた体験学習を実施し、修学旅行生や研修の児童生徒などのほか、イベント時には観光客向けに体験講座を開いている。現在、年間120校約8,000人を受け入れている。小樽に来る観光客数が減っている状況でも、体験学習への参加者は毎年10~20%の割合で伸びている。
 この事業には以下の特徴がある。

●多数の体験メニュー

 家紋の刷り込み、金箔貼り、和菓子づくり、指輪作成、錫鋳造、落款(らっかん)製作、染色、木工(ペン立て、小物入れ)、キャンドルなど、14業種のものづくり工程をプログラム化した製作体験を実施している。希望者は多様なメニューから自分の好みにあった体験学習を選ぶことができる。
 また、修学旅行などで100人以上の訪問であっても容易に受け入れられる体制がある。これだけの規模を一カ所で体験できるところは全国的にも珍しく、小樽観光の目玉の一つとなっている。

家紋の刷り込みの製作体験
家紋の刷り込みの製作体験 

●職人の技術に裏打ちされたホンモノの技を体験することができる

 子どもでも完成できるようにアレンジされてはいるが、もともとが小樽在住の職人の指導によってつくられたプログラムなので、職人なりのこだわりが入っている。

錫の砂型鋳造の製作体験
錫の砂型鋳造の製作体験 

3 事業の成果と課題

広がる事業の成果

 今までの実績をもとに、事業は着実に広がりを見せており、上記で紹介した以外に次のような教育事業も行っている。

●キッズベンチャー事業

 職人は、ものづくりだけではなく営業・販売も含めた個人起業家という側面を持っている。子どもたちが、自分たちで商品を企画し、その商品の製作から販売や決算までを行うなかで、創造性やチームワークなど起業家精神を養成することをねらいとし、2001年からキッズベンチャー(起業家教育)事業を開始した。

●キャリア教育事業

 2005年に経済産業省の地域自律民間活用型キャリア教育プロジェクトを受託して以来、子どもたちの職業観・勤労観の醸成のために「キャリア教育事業」を小樽市内の小中学校で年間8校・約500名に実施している。また、2008年より「キャリア教育民間コーディネーター育成講座」を主催しており、ここの出身者がNPO法人「教育プラットフォーム北海道」でコーディネーターとして活躍している。

小樽発、職人の後継者

 NPOの母体である「小樽職人の会」の発足から18年、職人義塾大學校の開塾から10年が経過した。これまで輩出した14名の職人の後継者は、今も全国各地で修行を続けている。
 1997年に職人の後継者育成や職人業の活性化に向けてスタートさせた「体験学習事業」は、年間8,000人を集める人気イベントとなり、今や小樽観光に欠かせないものとなった。職人本来の仕事が減っていくなか、「体験学習」によって職人たちの仕事の場を新たにつくっているという一面もある。
 2007年には経済産業省の「ものづくり日本大賞青少年支援部門経済産業大臣賞」を受賞。2009年に経済産業省ソーシャルビジネス55選に選出され、また2010年にはサービス産業生産性協議会の「ハイ・サービス日本300選」にも選ばれた。

課題となっている職人の高齢化

 現在、会員である職人が高齢化しており、後継者のないまま亡くなっていくケースも出ている。これにより、NPOの本体事業に影響が出ることが予想される。
 体験学習の活動は順調に発展しているが、あくまで職人たちの技術がベースになっているものであり、双方の活動は車の両輪のようなものである。職人さんたちが仕事をしやすい環境をつくっていくことが永遠の課題である。

広がる職人のネットワーク

 課題解決の成功事例として「佐々木つげ工房」のケースがある。「職人の会」の活動を聞いて、ぜひ小樽に移住したいと連絡があった。NPOスタッフが関係者と連絡調整をして、小樽の隣の余市町に、つげの櫛などを製作・販売する工房を開くことができた。現在、ご主人の佐々木氏は職人義塾大學のメンバーとして活躍し、地元の特産材を使ったブラシの製作なども行っている。
 職人のネットワークが広がっていくにつれ、従来は断っていたような仕事も他府県の業者を紹介したり、あるいは部品を取り寄せることで受注することができるようになってきた。
 また、小樽ではものづくりだけではなく、すし屋、菓子屋などもまじえた「職人工房名店会」を100店舗ほどで組織し、共同でイベントなどを開催しており、地域や分野を超えた職人のネットワークが広がっている。

お話してくださった伊藤一郎氏
お話してくださった伊藤一郎氏 

4 今後の展望

 伊藤氏個人としての夢でもあるが、ぜひSLを復刻して走らせたいという希望を持っている。今後も、埋もれている資源に光をあて、開拓時代からの伝統ある小樽の地場産業に底力と活力を与えていきたい。

(ヒアリング応対者:理事伊藤一郎氏)

お問合せ先

生涯学習政策局生涯学習推進課民間教育事業振興室

(生涯学習政策局生涯学習推進課民間教育事業振興室)

-- 登録:平成24年02月 --