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特定非営利活動法人 日本料理アカデミー

日本料理の未来は、次代の世界料理を動かす

所在地…〒604-0862  京都府京都市中京区烏丸通夷川上ル少将井町240番地 京都商工会議所ビルディング6階7号室
TEL…075-241-4163 FAX…075-241-4168
URL…http://culinary-academy.jp/
E-Mail…office@culinary-academy.jp

京都府京都市

1 団体の概要

代表者名…村田吉弘
設立年月…2004年8月 認証日…2007年3月19日
有給スタッフ数…常勤/1名、非常勤/0名
事業規模(09年度決算収入)…42,986,863円
(内訳:会費5,365,000円、助成金・協賛金・共催金等37,004,708円、敷金・保証金返還収入550,000円、その他67,155円)

活動の目的・趣旨

 日本国内はもとより世界各地で生活する人々に対して、日本料理の発展を図るため、教育および文化・技術研究ならびにその普及活動を行うと共に、日本料理を支える食育および地産地消を支援し、もって我が国固有の食文化の振興に寄与することを目的とする。

団体の設立経緯

 日本料理アカデミーは、2004年8月に日本料理の真の姿を国内・海外に発信すべく、京都市内に拠点を置く日本料理店の店主や調理学校関係者らが設立した。設立当時、日本料理が世界的なブームになりつつあるなかで、海外では、衛生面に関する情報が不足しており、日本料理への誤解が生じかねない状況であった。一方、日本国内における日本料理人は、世界の情報から隔絶された状況にあり、若いやる気のある料理人たちの閉塞感が高まっていた。
 これらの状況を打破するために、「日本料理の世界的な理解促進」と「次代の日本料理への貢献」を柱に据えて活動を開始した。「日本料理の世界的な理解促進」の見地からは、海外の一流シェフを招いた日本料理研修事業・海外での日本食文化紹介事業を開始し、日本料理や日本文化を海外で伝承する人材の育成に注力している。「次代の日本料理への貢献」の見地からは、京都市教育委員会と連携した地域食育事業を開催し、京都の子どもたちが日本料理の継承者として育っていくことを推進している。

主な活動内容

1.地域食育事業
  • 京都市立小学校での食育事業の実施
  • 北海道利尻・礼文島にて「親子昆布たんけん隊」協力
  • 若狭町日本一の給食コンテスト協力
  • 京都大学での、「本物のダシを味わうことは教養である」事業への参画
2.日本料理コンペティションの開催
3.日本料理フェローシップの実施

2 主な教育関連事業の紹介

事業名称 京都市立小学校での食育事業の実施

京都市教育委員会との連携

 2005年の食育基本法施行を受け、京都市教育委員会に対して学校教育のなかで食育を位置づけてほしいと働きかけた結果、2006年1月から京都市教育委員会からの委託事業として京都市立小学校での食育事業を開始した。
 現在食育事業を実施するモデル校は17校あり、2年ごとに京都市教育委員会から対象となるモデル校が指定される。授業は主に小学校の家庭科・総合学習の時間を活用した公開授業形式で、プロの料理人である日本料理アカデミー会員がゲスト講師として食の指導を行う。2010年は小学3~6年生の児童、およそ100人が授業を受けた。

モデル学校での食育授業の様子
モデル学校での食育授業の様子 

京都の地域性・特性を生かした食育学習

 授業は主に3つの柱で構成されている。1つ目は、日本料理に欠かせない「だし」を使った「味覚教育」である。味を理解するにあたって五感の重要性を説明したのち、日本料理の基本となる「だし」を使って味わい方を学ぶ。昆布だし、かつおと昆布のあわせだし、水に薄口しょうゆを加えたものを飲み比べ、だしのうまみや香りを体験させる。
 2つ目が「食材教育」である。京野菜をはじめとする料理の材料となる食材を取り上げ、だしを生かした旬の地元野菜の調理方法を学ぶものである。3つ目に「調理教育」がある。調理教育は実習型の講義であり、プロの指導のもとで例えば大根の桂むきや、茶碗蒸し、お浸しづくりに子どもが挑戦する。これら3つの柱をもとに、日本料理の良さや食文化を理解し、食の大切さやだしの魅力、さらにはおもてなしの心や作り手に対する感謝の念を伝えることを目的としている。

京都市全域で食育事業を展開するために

●実践事例集を作成

 京都市内の市立小学校は全部で179校あるため、京都市教育委員会から指定されるモデル校の数では京都市内全域で授業を展開することが難しい。またモデル校に出向く日本料理アカデミーの会員は、本業の合間をぬってボランティアとして参加しているため、授業を頻繁に継続して実施することも難しい。これらの問題を解決するために学校の授業で取り入れやすく、かつプロの料理人ではない学校の教員が実践しやすいカリキュラム・DVD(「日本料理に学ぶ食育カリキュラム指導資料集」)を作成した。
 本カリキュラム・DVDでは、例えば家庭科や総合学習の時間での単元例を例示し、具合的な授業展開や指導例のほか、日本料理アカデミー会員による授業のポイント、かつお節や昆布の生産地、畑の様子などを収録し、授業の進行を手助けする内容になっている。

●食育指導員養成講座の設置

 2009年4月より京都市が中心となって「食育支援制度」を設け、食育指導員の養成を行っている。「食育指導員養成講座」全10講座のうち5講座以上受講した者に修了証を発行し、そのうえで実践授業に参画して経験を積んだ受講生を「食育指導員」として認定するものである。小学校または地域の推薦を受けた食育に関心のある方々26人が食育指導員に認定されており、将来的には全市立小学校に配置し食育授業を拡大する方針である。

