1-8.SACLA重点戦略課題の推進(新規)【施策目標9-2】
平成24年度要求・要望額:1,300百万円
主管課(課長名)
研究振興局基盤研究課量子放射線研究推進室(原 克彦)
関係局課(課長名)
研究振興局ライフサイエンス課(石井 康彦)
事業の概要等
1.事業目的・概要
- 第三期科学技術基本計画の国家基幹技術として、平成18年度から22年度にかけて開発・整備されたX線自由電子レーザー施設「SACLA」が、平成24年3月に共用開始予定。
- SACLAが国際的研究拠点として国内外のユーザーを惹きつけ、国際頭脳循環の核となるためには、SACLAの性能を最大限発揮できる標準化された利用技術・装置を確立し、世界に先駆け先導的な成果を創出することが重要。
- ライフイノベーション・グリーンイノベーションの推進や国際頭脳循環の拠点形成に向けX線自由電子レーザー利用推進戦略会議(以下「戦略会議」という。)が設定した「重点戦略課題」について、研究機関や大学等が一体となったチームを編成し、重点的かつ強力に利用研究を開拓・推進する。
- これにより、イノベーションの推進及び我が国の国際競争力の強化に貢献する。
2.事業に至る経緯・今までの実績
- SACLAは、物質の原子レベルでの構造や超高速動態・変化を瞬時に解析できる世界最先端の研究施設。
- 平成24年3月に「特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律」に基づく供用運転を開始予定。
- 有識者からなる戦略会議において、SACLAが当面取り組むべき10の重点戦略課題を提示。
- 従来にない革新的な光源であるX線自由電子レーザーの共用を促進し、先導的成果を早期に創出するため、解析手法の確立・解析装置の開発を推進する。
3.目標と指標
成果目標及び成果指標(アウトカム)
- 5年以内に「生体分子の原子レベルでの新構造評価法の確立とピコ・フェムト秒での可視化を実現させ、SACLAの利用研究を推進する。」という成果目標に対して、「SACLAにおける課題応募数」及び「SACLAを活用した研究成果の査読付論文数」を指標とする。
- 供用開始5年後に、課題応募数が供用開始1年目の3倍以上に増加
- 供用開始5年後に、査読付論文数が供用開始1年目の4倍以上に増加
活動目標及び活動指標(アウトプット)
- 「研究機関や大学等が一体となったチームを編成し、重点的かつ強力に利用研究を開拓・推進する。」という活動目標に対して、「本事業における参加研究者数」及び「本事業における論文等発表数」を指標とする。
- 事業開始5年間の累積で、参加研究者数が200人以上
- 供用開始5年間の累積で、論文等発表数が100件以上
事業の事前評価結果
A.必要性の観点
1.事業の必要性
- 国家基幹技術として整備されたSACLAの解析手法の確立及び解析装置の開発は、先導的かつ効果的な利用成果の創出を促進するものであり、イノベーションの推進・我が国の競争力の強化に大きく貢献する。
- 科学技術・学術審議会先端研究基盤部会におけるSACLAの開発に係る事後評価において、今後は、X線自由電子レーザーの利用を牽引する先導的な研究成果を早期に創出し、国内外の利用者を惹きつけ、継続的に欧米に先んじた革新的な成果を創出することが重要である旨指摘されている。
- また、平成22年度実績評価(施策目標9-3)において、「利用しやすい体制の整備・充実等により、更に多くの研究者・技術者による先端的な研究施設・設備・機器、知的基盤等の活用を促進していくことが課題」と指摘されており、本事業はこれら指摘の実現を図るものである。
2.行政・国の関与の必要性
- SACLAは国家基幹技術として整備された我が国が世界に誇る最先端研究基盤施設。
- X線自由電子レーザーは革新的な光源であるため、その共用を推進し、イノベーションを創出していくには、まず解析手法の確立と解析装置の開発が必須(先行する米国では、大型利用研究プロジェクトが進行中)。
- そのため、多くの研究機関や大学等の英知を結集させ、集中的かつ重点的に研究開発を推進することが重要であり、国がその実現に向け支援を行うことが必要。
3.関係する施政方針演説、審議会の答申等
- 第4期科学技術基本計画(平成23年8月19日)
「国は、国家安全保障・基幹技術を中心とする基盤技術に関する研究開発について、関係する計画等も踏まえ、それぞれの技術課題ごとに、国主導で研究開発を行うプロジェクト(例えば、国家安全保障・基幹技術プロジェクト(仮称))を創設する。その際、第3期基本計画で選定された「国家基幹技術」の成果を最大限活用する。」
「科学技術に関する広範な研究開発領域や、産学官の多様な研究機関に用いられる共通的、基盤的な施設及び設備に関して、その有効利用、活用を促進するとともに、これらに係る技術の高度化を促進するための研究開発を推進する。」
- 科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会 X線自由電子レーザー計画の事後評価(平成23年9月27日)
「今後、XFELの利用を牽引する先導的な研究成果を早期に創出し、国内外の利用者を惹きつけ、継続的に欧米に先んじた革新的な成果を創出することが重要である。そのため、XFELがあらゆる利用者にとって広く使いやすいものとなるよう、利用技術の開拓・高度化・標準化とシステムとしての統合等を進めていくことが必要である。」
- X線自由電子レーザー利用推進戦略会議 X線自由電子レーザー利用推進計画(平成23年6月27日)
「共用開始後3~5年程度を念頭に重点的に取り組む「重点戦略分野」及び「重点戦略課題」を設定し、早期の成果創出と実験手法の確立・開拓を進める。国は重点戦略課題の推進に対し必要な支援を行っていくことが求められる。」
B.有効性の観点
- 本事業により、世界最先端の研究基盤施設であるSACLAの先導的かつ効果的な利用研究が促進され、イノベーションの推進及び国際競争力の強化に貢献するとともに、我が国の科学技術の振興に資する。
C.効率性の観点
1.インプット
本事業の平成24年度概算要求額は、1,300百万円(新規)である。
(内訳)
- 重点戦略課題推進(解析装置・解析手法の開発、先導的成果創出) 50~200百万円×10課題
- 審査・評価等経費 10百万円
2.アウトプット
研究機関や大学等が一体となったチームを編成し、重点的かつ強力に利用研究を開拓・推進することにより、本事業に5年間で200人程度の研究者等が参加し、5年間で100件の論文等が発表される見込み。
有識者委員からの指摘等
特になし
