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超高齢社会における生涯学習の在り方に関する検討会(第1回)議事要旨

日時

平成23年9月26日(月曜日)10時00分~12時00分

場所

東海大学校友会館「富士の間」

出席者

委員

秋山委員、石川委員、市川委員、内海委員、菊池委員、清原委員、澤岡委員、末竹委員、高畑委員、多田委員、來生新氏(二宮委員代理)、馬場委員、樋口委員、堀田委員、堀委員、牧野委員

オブザーバー

(内閣府)
 小林政策統括官(共生社会政策担当)付参事官(高齢社会対策担当)

(厚生労働省)
川又高齢労働省老健局振興課長

文部科学省

城井文部科学大臣政務官、坂東生涯学習政策局長、伊藤大臣官房審議官(生涯学習政策担当)、笹井男女共同参画学習課長、塩見社会教育課長、横田家庭教育支援室長、新木社会教育官 村田生涯学習官 他

議題

超高齢社会における生涯学習及び社会参画の現状と課題

概要

(1)座長・座長代理の選任を行った。

(2)検討内容の公開について、資料3の超高齢社会における生涯学習の在り方に関する検討会の検討内容の公開について(案)のとおり決定した。

(3)事務局より、本検討会の趣旨説明及び、資料4の我が国の高齢化の現状と課題、資料5の学び及び社会参画に関する課題についての説明を行った。

(4)超高齢社会における生涯学習及び社会参画の現状と課題について検討を行った。

(主な意見)

