政策目標2 確かな学力の向上、豊かな心と健やかな体の育成と信頼される学校づくり

概要

 確かな学力の向上、豊かな心と健やかな体を育成することのできる社会を実現するとともに信頼される学校づくりを進めるため、10の施策によってその目的の達成を目指す。

主管課(課長名)

 初等中等教育局初等中等教育企画課(藤原 章夫)

評価

 実績評価を行った施策のうち、一部の施策目標・達成目標については、依然として十分に達成できたとは言えないものも存在するが、施策目標の多くについて十分な進捗あるいは一定の成果がみられる。

24年度実施施策の取組状況

○(施策目標2-1)確かな学力の向上

 基礎・基本を徹底し、自ら学び自ら考える力などまで含めた「確かな学力」を子供に身に付けさせるための取組などを行った。
確かな学力の育成については、平成24年度において、平成22年度と比較し、授業の理解度や勉強が好きな児童生徒の割合の増加がうかがえ、全国学力・学習状況調査や確かな学力の育成に係る実践的調査研究、新学習指導要領の内容の周知や優れた実践の共有、新学習指導要領を円滑に実施するための教育諸条件の整備等は有効であったと考えられる。
学校図書館の活用を通じた児童生徒の読書活動や学習活動の推進については、全校一斉の読書活動など読書活動推進に関する取組を実施する学校は着実に増加しており、学校図書館の有効な活用方法に関する調査研究の成果の普及が、学校における読書活動の推進に寄与していると考えられる。

 また、学校図書館活動の充実に中心的な役割を果たす司書教諭や学校図書館担当職員が増加し、読書活動等を適切に支援するための環境が整備されつつあるものの、司書教諭や学校図書館担当職員がその役割を十分に果たすことができるよう、その資質向上を図る取組が必要である。

 英語教育の充実については、平成24年度までに新学習指導要領が実施されている小学校、中学校においては、英検3級以上を取得あるいはそれに相当する英語力を有する中学生の割合が順調に向上している。また、高等学校においては、英検準2級以上を取得あるいはそれに相当する英語力を有する高校生の割合は、上昇しているものの、目標値に達しておらず、より効果的な方策を検討する必要がある。

○(施策目標2-2)豊かな心の育成
 他人を思いやる心、生命や人権を尊重する心、自然や美しいものに感動する心、正義感や公正さを重んじる心、勤労観・職業観など、子供たちに豊かな人間性と社会性を育むための取組を行った。また、学校における暴力行為・いじめ等の問題行動及び不登校を解決するため、学校、家庭、地域が連携し、児童生徒の問題行動や不登校の未然防止、早期発見・早期対応につながる取組を進めるとともに、教育相談等を必要とする児童生徒が適切な教育相談を受けることができるよう、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の活用を通じた教育相談体制の整備に関する支援を行った。
 「学校の決まりを守っている児童生徒の割合」が徐々に増加していることや、「人の気持ちが分かる人間になりたい」、「いじめはどんな理由があってもいけないことだ」と思う児童生徒の割合が着実に増加していることから、施策は一定の成果を上げていると考えられる。
一方、いじめ等の問題行動等については、24年度の状況については調査中であるものの、「学校におけるいじめの問題に対する日常の取組のうち、地域の関係機関と連携協力した対応を図った学校数の割合」、「不登校児童生徒数に占める、指導の結果登校する又はできるようになった児童生徒の割合」については、数値が横ばいとなっていることが見受けられる。このため、適切な生徒指導が行われる体制を構築するため、引き続きスクールカウンセラーおよびスクールソーシャルワーカーの配置等教育相談体制の整備充実や、調査研究を通じた生徒指導に関する知見の蓄積を図っていくとともに、教職員の人権感覚を涵養し、いじめの未然防止のため児童生徒が発するサインに対する感性を高め、いじめを早期に発見し適切に対応できる能力を向上するため、いじめの問題に関する教職員への研修等の充実を図る必要がある。

 東日本大震災により被災した児童生徒等に対する心のケアについては、平成24年度において、緊急スクールカウンセラー等派遣事業、及び教職員の加配措置のいずれも各都道府県の要望に対する措置率は100%となっており、地方のニーズに応じた対応をとることができた。

○(施策目標2-3)青少年の健全育成
 モニタリングとしたため、モニタリング結果を参照。

○(施策目標2-4)健やかな体の育成及び学校安全の推進
 児童生徒が心身ともに健やかで安全に成長していくことができるよう、学校・家庭・地域が連携して心身の健康と安全を守ることのできる体制の整備を推進するとともに、児童生徒が自らの心身の健康を育み、安全を確保することのできる基礎的な素養を育成するための取組を行った。

