政策目標9 基礎研究の充実及び研究の推進のための環境整備

●概要

 学術研究の振興や優れた研究成果の創出・活用の促進を図るとともに、科学技術振興のための基盤を強化する。このため、3つの施策によってその目的の達成を目指す。

●主管課(課長名)

 研究振興局振興企画課(菱山 豊)

●評価

 基礎研究の充実及び研究の推進のための環境整備に向けた取組である、学術研究の振興、科学技術振興のための基盤の強化は、想定どおり達成された。

●23年度実施施策の取組状況

○学術研究の振興(施策目標9-1)

 大学・大学共同利用機関等における独創的・先端的基礎研究の推進については、たとえば平成23年度には、ニュートリノが別の種類のニュートリノに変わる「ニュートリノ振動」と呼ばれる現象の測定で、世界で初めて電子型ニュートリノ出現現象の兆候が捉えられた等の国際的な成果が出ている。また、科研費による助成については、例えば、岡野光夫東京女子医科大学教授の「親水性・疎水性を可逆的に変化させる表面を用いた細胞培養(平成4年度)」などの科研費の研究成果によって、細胞をシート状に培養しそれを利用して疾患を治療する技術が開発され、例えば角膜の培養・移植を革新的に容易にするなど、再生医療の可能性を大きく前進させる成果が出ており、現在も最先端研究開発支援プログラムといった競争的資金等により、他の組織や臓器の治療に関する実用化に向けた臨床研究・治験が行われている。このように長期的視点に立ち、国内外の優れた研究者が集まる研究拠点を整備することや、ピア・レビューに基づき、基礎から応用にわたり人文・社会科学から自然科学までのあらゆる研究分野への幅広い助成を行った結果、優れた成果が創出されており、施策目標達成のために有効であったといえる。
 研究者が研究の進展に合わせて研究費を使用できるよう、科研費における複数年度研究費の改革(基金化)を行った。これにより、優れた研究成果の創出に対して効果的・効率的に研究費が活用されている。また、大学共同利用機関における優れた研究成果の創出や、限られた財源の中でも政策や社会の要請に対応した人文・社会科学研究の成果が多く社会へ還元されている。優れた学術研究の成果は必ずしも短期的に現れるものではなく、長期的な視点に立って評価を行う必要があるが、それぞれの施策は効率的に取り組まれている。
 優れた研究成果を創出するためには、国際的な頭脳循環を活性化させるような研究環境の整備や、年度をまたいだ継続的な研究を可能にするなどの効果的・効率的な研究費の使用を促す科研費の複数年度研究費の改革(基金化)を着実に進めていくことが必要である。また、これらの取組を長期的視点に立って推進していくことが重要である。さらに、優れた研究成果の社会還元を一層図っていくための取組が必要である。

○科学技術振興のための基盤の強化(施策目標9-2)

 モニタリングとしたため、モニタリング結果を参照。

●24年度以降の政策への反映方針

○学術研究の振興(施策目標9-1)

  独創的・先端的基盤研究や国際頭脳循環の推進においては、国公私を通じた取組や、国際的な競争・協調に迅速かつ適切な対応が不可欠であり、基本構想である「ロードマップ」に基づき、最先端研究設備の整備、運用等を含めた「大規模学術フロンティア促進事業」を、戦略的・計画的に推進していく。
 科学研究費助成事業(科研費)は引き続き、あらゆる学術研究への幅広い助成を行うとともに、研究費の効果的・効率的な使用を可能とする複数年度研究費の改革(基金化)を着実に進める。
 政策や社会の要請に対応した人文・社会科学研究の推進事業は、平成24年度から独立行政法人日本学術振興会の事業(課題設定による先導的人文・社会科学研究推進事業)へ移行しており、平成24年7月の学術分科会報告を踏まえ、これを引き続き推進していく。
 特色ある分野全体の研究水準の向上と異分野融合による新たな学問領域の創出等を図るため、豊富な学術資料やデータベースを有する研究ポテンシャルの高い私立大学等の共同利用・共同研究拠点の整備を引き続き推進する。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成24年10月 --