2-8.イノベーションシステム整備事業(イノベーション成長戦略実現支援プログラム)(新規)【施策目標7-3】

平成23年度要求額:2,000百万円
(平成22年度予算額:―百万円)
事業開始年度:平成23年度
事業達成年度または定期評価実施年度:平成32年度

主管課(課長名)

科学技術・学術政策局 科学技術・学術戦略官(地域科学技術担当)(増子 宏)

関係課(課長名)

事業の概要等

1.事業目的

 新成長戦略(平成22年6月18日閣議決定)等を踏まえ、産学連携など大学・研究機関における研究成果を地域の活性化につなげるため、地域の大学等研究機関の連携による地域貢献機能の強化を図り、地域のイニシアティブの下、地域の持つポテンシャルを最大限活用して、関係府省、大学、企業等とも効果的に協働・共創しつつ持続的なイノベーションを創出するシステムを構築する。

2.事業に至る経緯・今までの実績

 文部科学省では、「第2期科学技術基本計画(平成13年3月30日閣議決定)」に「知的クラスター」の形成が盛り込まれたこと等に基づき、平成14年度から、優れた研究開発ポテンシャルを有する地域の大学等を核とした産学官共同研究を実施し、イノベーションを持続的に創出するクラスターの形成を図る、「知的クラスター創成事業」、「都市エリア産学官連携促進事業」等の地域科学技術振興事業を実施してきた。
 これらの事業は、これまで一定の成果を挙げていたものの、平成21年11月に行われた行政刷新会議の事業仕分けにおいて、文部科学省が実施している地域科学技術振興について、「他省庁、文部科学省、JSTのクラスター、イノベーションの事業が未整理の現状では、一旦すべて廃止してから、見直した上で再構築したほうがよい。」等の観点から、「廃止」との評価がなされた。これを踏まえ、文部科学省で実施していた事業については、地域が主体的に実施するイノベーション創出のためのシステム整備を図ることを目的とする「イノベーションシステム整備事業」に統合し、継続事業が終了する平成25年度までに段階的に廃止することとした。(注)
 一方で、本年6月18日に閣議決定された新成長戦略において、「産学連携など大学・研究機関における研究成果を地域の活性化につなげる取組を進める」こととされる等、大学等研究機関の地域社会貢献機能の強化が強く求められている。
 これらを踏まえて、従来の地域科学技術振興事業のように、国が主体となって地域の提案を選定する仕組みではなく、地域が主体となり、新成長戦略において、国が戦略的に推進すべきとされているグリーン・イノベーション、ライフ・イノベーションを中心とした地域イノベーション創出、ひいては我が国全体の成長に資する取組を進め、そのための支援として関係府省の施策を総動員できるシステムとする。なお、本支援は「イノベーションシステム整備事業」の目的に合致するものであるため、本事業において「イノベーション成長戦略実現支援プログラム」を実施することとする。

(注)「知的クラスター創成事業」及び「都市エリア産学官連携促進事業」については、大学等の産学官連携体制整備に対する支援策である「産学官連携戦略展開事業」とともに「イノベーションシステム整備事業」として一本化し、「地域イノベーションクラスタープログラム」として、継続事業を実施している。

3.事業概要

 平成32年度を目標に経済波及効果や雇用創出効果を明確にした、グリーン・イノベーションやライフ・イノベーションなどの地域イノベーションの創出に向けた地域の主体的かつ優れた構想に対して、大学の研究段階から事業化に至るまでシームレスに展開できるよう、関連府省の施策を総動員して支援するシステムを構築する。
 文部科学省では、地域の大学等研究機関の連携による地域貢献機能の強化を図るため、知的財産形成、人材育成等のソフト・ヒューマンに対する重点的な支援を実施する。また、経済産業省では、地域企業等における新事業創出、産業集積を中心に支援を行うなど、その他関係府省との連携を行う。
 地域はミッションを共有し、地域戦略を実効的に推進するため、地域において自治体、企業、大学、公設試験研究機関、イノベーション推進機関等をメンバーとする「イノベーション推進協議会(仮称)」を設置し、地域イノベーション創出のための戦略等をまとめた「地域イノベーション戦略(仮称)」を作成する。文部科学省、経済産業省等は、国と地域が協働して地域戦略を推進していくため、イノベーション推進ボードにオブザーバーとして参加する。