 学校保健委員会の設置率、薬物乱用防止教室の開催率、栄養教諭の配置数、子供の安全対応能力の向上を図るための取組が実施されている学校の割合等が上昇又は上昇傾向となり、「学校保健」、「学校給食・食育」、「学校安全」の各分野において各地域での好事例が創出されるなど、施策は一定の成果を上げているものと評価できる。

 しかし、それぞれの指標はおおむね上昇又は上昇傾向にあるものの、依然として目標値に届いていないものもあるため、今後は、それぞれの背景を踏まえた取組の充実が必要である。

○(施策目標2-5)地域住民に開かれた信頼される学校づくり
 地域や子供たちの実情に応じた教育を可能とする特色ある学校づくりや自主的・自律的な学校運営を実現するとともに、保護者や地域住民が学校運営の状況について把握し、積極的に参画できるようにするための取組を行った。
学校評価に関しては、学校評価ガイドラインの策定や好事例の普及等により、学校関係者評価の実施率が上昇(平成20年度:70.4%→平成23年度:83.9%)しており、また、コミュニティ・スクールに関しては、導入に向けた体制づくりの支援や好事例の普及・啓発などにより、この2年間は設置校数が年に約400校ずつ増加している。

 また、コミュニティ・スクールに関する説明会などは、未導入地域及び設置が少ない地域を中心に60回(23年度34回)開催しており、24年度は新たにコミュニティ・スクールを設置する地域が1県31市町増えるなど、施策は順調に進捗している。
今後は、地域住民に開かれた信頼される学校づくりを全国的に進めるため、学校関係者評価の学校種や設置形態による実施率の差や、コミュニティ・スクール設置の地域的な偏りを解消することが課題である。

○(施策目標2-6)魅力ある優れた教員の要請・確保
 児童生徒や保護者からの尊敬と信頼を得られるような優れた資質能力を有する教員を養成・確保するとともに、能力と実績に応じた評価と処遇を行うことを通じて教員のやる気と能力を引き出すための取組を行った。
初任者研修・10年経験者研修に関して、大学との連携の取組を行っている都道府県・指定都市教育委員会数は前年度と比較してほぼ横ばいであるが、講師派遣・研修教材等の作成において大学との連携の取組を行っているところは平成20年度以降着実に増えており、各地域における教員の養成・採用・研修の各段階を通じた取組が充実され、教員の資質能力の向上が図られている。

 また、教員が最新の知識技能を修得することを目的として実施される教員免許更新制について、それぞれの指標で目標値を達成しており、教員免許更新制の円滑な実施に向けた体制が整備された。
教員評価の結果を人事、給与等へ適切に反映している教育委員会はほぼ横ばいであるが、全ての都道府県・指定都市教育委員会において新しい教員評価システムの運用・充実に取り組んでいる。

今後は、教員研修に関して、研修内容の企画・立案や、大学が開設する講座等を検討して活用している都道府県・指定都市教育委員会数はほぼ横ばいであることから、さらなる連携の改善充実が課題である。

 また、教員免許更新制に関する引き続きの十分な講習の規模確保及び円滑な実施や、都道府県・指定都市教育委員会における、教員評価の結果が処遇等に反映されることも含めた教員評価システムの適切な実施も課題として挙げられる。

○(施策目標2-7)安全・安心で豊かな学校施設の整備推進
 児童生徒が安心して学習することができる安全な学校施設の整備を推進するため、地方公共団体の行う耐震化事業に対して国庫補助等を行うとともに、屋内運動場等の天井等の落下防止対策をはじめとする公立学校施設の非構造部材の耐震対策の推進に着実に取り組んだ。併せて、教育内容・方法の多様化や社会のニーズに対応した学校施設の整備を推進するため、学校施設に関する研究や先導的取組について広く普及・啓発するためのセミナーの開催や事例集の作成・配布を行った。

 これらの施策により、公立小中学校施設の構造体の耐震化について平成24年度補正予算等執行後に約93%に達する見込みであるなど着実な進捗がみられる一方で、地方公共団体によって取組にばらつきがみられたり、非構造部材の耐震対策は構造体の耐震化と比較して遅れているなどの課題もみられる。

