法律又は政令の名称 |
特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律の一部を改正する法律案 |
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規制の名称 |
登録施設利用促進機関としての登録を受けようとする者に対する申請の義務付け |
規制の区分 |
改正(拡充) |
担当部局 |
科学技術・学術政策局研究環境課 |
評価実施時期 |
令和5年1月 |
[1] 規制の導入に伴い発生する費用が少額
[現行法の概要]
特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律(平成6年法律第78号。以下「法」という。)は、多額の建設費を要する大規模な研究施設であって、先端的な科学技術の分野において比類のない性能を有し、広範な分野における多様な研究等に活用される先端大型研究施設(法第2条第1項)について共用を促進するための措置を特別に講ずることを内容としている。具体的には、先端大型研究施設のうち特定施設先端大型研究施設(同条第2項)の共用の促進に関する業務を当該施設の設置者である国立研究開発法人の業務として規定するとともに、当該業務のうち施設の利用者の選定等の業務(以下「利用促進業務」という。)を文部科学大臣の登録を受けた者(以下「登録施設利用促進機関」という。)に行わせることができることとしている。ここにおいて、文部科学大臣の登録は、特定先端大型研究施設ごとに、利用促進業務を行おうとする者の申請により行うこととされている(法第8条第2項)。
登録施設利用促進機関の登録制度は、登録の要件を法令において可能な限り具体的かつ明確に定め、申請者が当該要件に適合しているときは、国はすべからく登録をしなければならないというものであり(法第11条第1項)、登録に当たって行政庁たる文部科学大臣に裁量がないことを特徴としている。特定先端大型研究施設の設置者の業務のうち利用促進業務を登録施設利用促進機関に行わせることとしているのは、利用促進業務は公正性・中立性が特に求められる業務であって、自らも研究等を行う主体である設置者(国立研究開発法人)ではなく、上記の手続により登録を受けた第三者的な機関である登録施設利用促進機関に行わせることが適当であるからである。
[本改正案の概要]
特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律の一部を改正する法律案(以下「本改正案」という。)は、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(以下「量研」という。)により設置される放射光施設(NanoTerasu)を特定先端大型研究施設に追加することとしている。NanoTerasuの追加に伴い、設置者である量研の業務としてNanoTerasuの共用に関する業務が追加されることとなるが、当該業務のうち利用促進業務については、他の施設の場合と同様に、設置者である量研ではなく登録施設利用促進機関に行わせることができることとしている。
NanoTerasuについて登録施設利用促進機関としての登録を受けようとする者については、他の特定先端大型研究施設と同様に、法第8条第2項の規定により申請を行うことが義務付けられることとなる。
[規制の新設又は改廃を行わない場合に生じると予測される状況]
登録の前提となる申請の義務付けを行わない場合には、文部科学大臣は自らの裁量によって相手方を選択して登録を行うことができるようになってしまう。このような手続により登録された者によって利用促進業務が実施される場合には、公正性・中立性が担保されないこともあり得るため、登録制度の趣旨との関係で適当でない結果となる。
また、他の特定先端大型研究施設について登録を受けようとする者には申請が義務付けられているにもかかわらず、NanoTerasuの登録施設利用促進機関についてのみ異なる取扱いをすることは、法制的な合理性の説明が困難である。
さらに、仮に登録を受けようとする者に申請を義務付けなかった場合には、文部科学大臣は、登録の要件に合致し、かつ、利用促進業務を行う意思を有する者を自ら見つけ出さなければならなくなり、行政コストが増大することが予測される。
[課題及びその発生原因]
登録施設利用促進機関に係る登録制度は、「公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画」(平成14年3月29日閣議決定)において、公益法人が国の代行機関として行う検査等の事務・事業については、法令等で明示された一定の要件を備え、かつ、行政の裁量の余地のない形で登録された公正・中立な第三者機関に実施させるものとされていることから、平成18年の法改正時にそれまでの指定法人制度を改める形で導入されたものである。利用促進業務の公正性・中立性を担保するためには、上記のような手続で登録された者に業務を実施させる必要があることから、登録を受けようとする者に対して、登録の前提となる申請を義務付ける必要がある。
[規制以外の政策手段の検討]
先述のように、登録の前提となる申請の義務付けを行わなかった場合には、文部科学大臣は自らの裁量によって相手方を選択して登録を行うことができるようになってしまい、登録制度の趣旨との関係で適当でない結果となってしまう。
[規制の内容]
量研により設置される特定先端大型研究施設について登録施設利用促進機関としての登録を受けようとする者については、他の特定先端大型研究施設と同様に、法第8条第2項の規定により申請を行うことが義務付けられることとなる。
【遵守費用】
法第8条第2項の規定により申請をする者において、申請に関する書類の作成費用として105,200円(※)の遵守費用が発生する。
※ 平均給与額(年間)÷年間総労働時間(事業所規模30人以上)=申請者の時給
4,433,000円÷1,685時間=2,630.861≒2,630円
(平均給与額については、国税庁「民間給与実態統計調査」(令和3年)、年間総労働時間については、厚生労働省「労働統計要覧」(令和3年度)による。)
申請書作成に要する時間を5営業日(40時間)と仮定
2,630円×40時間=105,200円
既存の特定先端大型研究施設(SPring-8、富岳及びJ-PARC)における申請件数の実績はいずれも1件となっているため、NanoTerasuについても申請件数は1件であるものと仮定
105,200円×1件=105,200円
【行政費用】
申請の受理及び審査を行う文部科学省において、申請書類の確認等に要する人件費として36,800円(※)の行政費用が発生する。
※ 平均給与額月額÷ひと月当たり勤務時間=申請書類の確認等を担当する職員の時給
405,049円÷176時間=2,301.414≒2,300円
(平均給与月額については、人事院「国家公務員給与等実態調査」(令和4年)における行政職俸給表(一)の適用を受ける職員の平均給与月額、ひと月当たり労働時間については、1日8時間の勤務をひと月当たり22日間(176時間)実施する仮定による推計。)
申請書類の確認等に要する時間を2営業日(16時間)と仮定
2,300円×16時間=36,800円
遵守費用と同様の理由により、申請件数は1件であるものと仮定
36,800円×1件=36,800円
本改正案は、規制緩和に該当しない。
本改正案による副次的な影響及び波及的な影響の発生は、想定されない。
特段活用していない。
本改正案の施行後5年以内に、事後評価を実施する。
なお、本改正案が制定・公布された場合には、令和6年4月から施行することを検討している。
・法第8条第2項の規定による申請の件数
・法第8条第2項の規定による申請を行った者が支出した当該申請に係る人件費の概算
以上
法律又は政令の名称 |
特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律の一部を改正する法律案 |
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規制の名称 |
登録施設利用促進機関としての登録を受けようとする者に対する申請の義務付け |
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規制の区分 |
改正(拡充) |
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担当部局 |
科学技術・学術政策局研究環境課 |
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評価実施時期 |
令和5年1月 |
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簡素化した規制の事前評価の該当 | 簡素化した規制の事前評価の該当要件 [1] | |
規制の目的、内容及び必要性 |
[現行法及び本改正案の概要] |
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直接的な費用 |
遵守費用 |
105,200円 |
行政費用 |
36,800円 |
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その他の関連事項 |
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事後評価の実施時期等 |
本改正案の施行後5年以内に、事後評価を実施する。 |
科学技術・学術政策局研究環境課