平成23年度要求額:2,987百万円
(平成22年度予算額:2,631百万円)
事業開始年度:平成18年度
定期評価実施年度:平成24年度
初等中等教育局参事官(下間 康行)
義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図るとともに、そのような取組を通じて、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する。また,学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てる。
児童生徒の学力に関して、平成16年末に公表された国際学力調査(PISA2003,TIMSS2003)において、読解力が大幅に低下するとともに、我が国がこれまで最上位であった数学や理科についても低下傾向が見られることや、教育課程実施状況調査(平成16年1、2月実施)において、全体としては学力の低下傾向に歯止めが掛かったものの、国語の記述式問題や中学校数学などに課題が見られた。また、児童生徒の学習意欲や生活習慣などに関する調査の結果については、若干の改善が見られるものの、「勉強が楽しいと思う生徒の割合」や「学校外での一日の過ごし方の宿題をする時間」などにおいて、必ずしも十分ではない状況であった。また、平成17年3月に実施した「義務教育に関する意識調査」において、保護者の6割強が全国学力テストの実施に賛成するなど、児童生徒の学力水準の保証に対する社会的な関心や要請が高まっていた。
このような状況の中、平成17年10月26日の中央教育審議会答申「新しい時代の義務教育を創造する」において、「子どもたちの学習到達度についての全国的な調査を実施することが適当である」と提言されたことを踏まえ、「全国的な学力調査の実施方法等に関する専門家検討会議」において、問題作成や調査結果の公表方法を含め、全国的な学力調査の具体的実施方法等について、議論を行い、平成19年度から全国学力・学習状況調査を実施している。
平成20年に閣議決定した教育振興基本計画(平成20年7月1日閣議決定)においては、今後5年間取り組む施策として、「全国学力・学習状況調査の継続実施とその結果を活用した学校改善への支援等」が盛り込まれている。
また、平成22年度調査は、平成19年度から3年間の悉皆調査による信頼性の高いデータの蓄積や、教育に関する検証改善サイクルの構築が着実に進んでいることを踏まえ、抽出調査に切り替えて実施することとし、あわせて抽出調査対象外となっても、学校設置者が希望すれば、調査を利用できることとしている。
なお、今までの実施日・公表日は以下の通りである。
全国的な児童生徒の学力や学習状況調査を実施する。平成19年度から平成21年度までは悉皆調査にて実施し、平成22年度からは抽出調査及び希望利用方式に切り替えた。平成23年度の全国学力・学習状況調査の概要については以下の通り。
全国学力・学習状況調査の結果の活用状況については、学校質問紙調査や教育委員会に対する調査を用い、前年度の調査結果の活用の状況について調査を行っており、これらの結果を用い、教育委員会等における全国学力・学習状況調査の結果を活用した教育施策の成果と課題の検証やその改善への取組の状況について把握する。
(参考)全国学力・学習状況調査の結果の活用状況の例
○ 平成22年度 全国学力・学習状況調査 調査結果のポイントより抜粋
○ 「全国学力・学習状況調査の今後の在り方等に関する地方公共団体の意見等についての調査」における【平成21年度の調査の活用について】の結果(速報)より抜粋
義務教育の機会均等とその水準の維持向上という国の責任を果たすため、様々な施策の一つとして、全国的な学力調査を活用し、全国的な学力の状況を把握、分析するとともに、その結果を踏まえ、教育や教育施策の改善を図ることが必要である。また、そのような取組を通じて、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立することが必要である。
義務教育における機会均等や全国的な教育水準の維持向上は国の責務であり、児童生徒の学習到達度を把握するための全国的な学力調査を実施することにより、各地域等における教育水準の達成状況を適切に把握することが可能となるため、本調査は国が行う必要がある。
また、一定以上の教育水準を確保するため、教育委員会及び学校等が広い視野で教育指導等の改善を図る機会を提供することが必要である。
学校質問紙調査や教育委員会に対する調査の結果、これまでの全国学力・学習状況調査の結果の活用状況についての多くの教育委員会・学校から肯定的な回答を得ているところである。このため、今後の調査においても本調査が活用され、目標が達成される見込みである。
本事業の予算規模は2,987百万円である。(平成22年度予算額 2,631百万円)
平成22年度の行政事業レビュー(公開プロセス)での指摘等を踏まえ、①競争参加条件等のより一層の見直しを図るなど、契約の競争性、公平性、透明性の確保、②準備委託事業と実施委託事業を一括契約を行うため、国庫債務負担行為を活用、③市場価格を適切に反映するなど予定価格の積算方法の見直しを行うことで、効果的に事業を行う予定。
平成23年度調査については、4月に調査を実施し、調査結果を取りまとめ、その結果を公表し、教育委員会及び学校に提供する。また、平成24年度調査については、平成24年4月に円滑に調査が実施できるよう、平成23年度中に調査の準備を行う。
大臣官房政策課評価室
-- 登録:平成22年09月 --