 引き続き、地方公共団体への必要な財政支援や技術的な支援、先進事例の普及・啓発等を継続的に実施していくことが重要である。

○(施策目標2-8)教育機会の確保のための支援づくり

 モニタリングとしたため、モニタリング結果を参照。

○(施策目標2-9)幼児教育の振興

 教育基本法第11条の規定を踏まえ、生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児教育の重要性にかんがみ、幼稚園と保育所との連携の強化を図りつつ、その質の向上などのための取組を行った。

 幼稚園における学校評価や幼稚園教育要領の理解促進等を通じた幼稚園の教育活動等の充実については、「学校関係者評価を行っている幼稚園の割合」や「小学校の児童と交流している幼稚園の割合」が着実に増加している。

 また、「幼稚園における子育て支援活動の実施率」及び「預かり保育の実施率」についても、いずれも着実に増加していることや、幼稚園就園奨励費用補助において、幼稚園の就園にかかる第2子以降の保護者負担の軽減につき、引き続き負担割合の引下げ(国の補助率の引上げ)等の措置がなされ、幼稚園への就園機会の充実が図られていることなどから、施策は概ね順調に実施されている。

 一方で、認定こども園については、幼稚園と保育所の制度を前提としており、二重行政であること、財政支援が不十分であること等の課題が指摘されており、認定件数も毎年着実に増加しているものの、未だ909件にとどまり、進捗にやや遅れが見られる。早ければ平成27年度から全面施行する子ども・子育て支援新制度では、幼保連携型認定こども園について、認可・指導監督を一本化すること、認定こども園・幼稚園・保育所に共通する給付である「施設型給付」を創設すること等により、二重行政の解消や財政支援の充実を図ることとしており、今後、新制度の円滑な施行により、認定こども園の設置を促進していく必要がある。

○(施策目標2-10)一人一人のニーズに応じた特別支援教育の推進
 発達障害を含む障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという観点に立ち、一人一人の教育的ニーズに応じた適切な指導及び必要な支援を行うため、教員の専門性向上や、外部専門家の活用を含めた特別支援教育の体制整備を総合的に推進した。本施策を継続することにより、特別支援教育の推進に向け、幼稚園から高等学校までの各段階における支援体制整備の一層の推進、教員の専門性の向上や指導内容・方法等の改善等の効果が達成できる。また、この施策の着実な実施により、一人一人のニーズに応じた特別支援教育の推進が期待される。

 これらの特別支援教育の推進のための取組は、全体として順調に進んでいる。一方、「個別の指導計画の作成」等の障害のある幼児児童生徒一人一人に対する支援については着実に取組が進んでいるものの、依然十分とは言えない状況にあること、また、特別支援学校教員の特別支援学校教諭免許状保有率も上昇しているが、更なる保有率の向上が必要な状況にあることから、これらへの対応が今後の課題である。

25年度以降の政策への反映方針

○(施策目標2-1)確かな学力の向上
・新学習指導要領において重視する言語活動の充実のための調査研究や言語活動の実施状況の検証、言語活動を適切に取り入れた授業風景をまとめた映像資料等の提供に取り組むほか、引き続き、学力の学力定着に課題のある学校に対する重点的・包括的な支援を行う。また、確かな学力の育成に資する観点も踏まえつつ、設置者の判断により実施される土曜授業がより効果的で質の高いものとなるよう支援を行う。
・第三次「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」(平成25年5月17日閣議決定)も踏まえ、学校図書館の活用を通じた児童生徒の読書活動や学習活動の環境整備を進めるため、引き続き司書教諭の発令促進を含む人的配置の推進に取り組む。
・「教育再生実行会議」第三次提言において、“小学校の英語学習の抜本的拡充(実施学年の早期化、指導時間増、教科化、専任教員配置等)や中学校における英語による英語授業の実施、初等中等教育を通じた系統的な英語教育について、検討する”こととされている。また、“英語教員がTOEFL等の外部検定試験において一定の成績(TOEFL iBT80程度等以上)を収めることを目指し、現職教員の海外派遣を含めた研修を充実・強化する”とも提言されている。さらに、第二期教育振興基本計画においても同様の内容が盛り込まれている。加えて、行政事業レビュー公開プロセスでは、指導改善事業及び英語力検証事業について、全国展開し、規模を拡大して実施すべきとの指摘があった。このため、「英語力の指導改善事業」は廃止し、教員の指導力向上については専門機関と連携するなどして内容の改善を図るとともに、英語力の検証については外部検定試験団体と連携し、全国規模・無作為抽出にて中・高等学校の生徒の英語力を把握分析・検証するための調査研究を実施していく。