地域の戦略を実効的に推進するためのイノベーション推進協議会(仮称)事業体制

4.指標と目標

指標

 経済効果、雇用創出効果

参考指標

  • 事業化件数
  • 参画機関数
  • 参画人数
目標

 平成32年度までに、厚みの有る研究機関・企業の集積を実現し、国際市場への展開も含め、経済効果9000億円、雇用創出5.6万人の実現を目指す。

※本目標値は、平成21年度に文部科学省における地域科学技術振興事業を実施している地域に対する調査結果に基づき、算出したものである。

事業の事前評価結果

A.必要性の観点

1.事業の必要性

 地域の雇用拡大、新製品等の関連売上の増加といった新成長戦略にかかげる目標を達成するためには、地域イノベーション創出のための共同研究開発の推進、産学官ネットワーク化といった、大学・研究機関における研究成果を地域の活性化につなげる取組が必要である。また、国が戦略的に推進すべきグリーン・イノベーション、ライフ・イノベーションは、これまで実施してきた地域科学技術振興事業等において、地域の強みを活かし成果を創出しつつある分野であることから、国が地域をフィールドにして、当該分野により戦略的かつ長期的に取り組むために、国と地域が協働した取組が必要である。

2.行政・国の関与の必要性

 地方公共団体における科学技術の振興は、地方公共団体の科学技術関係経費が年々減少している中で、成果の出やすい中小企業の技術開発に向けられることが多く、地方公共団体が、地域に立地する大学等を核に産学官共同研究を推進するための投資を行うことには困難を伴う。
 国は、国として戦略的に推進すべき分野において、地域が有する科学技術のポテンシャルを活かした新たな産業の創出、地域社会への貢献等を地域との協働により推進するとともに、これを支える大学等の研究開発、人材育成基盤を強化するための広域的な地域連携や、大学等における研究成果の社会還元機能の強化等を推進することにより、科学技術による地域活性化を目指す総合的な取組として、新成長戦略の工程表にも掲げられているとおり、地域における地域イノベーション創出のための共同研究開発を国家戦略として推進していくことが必要である。
 また、地域における科学技術の振興やイノベーション創出をより効果的・効率的に図る観点から、これまでのように単一の自治体単位の枠ではなく、複数の地方公共団体による広域的な連携・協力体制の構築を促進する必要があることからも、このような取組を国が支援する必要がある。

3.関係する施政方針演説、審議会の答申等

新成長戦略(平成22年6月18日閣議決定) 第3章 P29 23行目、P73、科学技術基本政策策定の基本方針(平成22年6月16日総合科学技術基本専門調査会決定) P19 29行目、平成23年度の科学・技術に関する予算等の資源配分の方針(平成22年7月16日総合科学技術会議決定)P3 22行目、国立大学法人化後の現状と課題について(中間まとめ)(平成22年7月15日文部科学省決定)P22 32行目、我が国の中長期を展望した科学技術の総合戦略に向けて(平成21年12月25日科学技術・学術審議会基本計画特別委員会)3 P59~60

B.有効性の観点

目標の達成見込み

 関係府省によるこれまでの地域科学技術振興施策において構築された産学官連携基盤を十分に利活用するとともに、本事業による国と地域が協働した地域イノベーションネットワークが整備されることにより、地域イノベーション創出がより促進され、目標達成が見込まれる。

C.効率性の観点

1.インプット

 「イノベーション成長戦略実現支援プログラム」の平成23年度予算規模は、2,000百万円である。平成24年度以降の予算規模については、プログラム開始後に事業の評価等を行った上で調整する。
<各支援メニューの内容>

  • 地域の戦略の中核を担う研究者の集積
     地域戦略の実現に貢献できる研究者を、国内外問わず当該地域以外から招聘。また、中間評価の実施等により継続を判断し優れた地域に限定し継続支援。
  • 地域の戦略実現のための人材育成プログラムの開発
     地域の戦略実現に向けた取組を持続的なものとするため、地域で活躍し、地域活性化に貢献しうる人材の育成に資するプログラム開発を支援。
  • 大学等の知のネットワーク構築支援
     地域の大学等研究機関におけるコンソーシアム等の知のネットワークを構築し、地域の企業等との連携を図る「地域連携コーディネータ」の配置等に係る経費を支援。
  • 地域の研究機関等での設備共用化支援
     大学等の研究設備・機器等を中小企業等が活用するための、技術相談・技術指導等を行う技術支援スタッフの配置に係る経費を支援。
  • 技術シーズの利活用促進
     地域発の優れた技術シーズに関する知的財産を活用するためのデータベース作成に向けた初期の基盤形成の経費を支援。

2.アウトプット

 地域の大学等研究機関の地域貢献機能の強化により、産学連携など大学・研究機関における研究成果を地域の活性化につなげる取組が定着する。

今後の方針及び外部評価・有識者委員からの指摘等

 計画のとおり実施していくことが適当。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成22年09月 --