  • 日本では人生50年、60年という時代が長く続いたけれども、現在は人生90年、100年という時代になっており、自分はネガティブなイメージのある高齢社会ではなく長寿社会という言葉を使っている。人生が倍近くになっているというだけではなく、生き方にも自由度が出てきた。人生90年、100年の時代になると、社会規範も昔と比べて少し緩くなり、人生を自分で設計していく時代になった。人生が長くなったと同時に自分で人生を設計して生きていくということは大きな変化である。
     そこで生涯学習が非常に重要になってくる。人生90年、100年あれば、仕事も1つではなく複数やることもできる人生多毛作時代になったと言える。若年者の場合、一律な教育を行うことができるが、人生の後半ともなると、健康や経済状態、ライフスタイル等も多様化しており、その中で、個々人が必要な生涯学習を選択できるよう場所の設定や方法などについて工夫が必要となる。
     全国の60歳以上の高齢者の生活がどのように変化しているのか調査を行ったところ、男性の高齢者が健康であり続ける背景に「団体に所属して、活躍している」という要因があった。高齢者は貴重な社会資源であり、これからの地域社会を担っていくのはリタイアした後の高齢者である。これからの個人あるいは社会の質を高めていく上で、生涯学習は重要である。
  • 学校の空き教室を使用して、デイサービスを行った際に、校内放送をデイサービスで使用している教室だけ切ることができないということがあった。ところが、お年寄りたちは、子どもや孫の声が放送でいつも聞こえてくるということで評判が良かった。
     もう1つの事例は、65歳以上の独り暮らしの高齢者を学校に招待するという取り組みを社会福祉協議会と協力して行ったときである。子供たちと一緒に給食を食べて、レクリエーションをしたところ、子どもとのかかわりが生まれ、生きがいを感じたという高齢者もいた。高齢者の学習に関して、良い施設を作ってたくさん高齢者を集めても、高齢者だけではなかなか元気はでない。できれば、子どもたちと一緒に学習できるようにする必要がある。
     それから、勉強ではなく福祉の面からの支援を必要としている家族は全国にたくさんいる。学習の場に来ることのできる高齢者だけでなく、来ることのできない高齢者への支援も考えていかなくては、机上の空論になってしまう。
  • 高齢者大学では、特に男性の方が地域のことをもっと知りたいという目的で入学し、自分がやることを見つけて地域に戻って活躍するというつながりが作られている。そのような仕組みを作るためにも、全体で学習するプログラムよりもグループで行うプログラムを中心に、関心のあるテーマで学習を行えるように工夫をしながら行っている。
     学習をとおして生きがいを持ち、地域の中で新しい人間関係をどのように作っていくのかが課題である。やはり仲間がいなければ、なかなか一歩踏み出して地域に出て行くことができない。そういうところをなるべく、プログラムや運営の中で工夫しながら進めていきたいと思っている。また、現役の大学生と合同ゼミを行っており、若者と高齢者との交流をとおして、若者の価値観が変わり、高齢者も若者に対する考え方が変わっていった。世代間をつなげるようなプログラムの工夫が大切だと思う。
  • 私は団塊の世代であり、同級生から、「退職して地域活動に参加したいと思っているがどうやって参加すればいいのかわからない」といった話をよく聞く。長寿社会において男性がどのようにやっていくのかが気になるところである。
     女性はどちらかと言えば、高齢社会において、経済的な自立という面では気になるが、社会的にも地域的にも活躍できている。男性の方は退職するまで家庭や学校や地域に関わっていないので、定年後に突然、地域に入っていこうと思っても、何をどうしていいのかがわからないようである。もっと早い時期、例えば30代、40代のときに地域活動であったり学校やPTA活動などに参加した方が良いのではないか。もっと早い時期から老後を含めた自分の人生設計をどうするのかといったことを学習したり、働いているときや子育てしているときから地域活動やPTA活動に参加しておくことが必要である。
  • 高齢者の生涯学習を考えるときに、福祉の観点は重要である。健康な高齢者と心身機能が衰えていく高齢者の生涯学習をどうしていくべきなのかが課題である。
     また、福祉、生活保障というような観点で考えてみると、これから年金の受給年齢が上がる可能性がある中で、これまでのような自分の生きがいや趣味といったことだけではなく、社会に役立つような、働き続けられるスキルを高齢者も身につけて行かなくてはいけない。
     高齢者を人的資源と捉えたときに、特に福祉の分野で全国的なネットワークがある老人クラブの再活性化という観点も重要だと考える。
  • 生涯学習においては、暮らしや様々な活動の実践とのマッチングというものが重要になってくる。コミュニティ・スクール型の小中学校においては、授業支援やクラブ活動支援なども高齢者や退職者が学習を踏まえつつ指導にあたり、自己実現を行っている。学校教育と生涯学習の連携というのも、これから可能性があると思う。
     また、これまでのようにどこかに集まって行う学習ではなく、学びや出会いを届けることが重要ではないかと考えている。地域ケアネットワークの一環として、自宅や施設にいる高齢者を訪ねて話を聞くという傾聴ボランティアというものを養成しており、相互に生きがいを見いだしている例もある。
     学習者の主体性を尊重したコーディネートが生涯学習行政に求められている。高齢者を対象にした学習講座や一般の学習講座でも自主的なグループが生まれるときの支援というのが重要になっていく。すべて行政がサービスするのではなく、市民参加主体のコーディネートが益々重要になってきている。また、学習分野は固定すべきではなく、スポーツなど様々なものを含めるべきである。