○(施策目標2-2)豊かな心の育成
・教育再生実行会議の第一次提言において、いじめ問題の本質的な解決に向け、心と体の調和のとれた人間の育成に取り組む観点から道徳教育の抜本的な充実を図るとともに、新たな枠組みにより教科化することが提言された。この提言を踏まえ、文部科学省に設置した「道徳教育の充実に関する懇談会」においては、「心のノート」の全面改訂や、教員の指導力向上及び道徳の教科化について検討している。これらの議論も踏まえ、人としてのよりよい生き方について考え、実践する力を育む道徳教育への抜本的改善・充実を図るため、新「心のノート」(仮称)をはじめとする道徳の教材の充実、効果的な指導方法の普及等による教員の指導力向上、家庭・地域との連携強化など地域に根ざした道徳教育の取組の支援を推進する。
・いじめの未然防止を図るため、農山漁村等における自然体験活動、ボランティアなど社会奉仕に関わる体験活動、交流に関わる体験活動など様々な体験活動を通じて、児童生徒の豊かな人間性や社会性を育む取組を促進するために必要な予算を要求する。
・学校教育における人権教育の一層の推進を図り、児童生徒が人権の意義・内容等について理解するとともに、自分の大切さとともに他の人の大切さを認めることができるよう、実践的な研究及び国レベルにおける指導方法の在り方等に関する調査研究・普及の事業を引き続き行うために必要な予算を要求する。
・教育再生実行会議の第一次提言及び「いじめ防止対策推進法」を踏まえ、いじめの未然防止、早期発見・早期対応や教育相談体制の整備及びインターネットを通じて行われるいじめへの対応を充実するため、国及び地方自治体におけるいじめ問題等に対応する支援体制の構築等に関する必要な予算を要求するとともに、「いじめ防止基本方針」を策定する。
・被災県等からの継続的な対応の要望を踏まえ、引き続き、被災地の具体的なニーズも踏まえつつ、被災した幼児児童生徒等に対して、切れ目のない心のケア等必要な支援を行っていくために必要な予算を要求する。

○(施策目標2-4)健やかな体の育成及び学校安全の推進
・メンタルヘルスに関する課題やアレルギー疾患等の多様化する児童生徒の心身の健康問題に適切に対応するための指導参考資料の作成や講習会の開催、学校保健委員会の一層の普及・啓発、予防教育の重要性の指導等を通じた薬物乱用防止教育の推進など、学校保健に係る取組を引き続き充実させる。
・児童生徒が食に関する正しい知識や望ましい食習慣を身につけることができるよう、学校給食等と関連付けた効果的な食に関する指導及び指導体制の整備を推進する取組を引き続き充実させる。学校給食における地場産物の使用割合に関しては、第二次食育推進基本計画に明記された30%以上を目指すため、引き続き取組を継続していく。また、栄養教諭の配置については、全体としては増加しているものの都道府県によって差があるため、各県への働きかけを行うなど配置拡大に向けた取組を行う。
・地域のボランティアによる学校内外の巡回・警備が実施されている学校を一層増加させ、地域ぐるみで子供の安全を見守る体制を整備することや子供たち自身に危険を予測・回避する能力を習得させる取組等を引き続き充実させるともに、防犯教室等の講師となる教職員等を対象とした講習会等の一層の充実に努めていく。加えて、防災マニュアルの策定率の向上に向けた取組や、防災アドバイザーの派遣等を引き続き実施していく。

○(施策目標2-5)地域住民に開かれた信頼される学校づくり
・学校関係者評価など学校評価の充実により学校運営の改善が図られるよう、実践研究及びその成果普及等に必要な予算を要求する。また、各学校や設置者における学校評価の取組の充実により一層資するよう、平成22年度に改訂した「学校評価ガイドライン」の周知の徹底や利用促進を促す。
・引き続き、コミュニティ・スクールの導入促進及び取組充実に向け、実践研究及びその成果普及等に必要な予算を要求する。特に、導入状況の地域的偏りも踏まえ、制度導入に向けて継続的できめ細かな支援・助言を行うコミュニティ・スクール推進員(CSマイスター)の派遣、制度の理解促進等のための説明会や取組の充実・普及を図るためのフォーラムの開催についても、未導入地域や導入率の低い地域に対し重点的に行うことなどを通じ、コミュニティ・スクールの全国的な拡大を図る。

○(施策目標2-6)魅力ある優れた教員の要請・確保
・これまで各都道府県・指定都市教育委員会と大学との連携は着実に進んでいるものと認識しているが、更なる連携を通じた初任者研修等の高度化や、教員が採用後も長期的に学びを継続する体制の構築等を図る。
・教員免許更新講習については、平成24年度においても必要十分な講習規模を確保することができたものと認識しており、引き続き、十分な講習の規模確保及び円滑な実施に努める。
・都道府県・指定都市教育委員会においては教員評価の結果を処遇等に適切に反映する等、教員評価の内容面の改善を引き続き、促す。

