政策目標4 個性が輝く高等教育の振興

概要

 「知識基盤社会」において、我が国が活力ある発展を続けていくために、高等教育を時代の牽引役として社会の負託に十分応えるものへと変革する一方、社会の側がこれを積極的に支援するという双方向の関係を構築する。

主管課(課長名)

 高等教育局高等教育企画課(浅田 和伸)、大臣官房文教施設企画部計画課(山下 治)

評価

 高等教育は、個人の人格形成の上でも、社会・経済・文化の発展・振興や国際競争力の確保等の国家戦略の上でも極めて重要であるが、国公私立大学を通じた競争的な環境下で、大学の組織的な教育改革に関する新たな取組や社会的要請に対応した取組を支援し、そこで得られた成果を広く一般に普及させることにより、教育の質の向上・保証を促すための重要な役割・機能が効率的に果たされている。具体的には、優れた若手研究者の育成機能の強化や国内外の大学・機関との連携の強化に向けた取組が各大学において実施され始めている。また、大学の国際競争力の強化と国際的に活躍できる人材を育成させるために、英語による授業のみで学位が取得できるコースの充実をさせる等、我が国の大学の国際化が促進されている。さらに、公的な質保証システム(設置基準、設置認可審査、認証評価)は、制度が浸透し、順調に進捗している。
 以上のことを総合的に勘案し、本政策目標に係る取組は想定どおり達成された。

24年度実施施策の取組状況

○大学などにおける教育研究の質の向上 (施策目標4-1)
 大学等の教育研究を支える基盤を強化しつつ、特色ある発展に向けた取組などを支援することや、事前・事後の評価の適切な役割分担と協調を確保すること等により、大学等の国際化や教育研究の質の向上・保証を推進することが重要である。
 社会の要請に応じた人材育成の体制構築については、口蹄疫等家畜伝染病に対応した獣医師育成環境整備事業において、平成24年度171名(平成23年度は9名)の学生が本事業で開発した実習プログラムに参加するなど、全国の獣医系大学の学生の実習機会の確保が図られている。
 大学の国際競争力の強化と国際的に活躍できる人材の育成について、「大学の国際化のためのネットワーク形成推進事業」選定13大学において、英語による授業のみで学位が取得できるコースを平成25年度4月現在までに155コース(学部32、大学院123)新設。平成23年度までに、同事業において設立した我が国の大学が共同で利用できる8カ所の海外大学共同利用事務所が、平成24年度においても活発に活動を続けている等、我が国の大学の国際競争力の強化と、国際的に活躍できる人材の育成に寄与する取組が順調に進展している。
 設置後の大学の組織運営や教育研究活動などの状況を定期的に事後確認し、各大学の継続的な教育研究の質の向上に資するため、全ての国公私立の大学に7年に1回、認証評価(第三者評価)を実施することを義務づけている。本制度が平成16 年に発足してから、7年間の第一サイクル最終年度である平成22 年度末時点において、廃止を決定した大学を除く全ての大学の評価が実施されている。第二サイクルにおいては、平成24年度までに合計134 校(目標値1078校の12.4%)が認証評価を受審し、制度の実施が、順調に進捗している。
 大学における教育内容・方法等の改善・充実については、引き続き学生や社会から期待されるニーズの多様化に積極的に対応しつつ、教育研究の質を確実に向上・保証させていく取組を推進するとともに、それらの取組を積極的に発信していく必要がある。
 また、大学の質・量の充実を図るためには、今後とも大学が自らの判断で社会の変化等に対応して多様で特色ある教育研究活動を展開しつつ、大学の質も十分に保証されるよう、大学の設置前及び設置後を通じた大学の質の保証に係る方策の在り方について、質保証に関係するシステム(設置基準、設置認可、認証評価等)間の相互の連携も含めて、検討することが必要である。

○大学などにおける教育研究基盤の整備(施策目標4-2)
 モニタリングとしたため、モニタリング結果を参照。

25年度以降の政策への反映方針

○大学などにおける教育研究の質の向上 (施策目標4-1)
・達成目標1
 順調に進捗しており、国公私立大学を通じた競争的な環境下で、大学の組織的な教育改革に関する新たな取組や社会的要請に対応した取組を引き続き支援することにより、教育の質の向上・保証を促すための重要な役割・機能を果たしている。また、更なる大学教育の質の保証と向上を促進するための一つとして、全学的に教育改革の基盤となる取組(教育情報の公開、GPAの導入 等)について、各大学に対し自主的な取組を促し、学長のリーダーシップの下、特色ある教育改革を実施する取組を支援する事業の実施について検討を行っているところである。
・達成目標2
 着実に進捗しているが、成果指標について実績値の把握に努めるとともに、今後の更なる充実を図るため、達成手段に掲げる事業のフォローアップや評価等を行いつつ、RA経費の補助やコースワークから研究指導へ有機的につながりを持った体系的な博士課程教育の構築支援等の取組を通じ、国際的に卓越した教育研究拠点の形成及び大学院教育の実質化を推進する。
・達成目標3
 順調に推移しているが、各事業の一層の充実のため、中間評価や事後評価、各種フォローアップを適切に行い、これら結果を目標の達成に資する取組に活用する。施策の立案にあたっては、当該施策の目標の達成のための具体的な方法・取組について、今後も各採択大学が個別の戦略や工夫に応じた形で裁量を持って実施できるような要件を設定する。徹底した国際化を断行する大学を重点支援する「スーパーグローバル大学」等、必要な施策の立案に際しては、大学の国際化が日本人学生のグローバル化にどのように波及しているのかが把握できるように、適切な調査・措置等を講じる。
・達成目標4
 引き続き大学設置認可及び認証評価について制度の適切な運用を図る。また、大学の設置前及び設置後を通じた大学の質の保証に係る方策の在り方について、質保証に関係するシステム(設置基準、設置認可、認証評価等)間の相互の連携も含めて、大学設置・学校法人審議会および中央教育審議会において検討し、結論の得られたものから制度改正等に取り組む。
・達成目標5
 被災した学生に対する修学支援や、被災地域の復興のための関係大学の取組への支援等、関係事業の推進に引き続き取り組んでいく。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成25年12月 --