政策目標13 文化による心豊かな社会の実現

●概要

 優れた芸術文化の振興を図るとともに、我が国固有の伝統文化を継承・発展させることにより、文化による心豊かな社会を実現する。このため4つの施策によってその目的の達成を目指す。

●主管課(課長名)

 文化庁長官官房政策課(山崎 秀保)

●評価

 本年度の評価対象となった施策目標13-2及び13-3については、それぞれ総じて順調な進捗がみられた。このことにより、『文化芸術の振興に関する基本的な方針(第3次基本方針)』において、重点的に取り組むべき事項として掲げられている「文化財の保存及び活用の充実」及び「日本文化の発信及び国際文課交流の推進」に向けた取組は想定通りに達成された。

●23年度実施施策の取組状況

○ (施策目標13-1)

  モニタリングとしたため、モニタリング結果を参照。

○ (施策目標13-2)

 貴重な国民的財産である文化財の保存及び活用の充実を図るため、保存が必要な文化財の把握及び重要な文化財の指定等の実施、文化財の種別や特性に応じた保存・継承、文化財の適切な保存に配慮した積極的な公開・活用等に取り組んだ。
 文化財の指定・選定等の件数については順調に進捗するとともに、平成23年度において指定解除された件数は1件であり、概ね順調に保存・継承がなされていると判断できる。さらに、文化財の実物の公開・活用はもちろんのこと、多様な文化遺産をインターネット上で公開する文化遺産オンラインへの訪問回数についても、想定した以上に順調に増加しており、多くの人々が文化財に親しむ機会の充実が図られていると判断できる。
 全体として十分な進捗が得られており、引き続き「指定」、「保存」、「活用」といった措置を講じていくことが重要である。また、平成22、23年度は、東日本大震災や台風12号等の大規模な災害の発生により、多くの国指定等文化財が被害を受けていることから、引き続き、被災した文化財の速やかな復旧を行う必要がある。

○ (施策目標13-3)

 我が国の文化芸術活動の水準を向上し、文化を通じて国際社会に貢献し、諸外国との相互理解の推進を図るため、芸術文化振興、文化財保護等の分野における国際文化交流の取組を推進した。
 芸術文化の振興における国際文化交流については、我が国の文化人、芸術家等(文化交流使)による海外における文化交流活動の実施、我が国の芸術団体の海外公演や国際共同制作等への支援、東アジアの文化芸術関係者が参加する国際会議の実施、文化芸術の国際的創造発信拠点形成の推進等に取り組んだ。これにより、多くの文化交流の場を設けることができ、文化交流使のアンケートでは日本文化への好意的な回答が8割以上となるなど、我が国の文化芸術の発信および海外の芸術家・芸術団体とのネットワークの構築に大きく寄与したと言える。また、海外の文化遺産の保護に係る国際的な協力についても、自国の文化財保護の専門家による自主的な文化財の保護修復が徐々に始まる契機となるなど、大きな貢献を果たすことができたと判断できる。
 なお、今後は国際文化交流をさらに推進するため、文化芸術の国際的創造発信拠点の形成に向けて、拠点を目指す団体の国際的なプレゼンスの向上を図ることが重要であり、それに向けた海外の団体との交流・ネットワークの構築を一層促進することも課題である。また、文化遺産保護修復の現地専門家の人材養成に関して、途上国において、他国の専門家に自国の文化財の保存修復を委ねることなく、自国の文化遺産をその国の人々が保護することが出来るようになるよう、現地のニーズにあった人材養成の研修を実施していくことが課題である。

○ (施策目標13-4)

  モニタリングとしたため、モニタリング結果を参照。

●24年度以降の政策への反映方針

○ (施策目標13-2)

・貴重な文化財でありながらも、社会の変化の中で急速に失われつつある近代の分野のものの指定等を積極的に行うことにより、文化財の保護対象の裾野を広げることを目指す。
・国宝・重要文化財等の計画的な保存修理・防災対策等、また、東日本大震災等の災害に伴う修理・復旧に係る必要な経費を引き続き要求する。
・史跡等について一体的な管理を行い、確実な保存・継承を図るべく、地方公共団体による指定地の公有地化について引き続き推進する。
・重要文化財等をはじめとした多くの文化財を公開・活用する美術館・歴史博物館における活動を支援し、国民の文化財に対する理解と関心を高める。
・実物の公開・活用だけでなく、多様な文化遺産をインターネット上で公開する文化遺産オンラインにおけるコンテンツの更なる充実を図る。

○ (施策目標13-3)

・文化交流使事業については、文化交流使の指名に関して、数年先の派遣候補者も含めた選定作業を行うなど指名作業の早期化・効率化を図り、指名数について目標値と同水準まで向上するよう努める。
・昨今、被災地における国際交流の促進、芸術文化を通じたコミュニティの再生を目的として、アーティスト・イン・レジデンスを立ち上げようとする動きが出てきており、こういった状況を踏まえ、被災地や地域の思いと芸術家の希望の双方が満たされるよう考慮しつつ、被災地の復興に資するために被災地のアーティスト・イン・レジデンスに対する補助を充実させる。
・現代日本文学翻訳普及事業については、段階的に廃止する。翻訳未了の作品(17作品)については、平成24年度中に翻訳を完了させるとともに、これらを含む翻訳済みの未出版作品(86作品+17作品)について、期間を区切り出版・買上・寄贈を行うこととし、平成25年度以降は新たな作品選定は行わない。また、優秀な翻訳者の発掘・育成については、効果的・効率的な方法を検討する(例えば、より多くの優れた新人翻訳者を発掘するための翻訳コンクールの課題言語の多言語化、表彰方法の見直しなどによる受賞者の知名度向上、翻訳者の育成を図るための翻訳セミナーの開催など)。
・文化財の国際協力の推進については、本事業を通じて、途上国が自国の文化遺産を自らの手で主体的に保護できるようになることを目標とし、当該国の文化遺産保護の専門家が自国の文化財の保存に最適の測量機器や情報機器を取り扱い、修復活動を行えるレベルに到達するような人材養成の研修を実施していくこととする。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成24年10月 --