○(施策目標2-7)安全・安心で豊かな学校施設の整備推進
 児童生徒が安心して学習することができる安全な学校施設の整備を推進するため、地方公共団体の行う耐震化事業に対して国庫補助等を行うとともに、屋内運動場等の天井等の落下防止対策をはじめとする公立学校施設の非構造部材の耐震対策の推進に着実に取り組んだ。あわせて、教育内容・方法の多様化や社会のニーズに対応した学校施設の整備を推進するため、学校施設に関する研究や先導的取組について広く普及・啓発するためのセミナーの開催や事例集の作成・配布を行った。
 これらの施策により、公立小中学校施設の構造体の耐震化について平成24年度補正予算等執行後に約93%に達する見込みであるなど着実な進捗がみられる一方で、地方公共団体によって取組にばらつきがみられたり、非構造部材の耐震対策は構造体の耐震化と比較して遅れているなどの課題もみられる。
 引き続き、地方公共団体への必要な財政支援や技術的な支援、先進事例の普及・啓発等を継続的に実施していくことが重要である。○(施策目標2-9)幼児教育の振興
・早ければ平成27年度を予定している子ども・子育て支援新制度の全面施行が円滑なものとなるよう、1幼保連携型認定こども園の認可基準、2施設型給付の水準、3幼稚園・保育所等から認定こども園への移行支援策の検討等の施行準備を推進する。
・その際、認定こども園の普及が図られるよう、1幼保連携型認定こども園の認可基準については、幼児期の学校教育・保育等を総合的に提供する施設としての質を担保したものとなるようにしつつ、既存の施設からの円滑な移行を考慮した特例を検討する。2施設型給付の水準については、質の確保・向上が図られた学校教育・保育を提供するために必要な水準が確保されるよう留意する。3移行支援については、認定こども園への移行を希望する幼稚園・保育所等が円滑に移行できるよう、認可基準の検討の動向や経営実態調査の結果を踏まえて検討する。
・幼稚園における学校関係者評価の実施率を高めるため、『幼稚園における学校評価ガイドライン〔平成23年改訂〕』の周知を行うとともに、幼稚園教育内容の方法・改善充実等の事業を活用し、好事例の共有化を図る。
・また、幼稚園教育要領の理解促進等が図られるよう、質の高い幼児教育・保育の総合的提供等推進事業において、例えば、幼保小合同研修の在り方、体験の多様性と関連性、協同性を育む指導の在り方等に関する調査研究を行い、その成果を来年度以降の事業実施に反映させていく。
・多様化する子育て支援ニーズに対応する幼稚園における子育て支援活動や預かり保育の実施率を高めるため、平成20年3月に作成した『幼稚園における子育て支援活動及び預かり保育の事例集』の周知に努め好事例の共有化を図るとともに、引き続き私学助成等による財政支援を行う。また、『幼児教育実態調査』等により現状を把握し今後の在り方の検討を行う。
・希望する全ての子供が質の高い幼児教育を受けられるよう、国として市町村の取組を引き続き支援していくとともに、幼稚園と保育所の「負担の平準化」等の観点を踏まえ、更なる低所得世帯・多子世帯の負担軽減を図る。

○(施策番号2-10)一人一人のニーズに応じた特別支援教育の推進
・特別支援教育体制整備状況調査の結果によると、幼・小・中・高等学校において、障害のある児童生徒等一人一人に対する支援については、着実に取組が進んでいるものの、依然十分とは言えない状況にある。インクルーシブ教育システム構築の観点からも、発達障害を含む障害のある子供一人一人の教育的ニーズを把握し、適切な支援を行うための体制整備等推進については、体制整備の一層の推進に向けた取組を検討していく。
・特別支援教育に関わる教員の専門性向上や指導内容・方法等の改善については、引き続き各教育委員会に対して研修の実施による専門性の向上を求めるとともに、免許法認定講習の受講機会の拡大に努める。その際、実効性を高めるため、保有率の低い地域等の個別の状況把握や地域・障害種のバランスを考慮した認定講習の開設等の方法を検討していく。
 また、インクルーシブ教育システム構築の観点から、特別支援学校に限らず小・中・高等学校等の全ての教員について、特別支援教育に関する専門性を向上させる取組を推進していく。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成25年12月 --