試験研究を行った場合の法人税額等の特別控除
所得税、法人税
租税特別措置法第10条、
租税特別措置法第42条の4、第68条の9
総額型控除上限の10%引上げ等(恒久措置)
科学技術・学術政策局基盤政策課
平成15年~平成19年
研究開発活動は、新たな「知」の創造やイノベーションによる新産業、新市場の創出等を通じて、我が国経済社会の持続的発展や国際競争力の強化をもたらす源泉である。中でも、企業の研究開発活動は我が国全体の研究開発活動の7割以上を占めており、その更なる活性化を促すことは、我が国のイノベーション創出の基盤を強化し、ひいては成長力強化及び持続的な経済成長につながる。
諸外国においても、研究開発に係る税制優遇が導入・拡充されており、政策的に、民間企業の研究開発投資促進に向けた取り組みが行われている。
したがって、民間の自主性と活力を活用して我が国の科学技術の総合的な振興を図るため、本税制措置により民間研究開発投資を促進しつつ、2020年度までに官民合わせた研究開発投資をGDP比4パーセント以上とすることを目的とする。
(新成長戦略)
17.研究開発投資の充実
2020年度までに官民合わせた研究開発投資をGDP比の4パーセント以上にする。(中略)民間研究開発投資への税制優遇措置など研究開発投資の促進に向けた各種施策を検討・実施する。
(科学技術基本政策策定の基本方針)
4.研究開発投資の強化
民間研究開発投資の誘発促進を図ることとし、そのための政策手段について、規制・制度の合理的な見直し、税制措置の在り方を含め、検討する。
政策目標7 科学技術・学術政策の総合的な推進
施策目標7-4 科学技術システム改革の先導
【目標】
民間研究開発投資の対GDP比率を、主要先進諸国の中で最高水準に維持する。
【指標】
民間研究開発投資の対GDP比率の国際比較
利用実績 (うち、税法上の中小企業分)
平成19年度 8,479事業年度(5,747事業年度)
平成20年度 7,912事業年度(4,657事業年度)
(出典:国税庁 会社標本調査結果「税務統計から見た法人企業の実態」)
(注)上記統計及び同統計における決算期間別の法人数から見て、研究開発税制の利用企業数では、中小企業が6割を占めると推測される。なお、平成18年度以前の会社標本調査においては、事業年度に係るデータが表記されていない。
減収額実績 (うち、税法上の中小企業分)
平成15年度 1,046億円( 21億円)
平成16年度 4,242億円(147億円)
平成17年度 5,663億円(307億円)
平成18年度 5,820億円(305億円)
平成19年度 6,269億円(167億円)
平成20年度 2,881億円(246億円)
(出典:国税庁 会社標本調査結果「税務統計から見た法人企業の実態」)
(参考)
平成21年度 2,540億円
平成22年度 2,358億円
(財務省による減収額試算)
【政策目的の実現状況】(分析対象期間:平成15年~平成19年)
我が国は、主要先進諸国の中で最高水準の対GDP研究開発投資比率を維持しているが、4%には届いていない。
○ 主要国の対GDP研究開発投資比率(単位:パーセント)
2003年 | 2004年 | 2005年 | 2006年 | 2007年 | |
---|---|---|---|---|---|
日本 | 3.20 | 3.17 | 3.32 | 3.40 | 3.44 |
中国 | 1.13 | 1.23 | 1.33 | 1.42 | 1.49 |
韓国 | 2.63 | 2.85 | 2.98 | 3.22 | 3.47 |
アメリカ | 2.66 | 2.59 | 2.62 | 2.66 | 2.68 |
イギリス | 1.75 | 1.69 | 1.73 | 1.76 | 1.79 |
カナダ | 2.04 | 2.08 | 2.05 | 1.98 | 1.88 |
ロシア | 1.28 | 1.15 | 1.07 | 1.07 | 1.12 |
フランス | 2.17 | 2.15 | 2.10 | 2.10 | 2.08 |
ドイツ | 2.52 | 2.49 | 2.48 | 2.54 | 2.54 |
イタリア | 1.11 | 1.10 | 1.09 | 1.13 | ― |
【租税特別措置等による効果・達成目標の実現状況】(分析対象期間:平成15年~平成19年)
我が国は、主要先進諸国の中で最高水準の対GDP民間研究開発投資比率を維持している。
○主要国の対GDP民間研究開発投資比率(単位:パーセント)
2003年 | 2004年 | 2005年 | 2006年 | 2007年 | |
---|---|---|---|---|---|
日本 | 2.40 | 2.38 | 2.54 | 2.63 | 2.68 |
中国 | 0.71 | 0.82 | 0.91 | 1.01 | 1.07 |
韓国 | 2.00 | 2.18 | 2.29 | 2.49 | 2.65 |
アメリカ | 1.84 | 1.79 | 1.83 | 1.89 | 1.93 |
イギリス | 1.11 | 1.06 | 1.06 | 1.08 | 1.15 |
カナダ | 1.16 | 1.19 | 1.15 | 1.11 | 1.05 |
ロシア | 0.87 | 0.88 | 0.79 | 0.73 | 0.72 |
フランス | 1.36 | 1.36 | 1.30 | 1.32 | 1.31 |
ドイツ | 1.76 | 1.74 | 1.72 | 1.77 | 1.77 |
イタリア | 0.52 | 0.52 | 0.55 | 0.55 | 0.55 |
【租税特別措置等が新設、拡充又は延長されなかった場合の影響】(分析対象期間:平成22年度~平成31年度)
平成22年度の減税試算額における、総額型控除上限の引上げ効果:406億円程度
……後述する研究開発税制による経済波及効果試算に基づき、平成22年度に総額型控除上限を10%引き上げなかった場合におけるGDPの押し下げ効果(平成22年度~平成31年度の累計)を減税額割合で按分して試算:約2,480億円
【税収減を是認するような効果の有無】(分析対象期間:平成22年度~平成31年度)
経済波及効果の試算 (暫定版・旧モデル)
《総額型本体部分(控除限度額20%)》
《経済対策・特別試験研究税制・増加型・高水準型》
上記で試算した研究開発税制全体の経済波及効果を、利用実態調査で得られた各型別の減収額割合で按分して次のとおり試算。
《中小企業技術基盤強化税制》
国税庁会社標本調査結果「税務統計から見た法人企業の実態」における決算期間別の法人数から見て、研究開発税制の利用企業数では、税法上の中小企業が6割程度を占めると推測されるため、僅少または特定の者に偏っているとは想定しにくい。
税制による民間研究開発投資へのインセンティブの付与は、補助金等の他の制度と比較すると、国によるテーマ設定等により研究開発内容が限定されない、企業秘密となりうる研究開発内容の報告義務が生じない、という特徴を有しており、民間活力による研究開発投資を幅広く促進する手段として有効である。
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特になし。
大臣官房政策課評価室
-- 登録:平成22年09月 --