     最後に、長寿社会の生涯学習においては、地域というキーワードが重要である。町会、自治会、住民協議会や地域ケアネットワーク、災害時要援護者支援事業は、市長部局と教育委員会で主として取り組んでいる。生涯学習行政が連携していく中で、地域の学びと実践、暮らしと支え合いが実現していくものである。地域というキーワードを、東日本大震災を踏まえて意識することが生涯学習の中身を豊かにする。
  • 家庭が第1の居場所、職場や学校などを第2の居場所とすると、それに続く第3の居場所をどのように見つけていくのかということが重要になってくる。第3の居場所に必要なものは、心地よいかどうか、楽しいかどうか、さらに、好奇心が満足できる場所であるのかどうか、ということである。それから、人間関係があることや他者との関係の中で生まれる有用感や役割意識を見出せるということが重要なのだと感じている。
     前期高齢期で元気な人の生涯学習や社会参画についての議論が多くあるが、そこで得られた居場所や仲間、活動といったことを、後期高齢者となって段々と身体能力が少しずつ低下していく中でどのように継続していくのかという議論も大切。
     男性は特に学びや好奇心といったキーワードだと、生涯学習や社会参画へのハードルが低くなるので、生涯学習プラス地域での役割意識を見いだしていくような市民大学が非常に大きな可能性を秘めていると思う。
  • シルバー人材センターは、就業活動、ボランティア活動・サークル活動等を含めた社会参加活動を通じた高齢者の生きがいや地域社会への貢献を目指している。また、シルバー人材センターでは傾聴ボランティア、草取りや買物などのボランティア、ワンコインサービスなどを行っており、老々介護にも力を入れている。
     また、異世代交流という点では、育児支援などを行っており、空き店舗等を借りて、高齢者の知識と経験を生かしながら、子どもの一時預かりや若い親の悩み相談を行っている。また、幼稚園生や小学生との遊びを通じての世代間交流も行っている。このような活動には、様々な講習が必要となってくる。
     就業活動は、臨時・短期的で軽易な仕事を行っており、収入は年30万円くらいになる。このような就労による収入で孫に買ってあげたり、自分の買物をするなどの生きがいも持てている。更にサークル活動も行っている。
  • 社会に貢献をすることによって自分たちが健康になり、生きがいを持ってもらうという目的でアクティブシニアライフクラブを設立した。自分自身が健康になり、生きがいと友達を得られるということでみんな喜んでやっている。生涯学習が盛んで、勉強熱心な人がたくさんいるけれども、勉強だけで終わってそれを実行しない、自分たちの生活に学んだことが生かされていないこともある。
     この検討会で2つのことを提案したいと考えている。1つ目は、知識を授けるような生涯学習の時代ではないということ。ITを使えば世界の情報を瞬時に持てる時代であり、それをやっていては意味がないのではと思う。現在は社会の大転換期であり、どういう価値観を持つのか、生き方、ものの見方、考え方をもう一度身に付ける教育をしっかりとやり直すことが必要である。
     2つ目は、学んだことを自分のこれからの人生に生かしていき、社会のために働いて元気に死んでいくシニアになれるように生涯学習の在り方を考えるべきだと思う。社会のために参加して第二の人生をしっかりと作っていきたいと考えている人に対して、一緒にやりましょうと言うことのできるリーダーやインストラクターのような人を生涯学習によって育てることができたら、社会が大きく変わると思う。
  • 今後、自治体では急速な高齢化に伴い、生活保護費や介護保険費等の増加などによって、財政面が難しくなることが予想される。財政面からの解決も必要であるが、地域の力をどのように引き出していくのかが必要になってくる。そのような理念をキーワードにすると「共育」「共働」という言葉になる。共育というのは人に教えるばかりではなく自分も育っていくこと、共働というのはみんなで実践していくということである。
     自治体では、子どもの人間関係が希薄になってきているので、放課後の教室や運動場を使って人間関係を作ってもらおうということをやっているが、参加しているお年寄りにとっては、小学生と付き合うことが生きがいになってきている。
     生涯学習を進めていく上で、一番に必要になってくるのがコミュニティである。地域コミュニティがしっかりしていると、色んな施策を支えてくれる。世代間を通じてお互いに共感できるところを持ちながら共に努力することができる。これから、人口構造が変わる中で、コミュニティの在り方がどんどん変わってしまう。近代的なコミュニティに古いものも取り入れていくことが必要だと考える。
  • 制度的な生涯教育と家庭ないし個人における生涯教育の違いがかなりあるのではないかと思っている。どちらの側面にウエイトを置いて議論するのかということを区別しておく必要がある。家庭ないし個人における生涯教育は、死ぬまで自己開発の努力を積み重ねる何らかの契機を与え続けることが大事になってくる。
     放送大学は、職業人として活躍しながら、昔勉強したことをブラッシュアップし、新しい知識を得ることを目的に生涯学習をやっている人もいるし、リタイアした後でその後の時間をどのように使うのかといったことで生涯学習をやっている人もいる。
     放送大学では、職業生活を通じて社会に還元するのではなく、新しい公共の担い手として、直接地域社会に貢献できるような人材を養成する博士課程について検討しているところである。地域社会のオピニオンリーダー、旗振り役を養成するような博士課程を作ることにより、生涯学習を担う国の組織である放送大学の責務を果たせることができるのではないかと思う。