3 事業の成果と課題

子どもの食に対する意識の変化

 公開授業を通じた最も顕著な変化は、子どもの食に対する意識の変化である。公開授業においては、だしをとった後のかつおや昆布を生かす方法を自分たちで試す子どもや、プロの料理人の包丁裁きに憧れて大根の桂むきに進んで挑戦する子どもの姿が見られる。また、授業後の子どもたちのアンケートをみると、実際に家庭でだしをとってみた、京野菜を使ったおかずを調理してみたという子どもが多い。
 教員からも給食で野菜を残す子が減った、今まで嫌いだった食材をおいしく食べられるようになったなどの報告が寄せられている。さらに、授業を参観した保護者から、手間をかけて、一からだしを取って料理することは愛情をかけることだと実感し、食育の大切さを見直したいという感想が寄せられるなど、親子で食について考えるきっかけが生まれている。

プロの料理人と子どもたち
プロの料理人と子どもたち 

会員にとっても刺激に

 公開授業に参加する会員は、授業のなかで、例えば、だしをとるのに適した温度の見分け方など、学んできたことを改めて表現することによって、これまで体得した文化や伝統の素晴らしさを振り返る良い機会になっている。

新たなネットワークの広がり

 2006年5月には、日本料理アカデミーをはじめ、PTA、学識経験者、学校関係者、教育委員会などによる「日本料理に学ぶ食育カリキュラム推進委員会」を設立、続いて6月には食育カリキュラム作成部会が発足した。また京都市民や保護者を対象としたシンポジウムの開催に加え、大阪府や福井県からの講演依頼、他県の日本料理アカデミー会員からノウハウを提供してほしいといった依頼などがきており、活動に広がりがみえてきた。

プロ料理人と連携した初の食育事業を実施するために

●設立初期の課題――カリキュラム作成に至るまでの議論

 日本料理アカデミー会員約20名が、公開授業のカリキュラム作成メンバーに加わった。検討会は各料理店の閉店後から深夜まで、「小学生段階の指導内容として何を柱とするのか」「食材や指導資料はどうするのか」「学校の先生は、私たちアカデミー会員の思いをどれだけ理解してくれるのだろうか」などの議論が続けられ、一つのカリキュラムが作成された。議論を重ねて作成された指導案で実施した公開授業では、多くの日本料理アカデミー会員がスタッフ、あるいは評価者として参加し、授業の流れや指導内容、学校との連携の様子などのチェックを行った。
 公開授業の実施は、モデル校の教員にとっても初めての経験であり、教員のなかには当初教育要綱で決められたカリキュラムを滞りなく実施できるのか懸念を示す人もいた。しかし、実際に授業を通じての子どもの感動や新たな反応、本物の日本料理の心を伝える試みに共感してくれ、京都市教育委員会と連携した取り組みを進めることができた。

自分で挑戦してみる子どもたち
自分で挑戦してみる子どもたち 

一過性ではない継続した活動を続けるために

●日本料理アカデミー側の人員不足

 ゲスト講師として参加する会員は、全員無給のボランティアである。公開授業を担当する時間帯は店を閉めなければならないことから、時間的制約や金銭的制約から活動に参加できない会員がいる。2~3名のゲスト講師の確保には毎回苦労している。会員の多くが参加できる活動として公開授業を継続的に実施するために、一定の報酬を出すことも考える余地がある。

●食育カリキュラムに対する市教育委員会との意識の違い

 日本料理アカデミーとしては、取り組みに広がりを持たせるために、一度公開授業を実施した学校で継続的に授業を行いたい。しかし、教育委員会の方針としては、公平性の観点から京都市内の多くの学校に行ってもらいたいとの思いがあり、授業実施の方針について必ずしも合意形成が図られていない。公開授業後も、目指す取り組みを継続するために、食育指導員を活用した自主授業の開催などを今後検討していきたい。

●食育指導員の活用はいまだ途上

 日本料理アカデミーが実施する授業や講座の担い手となることを期待して京都市の食育指導員の養成を支援してきた。しかし、行政内で食育指導員制度管轄部署の組織改組などで引継ぎが上手くなされていなかったこともあり、食育指導員と日本料理アカデミーとの連携事業は行われていない。食育事業に指導員が参加してもらえるよう働きかけは行っているが、名簿の開示が難しいこともあり、事前の確認ができないなど、手続き面で意思疎通が図れず、食育指導員との連携にはまだまだ壁がある。

4 今後の展望

食育指導員を活用した自主授業の開催

 今後、食育に関する自主事業を増やし、京都市の他の地域でも展開していきたい。展開にあたって鍵になるのは、食育指導員や地域のシニア世代の存在である。地域のシニア世代が伝統や家庭の味をボランティアとして子どもに継承できる仕組みづくりを行うことが、今後の活動の継続に必須である。

(ヒアリング応対者:事務局 遠藤 文氏)

 今の小学生も、20年たてば親になり、40年後に、おじいちゃん、おばあちゃんになる人が出てくる。事業を確実に継続していくことで、50年後に、今より少しでも家庭、環境、地域、社会が良くなっていれば、それがこの事業を行った意義だと思う。正解か間違いかは分からないが、今正しいと思うことをやっていくこと、そして継続していくことが重要である。

お問合せ先

生涯学習政策局生涯学習推進課民間教育事業振興室

(生涯学習政策局生涯学習推進課民間教育事業振興室)

-- 登録:平成24年02月 --