  • 近年、高齢者大学を受けようという人が少なくなってきている。その原因は色々あるが、団塊世代の意識の変化が大きいと考える。団塊世代は、時間に縛られるのが嫌だったり、地域意識が希薄であることなどが指摘されている。また、高齢者大学を受けようとする人が少なくなってきている理由として、趣味の多様化、カルチャーセンターや一般大学での公開講座などの影響もあると思う。様々な学習機会があるのは良いが、実態が把握しにくくなってきている。
     高齢者大学の数が減ってきているのが、財政状況によるものなのか、受講生数の減少によるものなのかについては、分析が難しい。しかしながら、生涯学習の施策は財政が厳しいところでカットの対象になりやすいという影響はあると思う。私が危惧しているのは、地域活動をやりたいと思っている人が少なくなってきているのではないだろうかということである。地域活動について話をすると拒否反応を示す学生も増えてきている。
  • 「人生100年すべての人に居場所と出番」という言葉を使っているが、戦後の寿命の延び方、長寿の普遍性といったものほど人類社会にとって大きく変わったことはないだろう。人生100年社会にふさわしい社会のためには、学習や教育、雇用のシステムを変えなくてはいけないが、認識の形成の基本である学習の場が特に重要だと考える。明治以来の日本の義務教育を始め、社会全体のシステムが人生50年を前提に考えられていた。
     高齢者の生涯学習については、第二の義務教育のように、60歳くらいから知っておくべき社会保障の在り方などの学習に、一定年齢以上の全員が参加し修了証明書を持つくらいになればと思っている。これからは、地域を中心に社会の縁をつくる生涯学習、社会の縁を育てる生涯学習をキャッチコピーとしていきたい。そして、地域のノーマライゼーションは、学習を通して作っていくということを考えると、世代間交流は、絶対に落としてはいけないキーワードである。
     50年前の義務教育を受けたのが今の高齢者であり、今は、50年前に受けた学校教育の成功と失敗が明らかになってきていると思う。男性高齢者の生活自立度がある年齢を超えるとガクリと落ちているが、性別のジェンダーを前提とした長い間の教育が、男性の高齢者の自立度の低さに結果として現れてきているからだと考えている。これからの子ども達が人生100年時代を生きていくためにどのような学習が必要なのかについても検討できればいいと思う。
  • 「新しいふれあい社会の創造」を旗印に、高齢者と子ども達が支え合うボランティア団体づくり、子ども、学生、生徒達にボランティアパスポートなどによるボランティアのススメ、働いている人の名刺の裏に自分のやっている地域活動を書こうという運動、子どもからお年寄りまでが自然に集まれる居場所を全国に広めようという活動を行っている。
     ここでは、3つの提言を行いたいと考えている。1つ目は、学習の目的は自己実現であるということであり、特に高齢者は、深い経験に基づく能力を伸ばし、それを社会に生かしていくことが必要である。2つ目は、学ぶ前提となる考え方として、社会貢献することや働くことは第2の人生における権利であり義務であるということである。社会貢献や働くことは義務であるという踏み込んだ考え方を確立してもいいと思う。3つ目は、社会経験を基礎とした学習が大事だということ。高齢者になると社会経験を積んで色々なことを学んでいる。それが社会や地域で生かされずに、そのまま消えてしまうのは大いなる社会的損失である。どのようにして能力を引き出し、社会に生かしていくのかということを考えて欲しいと思う。
  • 介護予防活動という形で行われている厚生労働省系の学習と比較すると、文部科学省系の学習は少なく、高齢者を対象とした教育施策は廃止、縮小傾向にあることを踏まえておく必要がある。文部科学省が高齢者教育を推進していくにあたり、福祉やリハビリテーションの論理とは異なる論理が必要である。
     学校教育ではカリキュラムがあるが、高齢者学習の場合は一つ一つ内容の開発をしていく必要がある。現在、高齢者学習の内容をどのように組み立てていくのか、方法論や指導者についての研究が行われていない。高齢者のニーズは何なのか。ふさわしい方法と指導者の在り方、これらの根本的なところから点検していく必要がある。
     高齢者学習を行う上では、40、50代から60代前半のプレ高齢期、60代後半から70代くらいの高齢期、そして後期高齢期という三層において、それぞれ高齢者の問題を学習の視点から考えていく必要がある。
     また、高齢者のジェンダー問題も大きな問題になってきている。男女の役割分業意識みたいなものを持って学習の場に出てくる人がいる。企業や学校という場ではある程度、男女共同は浸透しているが、過去の時代の因習を引き継いで高齢期を迎えた人達の地域活動における男女共同参画の問題はあると思う。
  • 日本社会が大きく転換しており、高齢化だけでなく、少子化、人口減少の三点セットで考えていく必要がある。また、従来の経済や社会構造の在り方が変わっているということに関して、高齢者教育というものを切り口にしながら、社会システムを考えていくべきである。
     自己実現の話が他の委員からあったが、高齢者が生きがいを持って、次へ次へと社会に出て行こうとするような、高齢者が駆動力を持っている社会づくりを考えなくてはいけない。検討会では短期的なのものと中期的なもの、そして将来にわたる長期的なものという形で構想がでてくると良いと思う。
  • 若い人がたくさんいて高齢者が少数のときの時代にできたインフラでは、超高齢社会のニーズには対応できない。色々なインフラを作り直さなくてはいけないが、それは交通や住宅などのハード面だけではなく、医療や福祉、教育といったソフト面でのインフラづくりが大きな課題である。これは高齢者だけを対象にするのではなく、子ども時代からの教育の新しい視点が生涯学習には必要だと思っている。

お問合せ先

生涯学習政策局男女共同参画学習課

(生涯学習政策局男女共同参画学習課)

-- 登録:平成23年11月 --